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uruyaの日記: かくれさと苦界行 / 隆慶一郎

日記 by uruya

かくれさと苦界行 / 隆慶一郎
★★★☆☆

おしゃぶを娶り吉原惣名主を継いでいた松永誠一郎のもとに、柳生義仙が姿を消したという知らせが入った。

六年前の事件ののち誠一郎は、父親である後水尾院とはじめて対面して吉原の成立に理解を得、酒井忠清の横槍をけん制してもらったのだった。だが、その煽りで柳生宗冬がスケープゴートに仕立て上げられ、謹慎処分を下されてしまう。そのとき柳生の「お館さま」と言われる大兵強力のバケモノのような男が柳生を発して江戸へ渡り、忠清を脅迫して宗冬の処分を取り消させてしまったのだ。「お館さま」は、自分は柳生に戻って義仙を監督する、数年後の義仙は今とは見違えるほどの強者となっているだろう、と誠一郎に告げて去っていった。その義仙が、柳生の地から消えたという。「お館さま」の薫陶を受けパワーアップした宿命の強敵再登場の予感に、誠一郎は熱い思いを抱く。

やがて期待通りの強敵として誠一郎の前に姿を見せた義仙は、ふたたび忠清と結託し、「かくれさと」という私娼をいくつも作って吉原の経済封鎖を試みはじめる。その動きを知った誠一郎らは義仙に力を貸している者を追って上方に向かうが、義仙はある者を刺客として誠一郎の後を追わせる…

─────

『吉原御免状』の続編ですが、なにこの面白さ…!『吉原御免状』ってこんなに面白かったっけかなあ?あれも確かに面白かったけど、これほどではなかった気がする。明らかに格段の進境があるでしょこれ。
伝奇的設定の説明が前作で完了していることが大きくプラスに作用しているかもしれないな。隆慶一郎にはオレ設定をねちねちと書き連ねる癖があって、それがときにくどく感じられるのだが、今回はそれがないためストーリーの流れのテンポがよく読みやすかった。

話の骨子は単純で、義仙VS誠一郎の最終決着までを描いたもの。脇を固めるのは前作から引き続いての傀儡たちと裏柳生の皆さん、そして新キャラ「お館さま」(伝奇では高名なあの人)。たいへんスピード感のある流れに乗って、迫力のバトルが繰り広げられます。バトルの合間には江戸や大阪の風俗描写、度をすぎない適度なエロスなどがちりばめられるという、もう大衆娯楽活劇の見本のような作品。

難を言えば、やはり誠一郎が強すぎることと、思考法が老成しすぎていることか。この手の完璧超人すぎるキャラはうそ臭くて好きになれんのだよな。義仙も最終的には毒気が抜けちゃうし(史実にあわせるには仕方ないが)、どうもこう、処々に抹香くさくなる部分がある。わりと残虐なバトルシーンとの釣り合いもあるかもしれないけど。

このシリーズは当初四部作の予定だったらしいが、著者急逝のため二作目までで終了。ここまででもちゃんと区切りはついているので読みには支障がないけど、続きがあるとなると気になるところではあります。最後の最後でいいキャラが登場したしねえ。いかにも残念だ。

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私はプログラマです。1040 formに私の職業としてそう書いています -- Ken Thompson

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