uruyaの日記: 夫婦茶碗 / 町田康
夫婦茶碗 / 町田康
★★★☆☆
夫婦茶碗
無職の俺は家の金が底をついたためにペンキ屋をはじめるのだが、溜まった金で妻に買い与えた冷蔵庫の卵スタック部のアクセス方式がFIFOであるべきことが気になってしかたなく、思考しているうちにペンキ屋がいやになって再び無職に。再び金に窮したため次はメルヘン作家を志す。
人間の屑
婆ぁがやってる小田原の旅館に転がり込み、若旦那などと呼ばれ一日千円の捨て扶持を婆ぁから頂戴して近所の野良猫をかまける日々を送っている俺であるが、もとはといえばそれなりに当たっているパンクロックバンドをやっていたのであり、しかしメンバーがヤクザからパクったLSDシートを俺ともう一人のメンバーで全部喰ってしまったために逃亡を余儀なくされて、ごく潰しと成り果てているわけである。
猫をめぐって婆ぁと衝突した俺は再度東京へ出るのであるが、すぐに金に困り、バンドのファンだったという旅館従業員の岩田が連れてきて合コンを催した、小松とミオ、二人の女を頼るのであった。
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いや初期の町田康に感想もクソもなくてですね、ただ単純に「読むのが心地いい」と、それだけなわけでありまして。ストーリーなんかないですよ、いつもどおりダメ人間のダメな話です。
『夫婦茶碗』は『きれぎれ』のような、パンキッシュな「詩」と小説の中間形態に近い文体。『きれぎれ』ほど突き抜けてはないですが、その系統。
『人間の屑』の方は、わりあいわかりやすくストーリー的なものが存在する、ややブンガクに近いものを感じるお話。Wikipediaによると
『人間の屑』は、谷崎潤一郎の『猫と庄造と二人のおんな』をモチーフにして、馬鹿な男を更に滑稽に描いた。
だそうで、文学の翻案なのでブンガクっぽい匂いが漂ってるんでしょうか。文字通りに人間の屑を描いたものでして、でも、お前だって、俺だって、似たようなところあるよね?という共感がグサグサ突き刺さってくる作品です。町田康描くダメ人間は全てそうですけどね。
まあ言葉のグルーブに乗ってナンセンスとスラップスティックな笑いを楽しめばそれでよし、と思います。
件の『猫と庄造と二人のおんな』がないかと思い青空文庫を見に行ったんですが、谷崎潤一郎ってまだ死後四十年なのね。一九六五没享年七十九。文豪のクセに命冥加な奴だ(偏見
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