uruyaの日記: 不連続殺人事件 / 坂口安吾
不連続殺人事件 / 坂口安吾
★★★☆☆
歌川一馬に呼び出された私は、この夏を一馬の家で過ごしてくれ、と頼まれる。山奥の素封家である一馬の家では、一馬の妹が招待した男たちが毎日ケンカにあけくれていたのだ。奔放な性格である一馬の妹はそれを面白がっているのだが、どうにもやりきれない。そこで、戦争中歌川家に疎開していたメンバーを呼び寄せて、楽しくやろうというわけである。
話はそれだけではなく、実は、一馬の母親の死に関する脅迫状めいたものが一馬のもとへ届けられていたのだ。この真相を探るのも面白そうではないか。さらに、一馬とは近親相姦めいた愛情で結ばれているもう一人の腹違いの妹が、私の妻と親友であり、ぜひ妻を伴って病弱な妹を慰めてやってくれという。
求めに応じて、妻を伴い私は歌川家を訪問する。しかし歌川家には、一馬が呼ぶつもりのなかった招かれざる客が、何者かによって巧みに一馬の招待を偽装され、呼び寄せられていたのである。
いずれおとらぬ強烈な個性を持つ奇人たちが集まった山荘で、幾多の惨劇が幕をあける。
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冒頭30ページくらいまでの間に30人くらいの名前が出てきて、まずは度肝を抜かれました。馬鹿もーん………!通るかっ…!こんなもん…!覚えられるわけがねえ。あわてて相関図書いたんだけど、流して読んだら誰が誰やらさっぱりわからんと思われ。リーダビリティなどガン無視。アウトオブ眼中。さすが文豪、豪腕ですなあ。
で、手製の相関図を片手に読み進むんだけど、それでもまだよくわからんのですよ。なにせ出てくる人物がそろいもそろって奇人変人大集合。どいつもこいつもナナメ上の行動をしやがる。何を考えての行動なんだかさっぱりつかめない。
まあそういうお話になってるのは相応の理由があって、これが純然たるパズラーだからです。まず材料を読者に全て提示して、さあ解いてみろ、というわけ。妙に技巧を弄したり、中途半端にドラマを描こうとする新本格諸氏などよりいっそ清々しい。
逆に、読むほうにも、さあ見抜いてやる、という心がけが必要になってくると思われるのだが、そちらの方はからきし持ち合わせていないのでごめんなさい。話を追ってふーんなるほどで終わってしまった。フーダニットは自分に合わないのがわかっているのに読んで、やっぱり合わないなあと再確認することを何度も繰り返して一向に懲りないしもう読まねえ!とも思わないってのは、畢竟、合わないながらも嫌いではないんだな。
まあ坂口安吾という文豪の余技、引き出しのひとつかと思われます。純度の高い犯人あてミステリでした。
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