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13122023 journal
日記

taggaの日記: 国会図書館デジタルコレクションから発掘

日記 by tagga

明治末の算術教科書。レベルは中学(and/or 師範学校)。

  • 江藤 豊吉. 1908. 『算術解法講義』東京: 光風館.

旧漢字を新漢字に、旧仮名カタカナ/ひらがなを新仮名ひらがな/カタカナに、<, .>を<、。>に。

[乗法] 定義

  1. 乗法 甲数に乙数を掛けるとは、甲数を乙数だけ採りて加え合すると云う意なり。
  2. 被乗数 上に云える甲数を被乗数と云う。
  3. 乗数 乙数を乗数と云う。
  4. 積 被乗数に乗数を掛けて得たる結果を積と云う。
  5. 因数 被乗数、乗数を区別する必要なきときはその双方を因数と云う。

……

注意 …… 3. 乗法九九(ピタゴラスの表)の二意義。

(1) 3×4=12 (2)4×3=12

共に三四十二と小なる方を先に大なる方を後に唱う。或は逆九九を用いて両者を別々にするもあれども、普通ならず。

乗法の定義としては累加を採用している。 いわゆる片九九から両九九への移行中であることが窺われる。

  • 後藤 嘉之 & 美島 近一郎. 1907. 『算数学』 東京: 六盟館.

旧漢字を新漢字に、旧仮名カタカナを新仮名ひらがなに。

  1. 乗法 甲数に乙数を掛けるとは、甲数を乙数だけ採りて加うる簡便法なり、この計算を乗法或は掛算と云う。
  2. 被乗数 甲数を被乗数と云う。
  3. 乗数 乙数を乗数と云う。
  4. 積 乗法にて得たる結果を積と云う。
  5. 因数 被乗数及び乗数を積の因数と云う。

(註)被乗数 × 乗数 = 積

こちらの方が1年早いが、1910年代と同じような説明。順序はこれで固定化される。

前にも貼った高木貞治。

  • 高木 貞治. 1911. 『新式算術教科書』東京: 開成館。

旧漢字を新漢字に、旧仮名カタカナ/ひらがなを新仮名ひらがな/カタカナに、<, .>を<、。>に。下線はイタリックに。

例えば、一時間に十二里づつ行く汽車は、四時間に幾里を行くべきか。

十二里を四度加え合わせて、48里を得。

かように同じ数を幾度も加え合わすることを掛ける(乗ず)といい、 合わせられる数を被乗数、加え合わするべき度数を乗数、 加え合わせて得たる和を積という。

上の例にては、十二里(被乗数)に(乗数)を掛け積として、 四十八里を得たるなり(之を十二里に四時間を掛けたりと言うべからず)。

乗数は必ず不名数なり。積は被乗数が名数なるときは、亦必ず同種の名数なり。

或数を幾度加え合わて得たる数を此数の倍数という。 48里は12里の四倍なり。

掛け算の記号は「×」にて、12に4を掛けて48となるということを次の如く書く。

12×4=48

この辺が少しずつ小学校に降りていって過度に定着したのが、 どこかで見るような日数教的実践の元ネタで、 パターン化して教えるのが某T○SS(1文字伏せた)。

英語などの言語では、 易しめの "乗数 times 被乗数"と 難しめの "被乗数 multiplied by 乗数" の両方がある。 後者を使い理論化した代数の流れにの上に高木貞治はいるし、 解析でも量と数を区別するという立場の流れにいる。

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