uruyaの日記: 南総里見八犬伝(二) / 曲亭馬琴・著 浜田啓介・校訂
南総里見八犬伝(二) / 曲亭馬琴・著 浜田啓介・校訂
着手 12/23
読了 12/29
感想 ★★★★☆
注:以下あらすじはそこまでのネタバレを含む
第三輯(第二十一回 - 第三十回)
蟇六方で暮らす信乃は十八歳に、浜路は十六歳になった。
その頃、信乃が懇意にしていた百姓糠助が亡くなり、遺言として信乃に息子を探してくれるように頼む。妻を病気で亡くし、貧乏の末に密漁を犯して追放された糠助が、我が子と共に身投げしようとしたとき、足利成氏配下の武家飛脚という男が助けに入り、子供を養子として引き取ってくれたのである。その子には、右頬に牡丹の痣があり、「信」の球を持っているというのだ。この子も一党であることは疑いなく、信乃は頼みを快諾する。
そして空き家になった糠助宅に、網乾左母二郎という男が移ってくる。管領家の浪人であるが軽佻浮薄な色男で、手習い等を教え、歌舞音曲の師匠をした。いろいろな女と浮名が流れ評判がよくない男だったが、容姿端麗のため亀篠が肩入れし、蟇六も亀篠の良し様な報告を信じている。亀篠らは、信乃と浜路の婚約を反古にし、管領家へ帰参するであろう左母二郎を浜路にめあわせようと画策していた。が、浜路は信乃を恋しており、なびこうとしなかった。
その年の暮れ、簸上宮六という男が陣代を世襲し、巡検のため蟇六方に止宿することとなった。蟇六は浜路に接待させるが、この席で宮六は浜路を見初め、婚姻を申し出る。利害のそろばんをはじき、申し出を受け入れる気になった蟇六らは、一計を案じる。信乃がいないうちに浜路をかたづけてしまうため、まずは信乃に、いま許我(古河)にいる足利成氏へ村雨丸を献上し仕官するように勧める。しかしそれでは村雨が手に入らないので、事前に強奪する。左母二郎を騙して村雨丸強奪の一味とし、送別の宴に供すためという口実で川漁に誘い、そのどさくさに、船上にいる左母二郎が村雨をすり替えてしまうという計略である。謀り事は見事に思惑通り進行するが、しかし、宝刀を見た左母二郎はその来歴を察し、これをさらにすり替えて自分のものとしてしまった。
そうとは知らぬ信乃は、浜路との別れを経て、額蔵と二人許我に向けて旅立つ。道中、額蔵は信乃に、あの浜路の様子では自害するかもしれない。自分は蟇六らから、隙をついて信乃を暗殺し両刀を持ち帰るようにと命令されている。争って逃げたように見せかけて蟇六方へ戻り、浜路を護衛しようと提案。二人はここで分かれることとなった。
そのころ左母二郎は、蟇六方が婚礼準備で賑わっているのを見、騙されたことを知って逆上。浜路をさらって逐電してしまっていた。浜路は村雨丸を取り戻そうと抵抗し左母二郎に斬りかかるが、逆に斬られてしまう。そこに現れ、左母二郎を倒したのは犬山道節忠与という人物。火遁の術を使う男で、左肩にこぶと、牡丹の痣がある。道節は、自分は管領扇谷氏に滅ぼされた練馬家の家臣であり、浜路の兄であると告白する。浜路は、村雨丸の由来を語り、信乃に返すよう遺言し、扇谷氏を滅ぼすのに役立てた後に返すと道節が誓ったのを聞いた後、力尽きた。
その場に居合わせて全てを見ていた額蔵は、道節風情が管領家にかなうべくもない、このままでは村雨丸は永遠に戻らないと考え、道節に斬りかかるが、左肩をわずかに斬るのみで火遁によって逃げてしまった。その際、道節の肩からは「忠」の珠が現れて額蔵の手に残り、逆に額蔵の「義」の珠は道節に手に渡る。道節も一党であることを知った額蔵は、安心してその場を去るのだった。
そして額蔵が蟇六方に帰ると、蟇六と亀篠は、浜路もおらずさらには偽村雨丸を献上しようとしたために怒った宮六らに斬殺されていた。悪人といえども主人には変わらず、額蔵は宮六を討ち果たす。ところがその場を逃げた宮六の属官五倍二が額蔵を讒訴。額蔵は殺人容疑で捕まってしまうのだった。
一方、信乃は許我に着き足利成氏に拝謁する。前夜に村雨丸のすり替えに気づいた信乃は正直に訴えるのだが、執権横堀在村は信乃を扇谷らの諜者であると決め付け、討伐を命ずる。切り結んで芳流閣に逃れる信乃に手をこまねいた在村は、いま獄中にいる捕縛術の使い手犬飼現八信道に退治させようとする。
第四輯(第三十一回 - 第三十八回)
芳流閣上で格闘する信乃と現八は、屋根から落下。ちょうど川上に浮かんでいた船の上に落ちて流されてしまった。それを助けたのは古那屋文五兵衛という男。文五兵衛の子の小文五と現八は乳兄弟であり、現八が流されてきたのを見て救ったのである。先に覚醒した信乃が、落ち着いて現八を見ると、その右頬には牡丹の痣があった。百姓糠助が生き別れた子こそ、現八だったのだ。
息を吹き返した現八と信乃は意気投合し、互いの珠と痣の由来を語る。それを聞いた文五兵衛は驚き、小文五も「梯」の珠を持っており、尻に牡丹の痣があると告白する。実は文五兵衛は神餘氏の旧臣であり、滅亡のおりこの地に逃れて旅籠を開いたのである。そのとき姓は捨てたのであるが、小文五は犬太という与太者を退治したことにより、村のものから犬田小文五と呼ばれているのだ。
その場に小文五も現れ、連れ立って文五兵衛方に戻った一行、現八・信乃・小文五は義兄弟の誓いを立てるのだった。
小文五は夜半から喧嘩の加勢を頼まれて出かけ、現八と信乃は宿を取る。だが、信乃は次の朝、にわかに破傷風の症状を発し寝込んでしまった。現八は薬を買いに志婆浦(芝浦?)へ立つ。
そして所用から帰る途中の小文五は、荘官らに捕らえられた文五兵衛に行き会う。信乃らしき男を旅籠で見たという通報により捕縛されてしまったのである。文五兵衛を人質に、信乃の首を取れと荘官らに命令された小文五は、困り果てて帰宅するのだが、そこに妹の沼藺が現われる。沼藺は山林房八に嫁に行っていたが、最近の相撲勝負で小文五に負けて以来、それが不満らしい房八との間に揉め事が連続しており、それがもとで離縁されたというのである。そしてさらに房八も現われ、押し問答の末斬り合いの修羅場に発展。大立ち回りの中で房八の息子大八は房八に蹴られて息絶え、止めようとした沼藺は房八に斬られ、その房八は小文五に斬られてしまう。
房八は告白する。実は房八の父は、神餘氏領内の百姓杣木朴平で、定包の計略に乗って暴発した百姓の一人であった。先日現八・信乃・小文五の球と痣の話を立ち聞きしたのだが、そのとき、これは神餘氏・金鋺らに関わる宿世の因縁であるに違いないと感じたのだ。信乃は許我勢に追われているが、父の宿縁を晴らすには、我が生命を賭してでも、この危急を救うべきだと考えた。自分は信乃と面貌が似ているから、自分が身代りになればよい。自分の首を持ち、信乃を助けよ。これまで小文五に難癖をつけてきたのは、全てこの計略のためである、と。
小文五は家に伝わる破傷風の特効薬「混ぜ合わせた男女の生血」を房八と沼藺の血によって生成し、信乃は回復。その場には先日来より旅籠に止宿している修験者も現われる。実はこの修験者、丶大法師その人であった。丶大は一同に八つの球が現われるに至った子細を語り、蹴殺された大八を抱きあげる。すると、大八は息をふきかえし、その生まれてから一度も開かなかった左のこぶしから、「仁」の球が現われて脇腹に牡丹の痣が浮かび上がった。丶大はこれに犬江親兵衛仁と名付ける。そして房八は小文五の介錯によりこの世を去る。
薬が手に入らず虚しく帰った現八も戻り、ここに四犬士が揃った。丶大は里見家へ戻るよう要請するが、信乃らは、残りの犬士を探した後に帰参することを誓うのだった。
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八犬士のうちここまでで六人が登場。信乃を中心に話が進んでいます。
考 犬塚信乃戍孝 村雨丸を盗られ古河公方には追われ天涯孤独の身になり病気はするし、さんざん。
義 犬川荘助義任 主人と管領陣代を殺した容疑で拘留中。運の悪い男だ。
忠 犬山道節忠与 現村雨丸所有者。とりあえず顔見世。火遁でどろろん。
信 犬飼現八信道 捕物名人。ちょっと影薄い?
悌 犬田小文吾悌順 「悌」は年長者に従順であるという意味。ただの乱暴者にしか見えない 笑
仁 犬江親兵衛仁 一人だけ子供。己の生命をもって仲間を救うというかっこよすぎる父を持つ。後半は主役になるらしい。
そろそろ全く話を知らない領域に入ってきた。複雑に人間関係が絡み合って進行していく。これは相関図を書きたくなるなあ。登場人物が多すぎて難しそうだが…
二次生産物を作りたくなる話というのは深みのある傑作である場合が多く、というか既にさんざん二次創作されつくされている定番作品であるわけであり、やはり先人の目にかなったものには触れてみるだけの価値があるのだということか。
まだまだ導入部なので、これから話がどう発展していくのか、先が楽しみだ。
参考サイト:
岩波版あらすじ
すのものの「『南総里現八犬伝』を読む」
素晴らしい浮世絵つきの紹介
南房総データベース
あらすじ・解説・考察などなど、情報量の多いファンサイト
「南総里現八犬伝」白龍亭
2006累計 107冊/94タイトル