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uruyaの日記: 空飛ぶ馬 / 北村薫

日記 by uruya

空飛ぶ馬 / 北村薫

着手 8/29
読了 8/31
感想 ★★★☆☆ やさしい世界で一息つきたいときに

女子大生の私と博覧強記の落語家円紫が日常のミステリを解決する短編シリーズ。

織部の霊
低血圧を振り払いひとコマめの授業を受けるべく勇んで登校してみれば休講。ぽっかり開いた時間、加茂先生に誘われて教授室を訪ねてみると、学校で出している雑誌の卒業生へのインタビュー記事で、落語家円紫師匠へのインタビュアーを一緒に引き受けてくれとのお誘い。
むろん円紫師匠の大ファンである私に否やはない。
インタビューはつつがなくおわり、その後のお酒の席で、加茂先生が不思議な話を切り出した。夢の中で知った人に、後から現実世界で会う話。その人とは、古田織部。焼き物で有名な戦国武将だ。

砂糖合戦
八月なのに肌寒い夏、出かけていった先で円紫師匠と偶然再会した私は、円紫師匠なじみの紅茶専門店に連れて行ってもらい、紅茶をごちそうになった。その店で、私の向かい側に陣取った女の子三人組が、どうもおかしい。砂糖を7-8杯も紅茶に入れていたのだ。砂糖合戦のように。

胡桃の中の鳥
円紫師匠から蔵王で行われる公演のチケットを三枚いただいた私は、友人の正ちゃんと一緒に蔵王に向かい、地元に実家のある友人の江美と合流する計画を立て、旅に出た。
温泉や観光地めぐり、そして高座と、ひととおり楽しんだ私たちだが、最後に妙な事件がおきた。江美が運転する車の、シートカバーだけが盗まれたのだ。

赤頭巾
歯のつめものが取れてしまい、しぶしぶ行った歯医者の待合室で、話好きの女性が話しかけてきた。赤頭巾を知っているか、という話。その女性は、私も知っている森長さんの同級生らしい。森長さんは、ご近所の母子家庭のお母さんで、絵本作家でもある。
なんでも森長さんの家から見える公園に、日曜日の決まって夜9時に小学生くらいの女の子が現れる、という話を森長さんから聞いたらしい。その女性も実際に見たのだそうだ。
どうしてそんな時間に女の子が?不思議に思った私は実際に日曜日の夜9時にその公園に行ってみたが、赤頭巾の姿は見えなかった。

空飛ぶ馬
クリスマスに近い頃。地下鉄でたまたま見かけたカップルは、国雄さんとその恋人だった。元酒屋で食料品等も扱っている「かど屋」の国雄さんは、もう40にも近いんだけど、たいそう子供好きないい人である。幸せそうなカップル姿を見た私は、うれしい気分になったのだった。
また別の日、お隣の小町さんの手伝いで幼稚園のビデオ撮影にかりだされた私は、そこでサンタに扮した国雄さんに会う。国雄さんは例年のプレゼントとは別に、木馬を幼稚園にプレゼントした。その木馬はかど屋に置いてあったもので、無料で子供を乗せてあげていたものだ。
さてその後。私は小町さんから妙な話を聞く。たまたま夜に通りかかった幼稚園で、国雄さんがプレゼントした木馬がなくなっていたというのだ。しかし、次の朝になると元に戻っていたらしい。
いったい誰が何の目的で?

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面白いですよ。
どういう面白さかというと、頭のいい人の話って面白いですよね。インタビューでも、エッセイでも、コラムでも、雑談でも。その面白さです。
豊かな知識に裏打ちされた、ちょっとしたお話。ウィットに富んだユーモア。楽しい。けど所詮雑談なので軽い。あまり残らない。まあ印象に残ったからえらいってことでもないので、読んでる間楽しければ何ら問題はございません。山風なんか記憶には強烈に焼きつくけどちっともえらくないわけだし(笑

しかし"日常の謎"なんてものを、よくここまで書ききりますね、この人は。何の事件も起こらないのに飽きさせない筆力。日常のちょっとした出来事を掘り下げる能力というのもあるけど、女子大生の身の回りに起こるちょっとした出来事をむくつけきおっさんが 妄 想 する能力ってのも大きいですよ、たぶん(笑

あとこれは完全に俺の責任に帰する問題なのですが円紫の脳内外見イメージがなぜだかわからないのだけれど三遊亭好楽で固まってしまい閉口することしきり。まあ快楽亭ブラックでなくてまだしも幸いでした。

2006累計 71冊/60タイトル

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人生の大半の問題はスルー力で解決する -- スルー力研究専門家

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