uruyaの日記: グラスホッパー / 伊坂幸太郎
グラスホッパー / 伊坂幸太郎
★★★☆☆
元教師の鈴木は、妻を馬鹿息子にひき殺された。キャッチセールスから違法薬物販売、果ては人身臓器売買など、非合法な仕事を行う《令嬢》というインチキ会社を経営している寺原の馬鹿息子は、何ら罪に問われることもなく、今ものうのうと暮らしている。妻の復習のために《令嬢》に潜り込んだ鈴木は、だが、怪しまれて会社の女に連れ出されてしまう。しかし、そこに馬鹿息子も現れたとき、鈴木の目の前で馬鹿息子が車に轢かれて死んでしまった。そのとき馬鹿息子の背後には、何者かがいた。
鯨は自殺屋である。たとえば政治家からの依頼を受けて、不正のスケープゴートとして「罪を告白し首を吊った秘書」などをでっちあげる。噛んで含んでなだめすかし、時には荒事もこなし、自殺させるのだ。鯨の目には、従わずにはおれない有無を言わせぬ不思議な力があった。
ある日、いつものように仕事をこなしたホテルの窓から、鯨は交通事故を目撃する。轢かれた男は何者かに押されたように見えた。鯨は「押し屋」の仕事であると直感する。
蝉は殺し屋である。今日も水戸まで出張り、一家三人をナイフで惨殺。仕事は、岩西が依頼を受け、蝉がそれを処理する。岩西は電話で指図するだけで肉体労働を担当するのは蝉だけである。そのことに、蝉はいつも不満を持っていた。
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そろそろ文庫に落ちる頃という微妙なタイミングで読みました。
槿(あさがお)という押し屋をめぐり、一人の男と二人の殺し屋、そして非合法組織《令嬢》がからみあって展開されるドタバタ劇といったところで、鈴木、鯨、蝉のみっつの視点を交互に出して描く構成になっています。
「いつものイサコー」と表現すればいいでしょうか。軽いユーモアを含んだ乾いた文体で、60年代ロック・ポップのコネタなどをちりばめつつの進行。読後のなんとも言えぬさわやかさも健在で、まあ、変わらんですね、この人は。
飄々とした文章に隠れて気づきにくいけど、意外にいつも、どす黒い悪意とかグロテスクな場面を多く描く人なのだけど、今回はそこがすこし多め。生ぬるいのを期待してると、ちょっとあれっと思うかもね。まあでも、あれですよ、殺し屋とか出てきて殺伐そうに見えるけど、普通にコメディですよ。いやコメディまでは言いすぎだけど、軽妙なファンタジーですよ。残酷?こんなもの残酷のうちに入るか (鼻笑い
あとどうもイサコーの場合、途中でネタに気づいてしまうのだけど、これはなんだ、波長が合うのかな。どうしてもピンときてしまうのだ。困る。
それとね、最後の数行はいらないと思った。
なんにしろ水準以上であることは間違いなく、軽くて楽しくてでもちょっとサイコ風味…そんな小説が読みたい!みたいなピンポイントな欲求をお持ちの方には最適の一冊です。
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