taggaの日記: 高木貞治の小学教員養成向け教科書、割り算部分
承前 https://srad.jp/~tagga/journal/635082/ (http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/826333)
「24. 除法」(pp.44-46) のところから。
乗法の二つの因数を被乗数及び乗数に区別して考うるときは、 被乗数及び乗数の中、 何れが知られたる因数にて、 何れが求むべき因数なるかによりて、 除数に二様の意義が生ずべし。
高木が、 かけ算を R×R→R の演算と考えていず、 X×R→X (名数 X = R×{単位} or 不名数 X=R) での演算と考えていることに注意。
そこで、除法も2つ、 第一の等分除「等分」X×R→X と、 第二の包含除「比」X×X→R に分かれることになる。
乗法に於て乗数は必ず不名数なれども、 被乗数は名数たることを得べく、 此場合には積も亦同じ単位を用いて表されてある名数なり。 故に第一の意味にての除法にては、 除数は不名数にして、被除数が名数なるときは、 商も亦同名の数なり。 第二の意味にては 被除数と除数とは同名の数たることを得、 商は必ず不名数なり。
こういう考えから、
不名数のかけ算、つまり、R×R=R 2 でのかけ算は可換だが、
名数が関係するかけ算は可換ではないことになる。
12里×4 は計算ができる。
しかし、12里∉R だから 4×12里は、未定義の演算で計算しようがないのである。
逆順で計算をしたければ、2段階が必要。
12里 × 4 = 12×4 里 = 4×12 里
これを日数教が引き継いでる。
念のためだけど、僕は数教協のシンパで、上のような展開をずーっと批判していて、
- かけ算は、X×Y→Z という異種かもしれない量の間の関係を抽象化したもので、 X = Y かもしれないけど、一般化しているので、被乗数(1あたり量)と乗数(いくつ分)は分けて考える;
- X×Y といっても、そう人間がまとめただけなので、12里/時 × 4時 と書かれようが、4時 × 12里/時 と書かれようが気にしない;
- ただし、かけわり図で説明する都合から、他の要請がなければ、(1あたり量)×(いくつ分) で書く。
なお、高木の時代には、 欧米でも算数教育の改革が起きて、 その中で、19世紀までの 被乗数×乗数 (a × b: a multiplied by b; a, b times; b times a) から、 日常語にあわせての 乗数×被乗数 (a × b: a times b) への置き換えが進んでいたはずなのだが、 著作権の関係でフリーで読めるのが少ないから、趣味で漁れない。
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