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uruyaの日記: KENZAN! vol.2

日記 by uruya

KENZAN! vol.2

注) 続きもののあらすじはネタバレになってます。

朧夜半次郎 / 平山夢明
渡世人半次郎の左眼は、まるで白内障のように白く濁っている。しかし、朧夜の二つ名の由来となった半眼、これに念を籠めると、半次郎はひとの「運命」を見ることができるのだ。
岩五郎一家に追われ、毒刃にかかった半次郎。行き倒れたところを百姓の媼に助けられ、その礼として村の茶屋に使いに出る。岩五郎の一味が茶屋に出入りした気配はないかと、左眼の力で探りを入れるが、そのとき見えたものは、茶と団子を運ぶ鬼の姿だった。茶屋の女将の姿が鬼に見えたのである。

緋色の空 / 池永陽
第一回
大工芳蔵方で住み込み修行中の清吉は、はじめて普請を任されて建造中の家を火事で失ってしまい、さらにひどい火傷によって左腕が動かなくなってしまった。可能性は低いが治る見込みはあるという医者の言葉を信じリハビリに励むが、腕は動かない。このままでは芳蔵の家を出るしかなくなる。幼馴染のおとし、与助と一緒に暮らす家を建てるための大工修行も、芳蔵の娘おきぬとの恋も、果たせなくなってしまうのだ。
思い余った清吉は、汚い手段に出てしまう。ほとんど治る見込みは無いが多少は動くようになった左腕を、順調に回復しているように見せかけ、その間におきぬと関係を持ってしまおうと画策したのだ。それはほとんど成功するのだが、最後の最後、いざという場面で破綻。絶望した清吉は失踪してしまうのだった。

お控え様行状記 / 島田一男
雲州松江藩主松平出羽守の弟虎寿丸は、藩主に子が無きときは次代の藩主となるが、世継ぎができた途端に用済みとなる「お控え様」であった。ただ生きているだけが職業のようなものだが、愛妾の由美と共にのんびり楽しく過ごしている。由美の兄はお耳役を勤めており、いつも面白げな話を由美から伝え聞くのが常であったが、その話の中で、三浦兵庫守下屋敷に勤める下女が身篭った上に死んでいたという噂を聞く。その話に興味をひかれた虎寿丸は、真相に迫るべく探索を開始する。

畠中恵 / シユウクリーム危うし
維新前は旗本の若様であった「若様組」の長瀬巡査。そのじいやが危篤になり、出奔した息子に会わせてやるため、長瀬と真次郎らは貧民窟へ捜索に来ていた。捜索には地元のストリートチルドレンらの情報網を借りるが、その報酬は本格西洋菓子のシユウクリームである。
親分の一人、安野の力により息子は程無く見つかる。しかし、安野が力を貸したのは、シユウクリームだけが目的ではなかった。先月貧民窟に移って来た元士族の少女が母親を亡くし、その家に泥棒が入ったという。盗むものなど何もないはずの少女の家で、賊は何を盗んだのか?犯罪捜査のプロである巡査の力を、安野は逆に借りようとしたのだ。その報酬は、裏社会の情報網提供である。

山彦ハヤテ / 米村圭伍
第二話 雪ごもり
すっかり里心がついてしまったハヤテはマサの様子を見に城下町へ降りるのだが、またまた正春は姿を消してしまっていた。気を揉む馬回り役の三人と一緒に、ハヤテは正春の捜索に加わることに…
前回の刺客撃退によって首謀者である次席家老は腹を切ったものの、折笠藩の御家騒動はまだまだくすぶっている。弟君の母親である秋徳院は健在で、なにやらいろいろと企んでいる模様。また、逆に、次席家老の失脚によって力を増した筆頭家老は、その地位をますます磐石にするために小細工を仕掛けている。御国御前、要するに現地妻を娶るべしとして於志摩という縁続きの美女を送り込み、藩主を篭絡しようとの作戦。正春はそのような思惑に反発しながらも、於志摩の色香に抗し難いのであった。

復字布 / 森福都
夢の世界では十一年が過ぎている。四十七歳の二郎は一時宰相に列を連ねるほど出世したが現在は洛陽に左遷中。七娘は二十四歳独身で相変わらずの女丈夫。二郎の養女となった小妹は十一歳の少女に成長した。
七娘は太平公主の知己を得て、娘子軍の武術師範として仕官を願い出る。その目的は、親しく付き合っているご近所裴家の長男逢吉を探すために宮城に潜入することにあった。逢吉は陳元達と思しき男に拉致されたらしいのである。しかし、宮城内の庵で確かに逢吉を見つけたのだが、どうも様子が違っている。逢吉は、何らかの目的で、自分から身を投じている風情なのだ。
同じころ、宮城では謎の毒殺事件が多発している。七娘に近づいてきた宦官の高力士は、太平公主が臨淄王の暗殺を謀っているのではないかとの見解を示し、捜査の協力を求めてくる。

南大門の黒壺 / 岩井三四二
第二回
周防国からの木材の到着が滞り、大仏殿再建は遅々として進まない。一時は重源上人更迭案まで出るのだが、奥州藤原氏の討伐により平治の乱に続く一連の政変が一段落すると、ようやく順調に木材も届くようになり、上棟式にまでこぎつける。夜叉太郎は上棟式であずさに再会。一時は結婚を申し込んだものの、夜叉太郎の不甲斐なさによりどこかの公家の玉の輿に乗ったと聞いたあずさ。しかし実は、公家の小者の家で籠の鳥のような暮らしをしているらしかった。とはいえ、それを知ったとて夜叉太郎には何ら為す事もできない。周防行きを命じられるに任せ、夜叉太郎は任地へ向かう。周防でしばらく木材の伐採に従事するが、播磨へ行くはずだった仲間が不慮の死を遂げたため代わりに行くことになり、播磨で快慶という仏師に出会う。

柳生大戦争 / 荒山徹
第二部 美神流離ノ巻
美しき剣士、柳生刑部少輔友矩は徳川三代将軍家光の寵愛を得、ただその愛をもって二千石を賜るほど夢中にさせていた。その寵愛ぶりに危機を感じた大奥は、友矩排斥運動を起こそうとする。それは、家光が奥向きに見向きもしないため、未だ世継ぎを得ることができない大奥の、あせりからであった。
その動きを敏感に察知した宗矩は友矩を呼び寄せ、因果を含めて柳生ノ庄へ篭もらせようとする。それに対し友矩は、宗矩との真剣試合を所望する。家光との別れよりも父に斬られることを選んだのだろうと理解し、万全の体制で試合に臨む宗矩。だが、それは大きな誤りである。父に似た、いや、父を超えるほどの謀略の才を持つ友矩は、かつて密かに習得した神後伊豆直伝の神後新陰流をもって、父を排除しようとしたのだ。
そして死闘の後。史上、以後は柳生に隠棲し程なく夭折したとされる友矩は姿を消し、宗矩は跛となる。すべては、柳生一族以外のものが知ることの無い、極秘のうちに。
一年ほどがたち、友矩の捜索に血眼になる宗矩に、友矩と交流があったらしい対馬藩士早乙女景盈の情報が入る。探索のために対馬藩とのパイプを欲した宗矩は、折りしも朝鮮通信使の再会に関する交渉が難航していた対馬藩に対し力を貸す。柳生家先祖悪十兵衛が残した一然書翰、これを公表するぞと、脅したのである。
時に朝鮮では後金との戦いに忙しく、さらに倭国からの恫喝を受けたことで、急ぎ会議を招集する。実は、檀君神話の捏造は、朝鮮の支配者階級では公然の秘密だったのだ。真筆を疑う余地のない一然書翰。議論は二転三転紛糾するが、その議論の行き着く先は、柳生友矩の処遇であった。友矩は、柳生家退転後朝鮮に渡り、朝鮮剣士の育成にあたっていたのである。将軍家指南役の柳生友矩が朝鮮の士を指導している、これは柳生家の存続を揺るがす事実であるのだ。
友矩の首と一然書翰との等価交換を図る一派に命を狙われ、計略に陥れられた友矩。だが彼は、彼が育成した美少年剣士団の多数の命に支えられ、辛くも脱出を果たす。しかし、そうなると困るのは襲撃した側である。無敵の剣士友矩と友矩が育成した美少年剣士たちを敵に回し立ち向かうに足る武人は、文治国家朝鮮にはいないのだ。
このようにして宗矩は、朝鮮から、柳生剣士を貸していただきたいと頼まれることとなる。そして後金に奔った友矩の使者が柳生家を恫喝してくるに及び宗矩は、十兵衛にお目付け役として宗冬をつけて、朝鮮へ派遣することを決断する。

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朧夜半次郎
邪気眼ネタ+イヤな話&イタい話。イタタタタ…
平山夢明という人は怪談や猟奇殺人などの話をテリトリーとする作家・ライターで、まあその経歴どおりに猟奇的怪奇的な描写がある股旅もの。下腹のあたりがむずむずするような不快感を感じる。だがそこがいい。

緋色の空
導入部。このお話の主人公が誰かも、まだはっきりしてない状況なので、なんともいえないけれど、おきぬの嫌らしさがいい感じですね。とんでもない悪意を隠し持っている匂いがぷんぷんと漂ってきて、楽しくなります。悪夢のようなどす黒さを見せつけてほしいですね。

お控え様行状記
再録物。この著者、ミステリの人だよね。要するに捕物帳であり、短いお話ということもあって、それ以上でもそれ以下でもなし。若干浮世離れした文体と、会話だけで場面を構成する手法を多用しているのが特徴的か。

山彦ハヤテ
やわらかくて読みやすい語り口と、登場人物が全員ちょっとずつ天然ボケ入っている軽やかなユーモアは第一話同様なのですが、今回面白かったのは「この語り口でエロ描写するんだ、この著者」というところ。さすがに直接的な表現は無理だろうから比喩表現してるんだけど、それがまた妙におかしい。槍の穂先だの肝心所だの 笑 この作家面白い。

復字布
高力士に太平公主、おなじみの名前が出てまいりました。前回から10年ほど時代が進んだことで、なんとなく展開が見えてきた感じ。しかしこの時代、数十年後に楊貴妃が出てくるまでほとんど波風の無い平和な治世のはず。次の舞台はどこだろう。やはり楊貴妃かな。それとも時代を飛ばさずに続けて玄宗初期か。
このお話をかなり楽しんでいる自分に気づいた。

南大門の黒壺
連載第二回、まだ全体像が見えず。快慶が出てきたのはスポット参戦か、それともここが主軸か。あずさはどの程度絡んでくるのか。

柳生大戦争
誰かとめろ、この男を。
原稿受け取って最初に読むのはもちろん編集者なわけですが、たぶん読んで爆笑してるだろ?編集者。おまえがとめろって話ですよ。若竹じゃねぇよ馬鹿。ゴメスとかジンゴイズとかチャンドンゴンとかさあ…逆宝塚なんだか戦隊なんだかよくわからんしさあ…なにこのパロディギャグ小説。読みながら何度も口を突いて出るのは噴き笑いと「馬鹿だろこいつ…」のただ一言。
話の骨子としては、後金(後の清国である)へ奔った友矩 VS 朝鮮へ渡った十兵衛という構図、舞台背景が明確になるところまでが描かれるわけだが、まあひどいのなんの。絶世の男色家友矩が織り成す濃厚な薔薇世界の上に最低な思いつきギャグをかぶせて、あげくにまたも捏造講座ですよ。なにげに捏造大国認定ですから。そのうち半島から刺客がくるぞ。
しかしだ、根底にあるストーリーは、壮大な舞台設定の上で血沸き肉踊る冒険譚の展開を予感させる、骨太な伝奇世界なんだよなあ…この世界を最低最悪に下劣な頭の悪いネタと真顔でコンボしてくる、この荒山徹という男はなんなんだ。なんなんなんだ。面白すぎる。ああくやしい。

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犯人は巨人ファンでA型で眼鏡をかけている -- あるハッカー

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