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tsuyaの日記: 戦力差はある、しかしチャンスもある

日記 by tsuya

読売ジャイアンツのいわゆる巨大戦力とその他の球団、たとえば横浜ベイスターズを比べれば、ドラフト制があっても戦力に大きな差が生じていることは明らかだ。なぜそうなるのかという理由も単純で、資金の豊富な球団がドラフト以外の選手獲得手段をふんだんに使えるからだ。外国人選手枠とフリーエージェント(FA)制である。

NPBにおける外国人選手枠は数十年前からある戦力補強ポイントであり、FA制の導入以後は多少ウェイトが下がった感があるものの今でも重要な選手調達ルートである。近年は人数制限が緩和され、最大4人の選手をひとつの試合に出場登録できるようになっている。外国人選手とはドラフトに制約されることなく契約できるため、高額な年俸の契約を多く結べば、他球団と不均衡に強力な選手を擁することができる。またNPBにおけるFA制は、一定のキャリアを積んだ選手が現所属以外のチームに入る権利を自発的に得ることを可能にするもので、これも球団にとっては他球団の有能な選手を獲得する有力なルートである。FA宣言した選手と契約を結んだ球団は、FA宣言選手のもとの所属球団に金銭もしくは選手を補償する義務を負う制度になっており、したがって金銭トレードまたは交換トレードと同様の形式となるが、補償する側の球団は補償対象とならない支配下選手を一定数選ぶことができ(プロテクト枠。現行では28名)、補償される側はその枠以外の選手を選ぶことになるので、補償される選手がFA宣言した選手よりも有能な選手であることはまずない。外国人選手と同様、高額な年俸や契約金、補償金を負担できる富裕な球団が戦力を増しやすい制度だ。MLBのFA制には補償の一形態としてドラフト獲得枠を用いる制度があるが、NPBにはないため、NPBのFA制もドラフト制による均衡化の制約を受けない。

その結果、ペナントレースはどのように争われているか。筆者はかつて、2003年終了時点での観測から、実はNPBは充分に実力伯仲していると書いた。その後2008年までの5シーズンについて改めて考察すると、セントラルリーグではこの間に優勝した3チームがやや固定化している様子が窺えるが、パシフィックリーグでは千葉ロッテと北海道日本ハムがそれぞれ21年ぶり、15年ぶりの優勝を果たしており、むしろ優勝のチャンスは多くのチームに広がったように見える。加えて現在ではセントラル、パシフィックともプレーオフ制(クライマックスシリーズ)を採用しており、リーグで3位にまで入れば日本シリーズに出場するチャンスがある。過去5シーズン、3位以内に入ったことのないチームは、セントラルでは17年間リーグ優勝から遠ざかっている広島東洋、パシフィックでは2005年シーズンからリーグに加入した東北楽天だけだ(2005年シーズンから合併して参加している旧オリックスと旧大阪近鉄は現オリックスとして統一して数えている)。日本一になるチャンスは多くのチームに分散しているのだ。NPBのプレーオフ制には賛否両論あるが、多くのチームに優勝のチャンスを与えることが重要と考えるなら、プレーオフ制がよいシステムなのは間違いない。

少なくとも他の競技に比べれば、NPBは依然としてまずまず実力伯仲しているといえると筆者は考える。ただしチームの戦力差が歴然としているのは確かであり、チャンスの多寡が大きく異なるのは間違いない。では、この現状は望ましいものなのか、現状でドラフト制は有意義といえるのか、という点を次回に考えたい。

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クラックを法規制強化で止められると思ってる奴は頭がおかしい -- あるアレゲ人

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