tsuyaの日記: 復讐の階段を登りつめたシンデレラ -開幕18連勝の怪物、12時の鐘に力尽く-
頼りない、とホームのメディアにいつもいじめられていたシンデレラは、ロードに旅立つと滅法強かった。泥まみれになったロンドンでも勝った。だから早々に地区優勝の目を失ってワイルドカードに回り、プレーオフがホームでできないと決まっていたことは、むしろ希望だったかもしれない。とはいえプレーオフの階段は、その頼りなさの前にはあまりに険しく見えた。
そんなシンデレラにカボチャの馬車を与えたのは、他ならぬ不敗の怪物、ニューイングランド・ペイトリオッツだった。NFL史上2度目の、レギュラーシーズンが16試合に増えた後では初の、ペイトリオッツの全勝がかかったニューヨークでの第16戦は、双方にとってプレーオフ順位に影響しない消化試合のはずだったが、ファンとメディアの注目を一身に集めたため引っ込みがつかない、手抜きできないメモリアルゲームとなった。やる気満々の敵の選手達に対し、「パーフェクトを許したチームとして歴史に残ってたまるか」という発言がシンデレラの身内からも飛び出した。かくしてペイトリオッツの16戦全勝は達成された。期待以上の善戦を演じたシンデレラの覚醒と引き換えに。
シンデレラのイメージは、ニューヨーク・ジャイアンツ以上に、ジャイアンツのエースQBイーライ・マニングに馴染む。16戦全勝を許したとはいえペイトリオッツの破壊的オフェンスを率いるQBブレイディに引けをとらない活躍を見せたマニングは、不安定だったレギュラーシーズンのイメージを払拭し、頼れるリーダーとしてプレーオフでの攻撃を率いた。レギュラーシーズンで2敗したカウボーイズに競り勝ち、殺人的な寒さのグリーンベイでもパッカーズにレギュラーシーズンのリベンジを果たしスーパーボウルへ。そこに待っていたのは、当たり前のように勝ち上がってきていた怪物との歴史的再戦だった。
怪物相手に再度接戦に持ち込んだスーパーボウル。残り2分39秒で4点差を追うことになったマニングは、鳴りはじめた魔法の解ける鐘、2ミニッツウォーニングに急かされながらも、WRタイリーへの奇跡的な32ヤードパスなどで前進し、残り35秒でWRバレスへのTDパスを決め見事逆転。スーパーボウルでの試合終了直前のウィニングドライブは、ブレイディがペイトリオッツを導いたとき以来4年ぶりだった。そこからさらにさかのぼること2年、圧倒的有利と言われたラムズ相手にウィニングドライブを決めたのもブレイディだった。6年越しのシンデレラの世代交代は、歴史的な連勝記録を18で止めることとなった。
コルツQBの兄ペイトン・マニングに続き、兄弟で2年連続のスーパーボウルMVP獲得の快挙を果たしたイーライ・マニング。父アーチー・マニングの血を分けた名家の生まれだが、兄と異なりアンダードッグとして、一度失敗したパーフェクトの阻止を二度目に成功させたシンデレラストーリーの末に栄冠をつかんだ。
開幕18連勝という史上初の快挙を成し遂げたペイトリオッツの魔法は、最後の鐘が鳴る直前、予測のつかない方向に飛んでいってしまったようだ。
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