taggaの日記: 旺文社、インハウスのPDFを複製権侵害のおそれで廃棄 3
旺文社が入試問題をPDF化していたが、複製権侵害のおそれで、破棄。 これが著作権法47-7(情報解析のための複製等)にあたらないとすると あれこれ厳しい。
- 旺文社. 2016-05-16. 入試問題のPDF保管に係わる著作権法上の不備について. ニュースリリース. http://www.obunsha.co.jp/news_release/425.html
- 『朝日新聞』2016-05-17. 複製の入試問題、データを削除へ 旺文社、法律違反の恐れ. http://digital.asahi.com/articles/DA3S12360480.html
- 福井健策. 2016-05-17. https://twitter.com/fukuikensaku/status/732359849862791168
- 著作権法. http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO048.html
ニュースリリースから:
弊社では、各教育機関より入試問題をご提供いただき、関連する参考書や問題集等を出版しております。二次利用の際にはしかるべき権利処理を行った上で適正に利用しております。その際、過年度の入試問題については、大量の紙の入試問題を安定的に保存する目的で、PDF化し保管、元の紙の入試問題を破棄するという運用をしていました。このPDF保管に関しては、入試問題に含まれる著作権者に対して、許諾申請などの手続きはしておりませんでした。
この原本を破棄しPDFデータを保存するという「媒体変換」の行為が、著作権法上の複製権に抵触する恐れがあることから、本件PDFデータを削除し、このような保管の方法を改めることとしました。著作権者・教育機関並びに各関係者の皆様に謹んでお詫び申し上げます。
著作権法第47条7(情報解析のための複製等):
著作物は、電子計算機による情報解析(多数の著作物その他の大量の情報から、当該情報を構成する言語、音、影像その他の要素に係る情報を抽出し、比較、分類その他の統計的な解析を行うことをいう。以下この条において同じ。)を行うことを目的とする場合には、必要と認められる限度において、記録媒体への記録又は翻案(これにより創作した二次的著作物の記録を含む。)を行うことができる。ただし、情報解析を行う者の用に供するために作成されたデータベースの著作物については、この限りでない。
著作権法第30条3(検討の過程における利用):
著作権者の許諾を得て、又は第六十七条第一項、第六十八条第一項若しくは第六十九条の規定による裁定を受けて著作物を利用しようとする者は、これらの利用についての検討の過程(当該許諾を得、又は当該裁定を受ける過程を含む。)における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、当該著作物を利用することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
検討するためなら複製はできる。データベース化もできる。 なので、データベース化したものから問題を選んで、 原本から組めば問題はなさそう。 けれども、データベースから抜き出してそのまま組むと、 「解析」を超えるので、複製権にひっかかるということだろうか。
個人的には入試問題はCC0(かCC表示)にしてしまえと思っている。 資料使っているものの著作権処理は無理だけど。 作問にどれだけ手間暇かけようが業績にはならないし、 どうせ無料で使ってもらっている。 それならCC0にして、 事務方の手間を減らしたり、 こういう事例でデータが欠けるようになったりしない方がいい。 入試過去問題活用宣言というのもあるけど、 それも手間かかるしね。
誰が突っ込んだのか (スコア:0)
多分問題になったのはここ。作家の中にはどんな形でも頑なに電子化を拒む人がいるので。
http://www.obunsha.co.jp/news_release/425.html [obunsha.co.jp]
>このPDF保管に関しては、入試問題に含まれる著作権者に対して、許諾申請などの手続きはしておりませんでした。
原本→PDF→問題集等と複製するのは、厳密には確かに著作権法上無断でできる複製権の限度を超えていますが、
出版する問題集等では、別途、問題の利用許諾(原本→問題集等)を取っているわけで、ほぼ問題はないはずです。
が、どんな形でも電子化してはならん、という、著作権と離れたところで文句を言う作家がいたのではないでしょうか。
自分でスキャンしてデジタル化するいわゆる自炊すら、完全に合法でも、文句を言うような人もいますので。
Re:誰が突っ込んだのか (スコア:1)
たぶん、そこが切っ掛けなのだとは推測しています。
ただし、その部分は47-7や30-3の範囲で対応できるという解釈にして欲しいのです。 30-3には「検討の過程(当該許諾を得、又は当該裁定を受ける過程を含む。)」と あるので、出版する際に許諾をとれば大丈夫という理解もできるはずです。
そのうえ、以前に日記に書いたように、 再録することが許可されない [srad.jp]ことがそれなりにあります。 実際に載せない部分の作業用の複製が不可能ということになると、 受験産業はとても困ります。 受験産業からのフィードバックがないと、 入試をする側も実はかなり困ります。
Re: (スコア:0)
ほぼ真っ白に近い灰色だと思いますので、戦えば(裁判すれば)合法解釈な判例ができそうですが、出版社としては作家と争いたくないでしょうね...
立法で何とかしてもらうしかないかな