uruyaの日記: 処刑御使 / 荒山徹
処刑御使 / 荒山徹
★★★★☆
安政年間。三浦半島の砲台警備にあたる長州藩士たちと共にある、小物身分の少年伊藤俊輔のもとへ、謎の刺客が襲い来る。何も無い空間から全裸で現れたその女の襲撃を避け、辛くも返り討ちにした俊輔は、死にゆく女の口から「しょけいぎょし」という言葉を聞いた。
そして以後も次々と、下っ端にしか過ぎない俊輔を、どういうわけか刺客たちが執拗につけねらう。いったい彼らはどこから現れたのか。そしてその驚くべき目的とは…?
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スピード感のある活劇でした。アクション小説として普通に面白い。最後の仕掛けも見事の一言であり、多少の歴史知識が必要だが、気づけばあっと叫ぶだろう。というか叫んだ。勘のいい人ならすぐピンとくるかもしれない。
この作品の書評・感想が書かれているところでは言われ倒してるけど、ストーリーは要するに『ターミネーター』。物語展開のテンポもよく、マンガ的なヴィジュアルがイメージ化しやすいし、非常に楽しく読める作品になっています。
徹の著作といえばネタがどの程度ぶっ飛んでるかというのが重要なファクターですが、『処刑御使』ではネタ的にはおとなしめ。それ何の特撮ネタ?みたいな大○○や大○○とか、雑魚キャラのネーミングを小説家のアナグラムで揃えたりなどのコネタがちりばめられているくらいか。あとラスト妖術バトルの下品な馬鹿馬鹿しさは異常。
幕末維新史および日清日露戦争前後といえば俺のホームグラウンド(ただし司馬史観)であり、どこまでが史実でどこからが捏造かが、わりとわかるのだ。徹のいつものくせで、捏造設定をねちねち説明するところがあるのだけども、そのあたりはニヤニヤしながら読み流せたのでテンポを損なわず、とても読みやすかった。それを除いても、どちらかというと硬質である徹の文章が、この作品ではやわらかめに感じられ、全著作中でも屈指の読みやすさになっていると思う。
全体としてとても軽く面白く読める作品であるので、非・徹ファンにもおすすめの一冊。
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