uruyaの日記: 確立2/2の死 / 島田荘司
確立2/2の死 / 島田荘司
★★★☆☆
巨人軍のエース川口投手の息子が誘拐された。試合中の川口にかわり、一千万の身代金を持って犯人との受け渡しに向かった吉敷は、犯人の計略によって公衆電話から公衆電話へと何度も走らされ、ヘトヘトになったところを、ついに犯人に押さえられる。しかし、なぜか犯人は身代金を取らず、子供の居場所を告げて去っていった。
平凡な主婦甲斐佳子は、夫の留広が自分に無断でもう一月も前に会社をやめ、借金までしているらしいことを知り、ショックを受ける。さらに、毎週火曜日の午後に家の近所の同じ道をぐるぐる回っている不信な白い車を運転しているのが留広だと知った佳子は、あまりの不審さに耐えきれず、毎日金策と称して出かけている留広の後をつけて、怪しげな活動をしていることをつきとめる。
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吉敷シリーズ。
2時間程度で読み終わる長めの中篇程度の話。特にひねりもない落ちが唐突についた印象で、感心するようなことも心に残るようなこともなく、つまらないわけではないが、読んでおくべき理由があるとも思えない。さっくり軽く読むぶんには良い。
南雲堂の愛蔵本で読んだわけだが、この版には島田荘司の自作解説がついており、本編よりもむしろそちらの方が面白い。社会派推理全盛期に世に出した「占星術殺人事件」「斜め屋敷の犯罪」が一部のマニア以外には全く受け入れられず、迎合する形でトラベルミステリの「死者が飲む水」を講談社から出した。その頃文庫レーベルを創設しようとしていた光文社がそこに目をつけ、吉敷シリーズが生まれた。というミステリ出版界の裏話。ここだけは、未読の人は立ち読みででも読むといいかもよ、と思った。
ファンには周知の事実なのかもしれないけれど、カープファンだったこともカミングアウトしている。広島県人だもんな。「巨人の川口」ってたぶん川口和久がモデルじゃないか。まさか本当に巨人に移籍するとは、執筆時は夢にも思っていなかったに違いない。川口が頭角を現したのが83年。光文社文庫での初版が85年。移籍したのが94年オフ。南雲堂版の出版が95年1月。この解説を書いたのはちょうどFAでごたごたしていた頃だろうか。
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