uruyaの日記: Yの構図 / 島田荘司
Yの構図 / 島田荘司
★★★☆☆
上野を基点に大宮を分岐し新潟と盛岡へ、Y字型に伸びる上越・東北新幹線。新潟を発車して上野駅に入ってきた上越新幹線と、ほとんど同時に盛岡から上野に着いた東北新幹線、それぞれのグリーン車両に、一方は女、もう一方は男の毒死死体が単独で乗っていた。発見者の車掌の目の前で、女の死体から一頭の蝶が舞い上がる…
身元はすぐに割れる。その男女は、いま世間を賑わせているいじめ自殺事件の渦中の人物であった。盛岡の中学生木山君がいじめを苦にして自殺。死んでいた女は、いじめグループのリーダー格の母親であり、男の方は、いじめを黙認するばかりか加わってさえいた担任教師である。この二人は、事件について諸々の相談などを交わすうちに男女の仲となっていたようである。世間の風当たりによって盛岡に住めなくなった女は、今は新潟に移り住んでいるらしい。
事件を苦にし、示し合わせて服毒自殺を図ったものかと思われたが、数々の不審な点を目にした吉敷刑事は、真相を探るべく盛岡へ向かう。
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飼い猫が入院しちゃって読書どころじゃない昨今ですが、ぼちぼち読んでました。吉敷シリーズ。
突っ込みどころが多い作家といえばまあ数多くいるわけだけども、島田荘司も相当アレな一人であるわけですよ。
盛岡で現地の菊池刑事と一緒に捜査に出た吉敷。ところがその途上、彼ら二人が乗る警察車両のフロントガラスが、突如として粉々に砕け散った。すわ、銃撃か!…しばらく周囲を見渡していた二人は、その後の動きがないことから、犯人は逃げたものと判断。そのまま車両を運転してディーラーに乗り付けて修理を頼み、たまたまディーラー側が用意できた代車に乗って、捜査を続けるのであった。
馬 鹿 で す か ? 笑
社会派原理主義者ならここで壁に投げるね。渾身の力で。
他にも、山中で自殺をはかった重要参考人をそのまま一人でホテルに泊まらせるとか、まあこれは後でフォロー入ってるけども、ありえないような行動を多々起こすんだなあ。どうしてつらっとした顔でこれ書いちゃうのかなあ。編集も何も言わないのかなあ。
平気でこんな描写しちゃうのはたぶんおそらく、島田荘司という作家の根っこの部分が「奇想トリックの人」だからなんじゃないだろうか。
この作品の場合「Y」のダブルミーニングと事件構造、いじめ問題というテーマ、書きたいものが先にあって、それを書くために話を構成する。個々の描写というのは最終的に完成されるパズルのピースに過ぎないわけで、ピース自体の整合性はそんなに気にしない。ということなんじゃないかなあ。
要するに、本格メソッドで社会派推理を書いているのだが、ある一定の様式美・お約束の上で成立する本格とは違いリアリティが要求される社会派では、しばしば噴飯ものの描写になってしまう、のではないかと。
本筋のお話としては、わりとありがちなモチーフを扱ったものでありまして、これ勘のいい人なら途中で気づくでしょうね。いまひとつ…かな。
あと吉敷のモテっぷりが異常ですので吉敷ファンの婦女子の皆さんは萌えればいいじゃない…と思いました。
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