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uruyaの日記: ハンニバル・ライジング(上)(下) / トマス・ハリス

日記 by uruya

ハンニバル・ライジング(上)(下) / トマス・ハリス
★★★☆☆

ハンニバル・レクターは、リトアニアの貴族レクター伯爵の家に生まれた。ハンニバルは、妹のミーシャを愛していた。

二次大戦時、ソ連侵攻を開始したドイツ軍がリトアニアへ進入してこれを占領すると、レクター家は深い森の中の狩猟ロッジに難を逃れる。数年を経過し、ソ連軍が反撃を開始してドイツ軍を掃討。ハンニバルとミーシャ以外のレクター家の人々は、その戦闘に巻き込まれ、全員死亡してしまった。
そして幼い兄妹二人が残されたロッジへ、かつてソ連侵攻時にドイツ軍へ協力していた内通者たちが現れる。野獣のような男たちにより想像を絶する体験を強要されたハンニバルは、ただひとりソ連軍に保護された後、ロッジでの記憶を失っていた。

戦後、レクター城を改装した孤児院で暮らしていたハンニバルは、父の弟にひきとられてフランスへ渡り、叔父の妻である日本人、紫夫人と心を通わせる。
パリではかつてレクター城にあった美術品が盗品として流通していた。ハンニバルは、自分とミーシャを陵辱し、美術品を略奪した男たちが、今も呼吸を続けていることを知るのだった。

─────

映画未見。

ハンニバル・レクターはいかにして怪物となりしか、を描く話ですけども、『ハンニバル』の中にあった妹関連のエピソードを膨らませただけじゃん。その話前にも聞いたよ!

まず映画ありき、で執筆されたのは最初からあきらかですが、それにしてもどうだろう、小説としては話が単純すぎないかな。単なるサイドストーリーの域を一歩も踏み出していない。
語り口の淡白さというのもあって、怪物ができてゆく過程を表現しているので当たり前といえば当たり前ですけども、レクターの思考が普通なんですな。普通の殺人者。理解できる。前作までに見せつけられてきた、起こる事件のおぞましさや、豊かな知性に裏打ちされた確固たる狂気、そういうものがあまり感じられない。全体に、書き込みが足りないような気がする。
結局のところ、「映画撮るからなんかでっちあげてよ」「じゃあこのエピソードで一本書くか」みたいなところなんでしょうかねえ。

とはいえ、ハンニバル・レクターという異形の者、この話を通して完成される‘怪物’が物凄い磁場を放っているため、面白いか否かでいえば十分面白くなってしまっている。こんな片手間で作ったようなプロットなのに。ずるいよ…
まあ要するにこれは、キャラ萌え小説なわけですね。レクターが好きで好きでたまらない人は、楽しめるでしょう。俺は楽しかった。遺憾ながら。

あと内容とは関係ないですが、上下巻合計で500ページ程度のボリュームしかない。これを上下分冊する意味がわからないのだけど、なんなんでしょうか。新潮社の意図が全くもって不明です。

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吾輩はリファレンスである。名前はまだ無い -- perlの中の人

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