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teltelの日記: ほんほんほん

日記 by teltel

日本文藝家協会の主催で「書籍流通の理想をめざして」というシンポジウムが開かれた、という記事が朝日の朝刊に載っていた。議論については紙面からのみ判るのだが、ブックオフの社長、図書館、取り次ぎ会社が参加するというおもしろそうなシンポだ。

このようなシンポジウムが開かれるのは、書き手、書店にとって”出版不況”、つまり本が売れないという状態にあるからだろう。売れない元凶とされる、新古書店と取り次ぎ会社、図書館の代表(?)を集めて何とかしよう(文句を言おう?)、ということか。

まず本当に本が売れていないのか、という点についてだ。出版物の売り上げの推移などが出版科学研究所 の報告を読めばわかるようだ。しかしながら冊子は有料で内容が参照できない。まあ朝日の紙面のグラフを信じれば、出版物の販売額(新刊のみ?)は96年をピークに徐々に減少して、昨年度は96年度の2割減になっている。ただ減少率は小さくなっているように見え、今後一定になるのではないかとも思える。

次に、原因とされる図書館の貸し出しと新古書店の売り上げについてだ。同じく朝日新聞のグラフは、図書館の順調な貸し出し増加と、新古書店の店舗数増大を示して、まあ相関があると見えなくもない示し方になっている。問題としては、最初に図書館の貸し出し数の図だが、グラフの横軸スケールが違いすぎる。出版物のグラフが93年から始まっているのに対し、図書館のグラフは70年から始まっている。この2つのグラフからは逆に、図書の貸し出しが増えても出版物販売には影響を与えないという結論が導ける。なぜなら96年までは図書の貸し出しも出版売り上げうまく上昇しているからである。

次に新古書店の数と出版物販売に因果関係が認められるか、である。この図はソースが、21世紀コミック作家の著作権を考える会(声明と賛同人) の、出版ニュースなるものからの引用らしいのだが、WEB 上にはリソースがない。ただ記事中の(新古書店の)"業界全体の売り上げは7年間で4.5倍、900億円" という記述から考えると、出版物の販売減少全てを新古書店では説明できない。97年度には新古書店の影響力は(ほぼ変わらなかったとして)4.5分の1程度しかなかったにもかかわらず、出版物販売の激減が起こるとしなくてはいけない。むしろ、出版への影響は新古書店が拡大した現在最大でなくてはならず、これは明らかに無理であろう。

つまり私は、新古書店/図書館は出版物販売の減少の主な理由とはならない、と考えるのである。出版業界の構造が現状にあわなくなってきているが、対応できないのでスケープゴートを探しているのではないか。あまりに展開する議論が稚拙だと思う。

実際のところまじめに反応せずとも、96年からの出版物販売の減少を説明するのに理由はなんでもよく、失業者数であるとか、携帯電話の契約者数であるとか、インターネットの普及率であるとかなんでもグラフを並べてみて相関を示すだけでよい。それほどに、怪しい議論であると考える。

出版業界の動向は、自分が本/まんがの虫であることから興味津々であるが、ウォッチしている訳でもなく話しも長くなりそうなのであまり追求しない。21世紀コミック作家についても、つっこみどころ満載ではあるが今は何もいわないでおく。

# ってえらい長い日記になってしまったあ。
# 自己最長記録かしらん。
# さて、売れない原因はCD と一緒で携帯でしょ。
# どう考えても、かぶるし。

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アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者

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