uruyaの日記: おまけのこ / 畠中恵
おまけのこ / 畠中恵
★★★☆☆
齢三千年の大妖を祖母に持つ、廻船問屋兼薬種屋の大商人長崎屋の若旦那、一太郎。体の弱い若旦那を囲むのは、おばあさんに孫を託された大妖白沢・犬神を筆頭に小鬼の鳴家、付喪神の屏風のぞきなどなどの妖怪たち。彼ら妖たちに力を借りたり邪魔されたりしながら、若旦那がいろいろな謎を解く捕り物シリーズの第四弾。
───
こわい
いつも以上にまずい栄吉の菓子を食べた若旦那、もののはずみで喧嘩になってしまった。すぐに後悔して仲直りのタネを探し始めるが、ちょうど長崎屋に現れた狐者異(こわい)という妖が、飲むだけで職人の腕が上がるという薬を持ち込んできた。狐者異は妖仲間からも神仏からでさえも嫌われている妖だが、その薬をめぐって四人の人間たちが取り合いを始める。
畳紙
以前の事件でかかわった、迷子の於りんと白塗りのお雛が若旦那の見舞いに訪れた帰り、於りんがうっかり長崎屋から持ち出してしまった印籠を、お雛が一時的に保管する。するとその夜、長崎屋の妖の一人屏風のぞきがお雛の寝床に現れて、印籠を返すように迫る。お雛はこれは夢であると思い込み、その場の流れで、恋の悩みなどを屏風のぞきに相談する。
動く影
一太郎が五歳のころの話。病弱で外に出られなかった一太郎は、まだ親友の栄吉とも親しくなる前で、友達がいなかった。そのころ大人たちは、飛縁魔という妖が出たという話や、広徳寺から鏡が盗まれた事件で大騒ぎしていたのだが、それとは別に、子供たちの間では影が動き出すという噂が流れていた。栄吉から話を聞いた一太郎は、影の謎を解決しようと乗り出す。
ありんすこく
一太郎が突然、吉原の禿を連れて一緒に逃げる、と言い出した。正気を疑う兄やたちがよくよく話を聞いてみると、やっぱり色っぽい話ではない。先日、めずらしくひと月も寝付いていない一太郎への褒美として、旦那が吉原に連れて行ってくれた。その席上で禿とお座敷遊びのゲームをして負けてしまい、賭けの罰則として願いを聞かねばならないのだが、足抜けして逃げるのを手伝ってくれと頼まれたらしい。
おまけのこ
天城屋という商家が、真珠にあわせる珊瑚を見立てに、櫛職人を伴って長崎屋を訪問していた。そこに突然、強盗事件が発生する。長崎屋の店内で何者かが櫛職人を殴り倒し、持っていた真珠が消えてしまったのだ。強盗容疑はそのとき店内にいた三人の者にかかり、大騒ぎに。しかしそのとき、若旦那以外は誰も気づかないが、ひっそりともうひとつ事件が起こっていた。鳴家がいっぴき、行方不明になっていたのだ。
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しゃばけシリーズの四作め。
うまい。そこはかとない哀しみとか、人間の心の動きの複雑さとか、じんわりと胸にしみるようなお話が、押し付けがましくなく表現されています。今回謎解きなどは控え気味だけど、変にひねったトリックを振り回すよりも、こちらのほうが作風的にマッチしてるんじゃないでしょうか。かえってよろしいかと思われ。
そしてミステリ色は薄まる一方で、キャラクター小説っぷりはガンガンに強くなってます。もうね、鳴家萌え。ちょおかわいい。
ジェンダーやらフェミな人たちは無視して慣用句的な表現として言っちゃいますが、「女子供」のファンタジーですので、毒は薄め。いやこの人も以前は多少の毒を含んでたんだけど、このシリーズでは捨てたのかも。今回に関しては、ピリッともいかない程度の香辛料的に入ってたかな。さすがに味がぼんやりしてくるので、もう少し辛みをきかせた方がもっと面白くなるんじゃないかなあ、という気もするのだが。
でもこのままでも、十分面白いですよ。こぢんまりしすぎてるのが難だけど。
そういえば、キャラ萌え系ライトノベルとかってこんな感じなのかしらん。(たぶん違う)(だって萌え対象が小鬼)(そこで女体化ですよ)(うへぇ)
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