uruyaの日記: ベルカ、吠えないのか? / 古川日出男
ベルカ、吠えないのか? / 古川日出男
着手 12/9
読了 12/11
感想 ★★★★☆
あらすじ。
日本軍によりキスカ島に置き去りにされた四頭の軍用犬は、ジャーマン・シェパードの純血と、北海道犬の血をひく混血の、二つの道にわかれて全世界に繁殖する。
そして一九五七年。イヌ紀元ゼロ年の事件(エポック)に、何千頭もの、彼らの子孫たちは空を見上げる。
二十世紀、戦争の世紀、犬の世紀。
イヌよ、イヌよ、お前たちはどこにいる?
─────
壮大なる叙事詩にしてイヌ・クロニクル。よくもここまで嘘八百をつなぎ合わせてひとつの年代記をでっちあげられたものか。この電波はどこから受信したのか。この人は本物の天才かもしれん。
読めば読むほど町田康との類似点を感じる。口からでまかせをつなぎ合わせてひとつの物語をでっちあげる手法、どんどんエスカレートし暴走する筆走り、言葉のグルーヴ感。もしかしたら、日本語をベースにした小説というのは、新たな進化をはじめているのかもしれない。桑田佳祐以後に日本のポップスが変わったように。町田前町田後。
まあ要するにそんなことをほざいてみたりしたいほど、読後の興奮を持続しております。
で、感想だが。
ここでもうひとつの類似点。こんなに感想の書きにくい作家はいない、というところ。「面白かった」以外の言葉が出てこないですよ。基本的に全編が年代記を仕立てるために書かれているので、筋はあるように見えて実はない。ロシアンマフィアとチェチェンマフィアの抗争みたいな「人間の」話があるように見えて、それはイヌ年代記の一部でしかない。ベトナム、アフガンなどイデオロギーと宗教の対立による「人間の」戦争があるようで、実はそれもイヌ年代記の一部である。あだ花のように二十世紀に一瞬だけ咲いた「共産圏」の興亡を描いているようで、そんなものは大法螺吹くための道具にすぎない。
全編が嘘であり、法螺であり、120%フィクション。拡げた風呂敷で地球と二十世紀をまるまる包んじゃった現場を見せ付けられて、ひたすら唖然呆然するのみである。何が面白かったかと問われれば、法螺がデカすぎて面白かったと答える他にすべが無い。
思考停止して意味の無い感想書く以外にないと思われるので、開き直って書いときます。
「いやあ、面白かった」
あと、ロックンロール七部作はやはりベルカの後に読んだほうがよかったかもしれない。
2006累計 103冊/91タイトル