uruyaの日記: 怪 vol.22
前巷説百物語 / 京極夏彦
第五話 山地乳
道玄坂の縁切り堂の絵馬の裏に名前を書いて奉納すると、名を書かれた者が死ぬ、という。確かに誰が名を書いて誰が死んだという明確な話はいくつかあるものの、まさかに神仏の力などではあるまい。死んだのならば、殺されたのだ。しかし、誰が何の目的で殺すのか?
絵馬の噂を聞いた同心志方兵庫は堂に乗り込み、ある思い切った策に出る。
一方、又市のもとには上方で小悪党を束ねている一文字狸こと一文字屋仁蔵からの使者、祭文語りの文作と玉泉坊が訪れ、ゑんま屋に六百両の損料仕事を持ちかける。関東の裏家業の元締め、稲荷坂の祇右衛門の外道仕事を潰そうというのである。
モダンライフ / 岩井志麻子
都会で暮らすモダンライフにあこがれて分不相応な高級アパートに住んでいるわたし。他の住人たちのような良家の子女ではない、一介のカフェーの女給であるわたしがここに住めるのは、お色気が売り物のカフェーで働いて、時には「休憩」にもいくから。昨日も、いつも「休憩」する武智さんと一緒にお酒を飲んだ、と思う。飲みすぎて記憶がはっきりしない。そして重い頭をかかえるわたしに追い討ちをかけるように、いつもの女学生の、コンコン、が始まった。少しおかしくなっているらしい女学生が四六時中壁をたたく音に、住人はみな迷惑していたのだ。
神秘家 水木しげる伝 / 水木しげる
第三部
結婚後も相変わらずのワーキングプア。しかし貸本から雑誌の仕事に切り替えると、どんどん仕事の注文が入るようになる。家に憑いていた貧乏神はいつのまにかいなくなり、かわりに福の神が住み着いていた。ゲゲゲの鬼太郎が大ヒットすると、今度は逆に忙しくてたまらない。妖怪「いそがし」にとり憑かれる始末。そんな中、水木は軍曹ら戦友と語らい南方へ旅行し、トペトロと再会する。南方から帰ると水木は仕事を減らすが、そうすると今度はテレビの仕事など、さまざまな催し物にかり出されるようになった。
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文芸書消化中のため感想など。
前巷説百物語
前巷説全体の構造が判明した回。前回に続いて玄人衆が出てきたことで、最終回は玄人衆との対決になるであろうことが予想されます。連載は今回で終了、最終回は書き下ろし中ということで、これはつまり怪を購読している読者も単行本買えということですよね。角川書店もせこい商売しやがる。最終回だけ読んだ後に新古書としてマーケットプレイスに出しますよ「ほぼ新品」で。ささやかな抵抗。
モダンライフ
幽霊譚な怪談話。短い小品ですが、陰鬱で不気味な空気はお手の物。というか岩井志麻子の場合本人のキャラの方がよほどホラーであって、読みながらも常に著者のイメージがまとわりつくという「著者が作品を食っている」稀有な作家ですな。それが良いことなのか悪いことなのかはさっぱりわかりませんが。
水木しげる伝
貸本業界から雑誌業界への転身と、鬼太郎で大ブレイクするあたりまでを中心に。貸本から雑誌に移り変わるあたりのマンガ業界内部事情などはとても興味深い。ワーキングプアな貸本マンガ家に比べ、雑誌の仕事は原稿料がケタ違い。しかし人気が出ないとすぐに仕事がこなくなり、いったん雑誌に行ってしまうと貸本業界にも戻れなくなってしまう。そこの見極めができないマンガ家はどんどん廃業していったとのこと。
鬼太郎ブレイク後は「現在に至る」という話であると思われ、次号以降も続くのかはわからん。
その他
特集はゲゲゲの鬼太郎。第五期アニメが4月からフジテレビ系で日曜朝の放送だそうです。猫娘が萌えキャラ化しているのは時代の流れでしょうか。ウエンツ鬼太郎とにょういずみおうのねずみ男の実写版映画情報もあり。
他、連載中のコラムや記事論文の類いは特に変わったこともなく。
あ、あと妖怪研究家ヨシムラが紹介されていました。
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