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日記

taggaの日記: メモのつづき「母数」 1

日記 by tagga

明治の頭には「母数」に"分母"としての用例があったのは、承前。 例の追加を、OCRがかかっていない学芸大のレポジトリから:

其法分母数を以って整数に乗してこれを分子の数を加へ通分の子数と成して 其母数は旧に依て幾分の幾と云なり[旧字を新字に、変体仮名をひらがなに改めた]

近山 安則, 高橋 秀雄. (eds.) 1872. 『洋算新書 分数術』 東京: 文正堂. http://ir.u-gakugei.ac.jp/images/10901436/kmview.html

これもきのう引いたものも検定制(1886年実施、国定は1903年)の前のものなので 「正しい」とされていたかは不明。 きのうのものの時期の推定は、 広島県立図書館所蔵教科書目録の『教科書体系』巻数による。

なお、『日国』が"歩合算における元金"の意味をあげるのが、 辞書以外の用例がみつからない。

Google Books でも出てくるのが少ないので、 この用法が認められる時期が調べにくい。

以下は「誤用」とされるもの。

タイプその1: "母集団の大きさ (population size)"

母数は震災前の人口から死亡・行方不明者、転出者などを引いた1万1276人。昨年8月の市民意向調査で「戻る」とした世帯29%、個人24%に加え、「まだ判断がつかない」と答えた4割強の世帯・個人の半数が帰還すると推計した。

本田 雅和. 2014-07-03. 「住民の半数帰還、想定 南相馬市小高区、避難指示解除後 /福島県」『朝日新聞』http://digital.asahi.com/article_search/detail.html?kijiid=A1001120140703MFSA-1AT009&version=2015021803

タイプその2: "標本の大きさ (sample size)"

公的テストの多くは、複数の自治体が合同で行うが、受験者の母数が少ない地域ではデータの信頼性が低いのに、1回の受験料は高くなりがちだ。

高橋 諒子. 2014-03-21. 「(15歳のものさし 脱偏差値20年:上)業者テスト、色あせぬ権威 /埼玉県」『朝日新聞』 http://digital.asahi.com/article_search/detail.html?kijiid=A1001120140321MSMC-1A-008&version=2015021803

これについての専門家の指摘:

「母数」は間違って「標本の大きさ」、「分母に対する分子の割合」、「分母の値」等の意味で使われることが多い。「母数」とは「母平均」や「母分散」など母集団の特性を表わす値である。

堀 春彦. 2010-06-25. 「サンプル数再考」(独) 労働政策研究・研修機構. http://www.jil.go.jp/column/bn/colum0151.htm

これも"分母に対する分子の割合"の用例がみつからない。[2015-02-18 22h12 タグ修正]

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  • by Anonymous Coward on 2015年02月23日 14時23分 (#2766108)

    タイプその1 については、「分母」の用法(の派生)と思われます。

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「毎々お世話になっております。仕様書を頂きたく。」「拝承」 -- ある会社の日常

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