uruyaの日記: 夏と冬の奏鳴曲 / 麻耶雄嵩
夏と冬の奏鳴曲 / 麻耶雄嵩
★★★☆☆
二十年前、間宮和音という少女に魅了された六人の男女が、和音を女優とした一本の映画を世に出し、その後隠岐の海上に浮かぶ絶海の孤島和音島に籠って共同生活を送った。その暮らしは和音の死とともに終焉を迎え、現在までの歳月が彼らの上に流れる。そして今、当時和音島にいた者たちが、同窓会を開こうと島に集結した。
和音に殉死した武藤を除いたメンバーは、当時パトロンの役割を果たしており事件後島に残った水鏡、呉服屋の若旦那結城、貿易会社社長村沢、村沢の妻になっている武藤の妹尚美、洗礼名をパトリクという神父の小柳。
若き編集者のたまご如月烏有(きさらぎ・うゆう)とアシスタントの女子高生舞奈桐璃(まいな・とうり)は、雑誌の密着取材のために彼らに同行し、島に建築された異様に歪む館、和音館に逗留することになったが、お約束のように次々と不気味なエピソードが起きる。館に暗躍する何者かの気配、和音に生き写しの桐璃、切り裂かれた和音の肖像画。
そしてついに、季節外れの雪が降った朝、水鏡とみられる首なし死体が発見され、使用人夫妻が姿を消した。本土との唯一の連絡手段である電話を切られた彼らは、迎えの船が来るまでの五日間を、島に閉じ込められることとなった。
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はい、こちらは日本版「殴りっぱなし作家」。
最後で盛大に崩れ落ちさせる、ただ一点、それだけの目的で砂上の楼閣を念入りに緻密に積み上げていく作業ってのは、楽しいんでしょうなあ。
まじめにストレートに受け取っちゃうミステリ者なら怒り出すか、混乱してあれこれ解釈つけようと右往左往するだろう話。だからこそ面白いというか、絶対ニヤニヤ笑いながら書いてるよね、こいつ、というか、混乱の極にある他の読者を想像するところまでがこれの面白さ、というか。
なんとなくアンチミステリ的な皮肉やパロディに見えるところも面白くて、メタな楽しみ方をしないとついていけないだろうと思われ、なんつーか、某殊能将之作品で笑える人とこれを楽しめる人はたぶん同種の人種であるだろうと思った。
桐璃のあざといキャラはミステリに萌えを持ち込んだ森博嗣あたりのパロディなんでしょうかね。本格っぽいおどろおどろしい空気が生まれそうになると、いちいちでしゃばって来てぶち壊すクラッシャーぶりが印象的でした。そのあたりも意味ありげ。全てが意味ありげに見えてくる不思議。もちろん、そう思えてくる時点で騙されているんだと思われます。
まああれですね、結論的には「怪作」の一言しかないですね。まじめな人は読まないほうがいい。
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