uruyaの日記: レーン最後の事件 / エラリー・クイーン
レーン最後の事件 / エラリー・クイーン
★★★☆☆
私立探偵サムの事務所に奇妙な依頼が舞い込んだ。ひとつの封筒を預かるだけで千ドルの報酬。毎月二十日に連絡を入れるが、その連絡が途絶えたときに封筒を開いてくれ、と言う。封筒の中身は必ずあなたがたの興味をひくだろう、その興味がわたしの身を救うのだ。開封するときは、かならずドルリー・レーン氏の立会いの元に行うように。
数週間後、第一の連絡から数日がすぎた二十八日。サムはもうひとつ不思議な依頼を受けることになる。田舎教師たち十七人の団体がブリタニック博物館に向かう貸し切りバスに、無関係な男が二人紛れ込み、十九人が博物館に入館した。そのうちの一人「青帽子の男」は博物館で姿をくらまし、帰りは「十九人めの男」を含む十八人になる。消えた「青帽子の男」とともに、博物館の警備員もまた行方不明になった。
警備員を探し出してくれという頼みに応じ、ペーシェンスを伴って捜査に乗り出すサムだが、事件は世界に数冊というシェークスピアの稀覯本をめぐって複雑な様相を示しはじめた。サムはシェークスピア劇の老名優にして稀代の名探偵、ドルリー・レーンの出馬を要請する。
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うわうわうわ。びっくりした。これのネタバレをよくぞ今まで目にせずに済んでたものだ。
ドルリー・レーン四部作の最終作。この四部作は、まさしく起・承・転・結の順に構成されてるんですな。レーンがはじめて登場し探偵小説として正統的な解決を見せたXが「起」、再度正統的であり犯人像の面白さなども加味されたYは「承」、それまでとうってかわり、ペーシェンスを登場させて大活躍させるZは「転」、そしてそのすべてを壮大な複線として結実させた「結」が、この『レーン最後の事件』。評判の悪いZでさえ、あれがあったからこそペーシェンスのキャラが立っている。すべては、これを書くための、渾身の釣りっ…!
いやいや、待て。ラストの真相の衝撃に脳がショートしてうっかり褒めそうになってる。逆に言えば、ワンアイデアを一発かましただけにすぎないではないか。その仕掛けがなかったら、退屈な話でしかないよ、これ。中盤での話のもたつきぐあいや、前振りは面白そうなのにひどく安直な仕掛けなど、あまり褒められたもんじゃない。
しかし、しかしだ。それを帳消しにして余りあるほどのインパクトを受けたことも事実。三冊書いてきて四冊目にこれかよ…という。いやあ驚いた。
総じてどう受け止めていいのかよくわからない。数日、数週間、数ヶ月後に思い返してみたら、自分はどう消化しているかなあ。瑣末な記憶は消えて受けた衝撃の大きさだけが残るんだろうから、たぶん「面白かった」と言うだろうな。
読む価値がある小説であることは間違いない。X、Yと読んだ人は絶対にここまで読むべき。その際、Zを飛ばしてはいけない。四冊通して読んでこそ価値がある。
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