パスワードを忘れた? アカウント作成
14062747 journal
日記

taggaの日記: 高木貞治の別教科書

日記 by tagga

高木貞治が書いた師範学校用の教科書。 小学校教員を養成するためのものなので、整数計算を重視している。 それもあって掛け算の部分の展開が、少し風変り。

掛け算の定義の部分「12.倍すること」(p.17):

或数Aを倍すること、 即ちAn個加え合することを、 An掛ける(乗ず)という。 加え合せらるる数を被乗数、 加え合する個数n乗数、 加え合せて得たる和 A+A+……+Aといい、 此積を式にて表すには
A×n
と書く。

この下に公式が出てくる (pp.18-19)

  1. (A+B+C+……)×n=A×n+B×n+C×n+……
  2. A×m×n = A×n×m
  3. A×p+A×q+A×r = A×(p+q+r)
  4. A×m×n = A×(m×n)

被乗数と乗数の区別があるせいで、右分配則(1)と左分配則(3)が区別される。 結合則(4)もある。 ところが、交換則のかわりに(2)がある。 交換則は「14.整数の積」(p.23)を待たなければならない:

第12節の公式(2)を被乗数が1なる場合に適用するときは
(1×mn = (1×nm
即ち   m×n=n×m
を得。即ち

2つの整数の乗法にて被乗数と乗数とを交換しても積は変らず。

掛け算の意味を離れて、 唯其結果のみを考うるときには、被乗数と乗数とを区別する必要なきなり。 是故に被乗数及び乗数と共に因数という。

というふうに、高木はかけ算で、意味と順序にこだわっている。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
typodupeerror

身近な人の偉大さは半減する -- あるアレゲ人

読み込み中...