uruyaの日記: 最後のウィネベーゴ / コニー・ウィリス
最後のウィネベーゴ / コニー・ウィリス
★★★☆☆
女王様でも
「サイクリスト」になろうとしている娘を改心させるべく、家族の女たち一同は策略をめぐらす。《解放》以前の状態に戻すという「サイクリスト」とは…?
タイムアウト
タイムトラベル理論の実験のため、ずっとチベットで禁欲生活を送っていた心理学者の中年男が呼び寄せられた。そして彼の助手として、夫と二人の娘を持つ主婦がつけられるという、ちょっと変わった人選。この二人を狭い一室に閉じ込めて、幼稚園児を被験者にして実験が進められる。
スパイス・ポグロム
異性人の出現によって、スペースコロニー"ソニー"には野次馬やら『異性人映画を撮るために視察に来ているはずのスピルバーグ』の目にとまるため集まってきた子役やら、有象無象が大挙して押しかけてきていた。クリスの住むアパートでは因業大家がこの機に乗じ、廊下一区画階段二段という単位で住人に貸し出す始末。クリスの部屋にあるシャワールームを共同で使うため、毎日行列を作っている。
そんな状況なのに、クリスとルームシェアしている異性人オーキフェノーキときたら、ピアノやら何やらかさばるものをせっせと購入し、狭いアパートをさらに狭くしてしまうのだ。挙句の果てにハッチンズという男まで拾ってきて、ここに住めと言い出す。クリスの部屋の利用に関する自分の権利を、この男に又貸しすると言うのだ。
クリスはオーキフェノーキとの同居を頼んできた婚約者、NASAで異性人との交渉に携わっているスチュアートに相談するべく電話をするが…
最後のウィネベーゴ
各州で走行が禁止され、絶滅の危機に瀕しているキャンピングカーの車種「ウィネベーゴ」の取材に向かっていたデイヴィッドは、その途中、車に轢かれて死んでいる一頭のジャッカルを発見する。イヌを始めとした多くの動物が絶滅しているこの世界では、動物を轢くことは重大な犯罪なのだ。「協会」へ名も告げず通報し、あらためて取材に向かうデイヴィッド。彼は、過去の事件を思い出していた。彼の愛犬アバヴァンも、事故で死んだのである。ケイティが運転する車に轢かれて。
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奇想コレクション。
ええと、ものすごく読みにくいんですよ。個人的に。
断片的な情景を細かく描いていき、ある程度ピースが揃ったときに全体像が浮かび上がる、という手法を全ての作品で取っていて、もちろんその手法はきれいに効果的に決まっているんですけども、どうも一種独特の冗長さと切り替えテンポのずれ、無用の修辞というのを感じてしまって、すんなりと頭に入ってこない。加えて俺の場合、重症の「カタカナ名前が覚えられない病」患者でありまして、正直無理。イメージつかめない。読書作法の話なんですが、俺は本を読む場合いつも、まず「ストーリーのしっぽ」というべきものを捕まえるんです。イメージを脳内スクリーンに映し出す契機となるもの、ですね。ある程度の設定と人物名、あらすじを理解してからそのしっぽを捕まえると、それ以降は勝手に脳内で役者が動き出して、ぐんぐん読み進められるわけです。しかし、この四編の場合、最後までしっぽを捕まえることができなかった。というか、しっぽの影も形も見えなかった。
思うに、この冗長さはですね、女性がペラペラと世間話をまくし立てているときと同種類の回りくどさだと思うんです。「オンナの文章」なんですね。たぶん、ジェンダー系の皮肉や、ロマンチックコメディ的な要素を多く取り入れているこの女流作家の特徴から考えるに、たぶん意識して「オンナの文章」を書いているんじゃないかなあ。
そこが、合わんのですね、どうにも。女性の世間話を聞いてると「で、結局何が言いたいの?」と突っ込みたくなる野暮極まりないタイプなもんで。
お話は面白いんですよ、「女王様でも」だけは男にはピンと来づらいネタだったけど、「タイムアウト」「スパイス・ポグロム」は落ちでニヤッとさせられるロマンチックなスラップスティックコメディだし、「最後のウィネベーゴ」はうってかわってペットロスがテーマの泣けるSFミステリ。
けど、やっぱりダメなんだなあ。面白い作品なのに共感できないのは残念ですが、あわないものはあわないんで、しょうがない。
追記。
一部意識せずにインスパイヤしていた文があることに気づいたので消しました。たぶんフレーズが記憶に残ってて、かなり似たような文章になってた。相当劣化コピーになっちゃってますけど。無意識にインスパイヤって本当にあるんだ…
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