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uruyaの日記: 白いメリーさん / 中島らも

日記 by uruya

白いメリーさん / 中島らも
★★★☆☆

日の出通り商店街いきいきデー
“いきいきデー”は、年に一度、誰を殺してもいい楽しい祭りだ。暗黙のルールはふたつ、商店街の中でプレイすることと、職業にちなんだ獲物でプレイすること。

クロウリング・キング・スネイク
あねじゃがヘビになってしまった。お父さんによると、お母さんの家系にはヘビの呪いがかけられていて、女は二十歳を過ぎるころ蛇女になってしまうのだ。お母さんが失踪したのも、ヘビになって家を出たかららしい。ということは、私も数年後にはヘビになってしまうのだ。ヘビーな話だ。ヘビになった自分が何をするべきか考えたあねじゃは、ヘビ・メタの女王様を目指して活動を開始する。

白髪急行
数年前に母を亡くしてから一人で住んでいる六十年配の男。ある夜終着駅から車庫に入っていく回送電車の中に、十歳くらいの少女が乗っているのを目撃する。胸元まで垂れた少女の髪は、白く透き通って見えた。

夜走る人
私は数十年来この町を夜走っている。今夜もいつものコースを走っていた私は、プロレス技をかけていく通り魔がはやっている話を耳にし、毎日深夜まで開いている工務店のそばを通り、公園で浮浪者が不良少年たちに袋叩きにされているのを目撃する。

脳の王国
乾物屋のおやじ加持真平は、他人の心を読む能力を持っていた。真平はある資産家の両親から、彼らの息子の心を読むように頼まれる。その子は、難病によって五感すべてを失っているのだが、頭の中はどうなっているのかを知りたいのだという。なにひとつ情報のない世界はどんな世界なのか、何かを考えているのか、それとも…


文筆業を目指しヒモのような生活をしている私を支えてくれている杉ちゃんは、いい子なのだが、月に一度キレてしまい、大喧嘩になることがあった。引っ越したばかりの部屋でいつもの喧嘩がはじまったとき、私はふすまに掌の形の影が浮かび上がっていることに気づく。その後も観察していると、その影は杉ちゃんがキレたときにかぎって浮かび上がるようだ。

微笑と唇のように結ばれて
私は意を決し、マリカのもとに踏み込んだ。その中では若い男がマリカと共に寝ている…
画廊を経営する私は、偶然店に入ってきたマリカと知り合って以来、すっかり心を奪われてしまった。何度か食事に誘うようになるが、マリカはワインなど飲み物にしか手をつけず、固形物は一切口にしない。

白いメリーさん
都市伝説を扱うフリーライターである私は、高校生の娘から「白いメリーさん」の話を聞く。横浜近辺に出没する白づくめの女の噂だ。興味をひかれた私は娘の友人たちを相手にして取材をはじめるが、そうするうちに、娘の様子がおかしくなってきていることに気づく。

ラブ・イン・エレベーター
私は女とともに上昇を続けるエレベーターに閉じ込められていた。もう何か月、何年上昇を続けているのかわからないが、不思議なことに、食欲や排泄などの生理現象はまったく催さない。閉鎖された空間の中でやることなど何ひとつない私たちは、やがて互いに愛し合うようになるが…

─────

ホラー的な話が多い短編集。以下一言感想。

「日の出通り商店街いきいきデー」
ナンセンス・バイオレンス。バトロワですよ。小品で構成されている本作の中では一番ぶっとんでる。

「クロウリング・キング・スネイク」
ナンセンス・ホラー・コメディ。馬鹿馬鹿しい。だがそこがいい。

「白髪急行」
幻想小説。中島らもとしては異色の作品では?

「夜走る人」
三題話にちょっとした落ちがついたような話。作中の浮浪者「車さん」が語る、気の狂った世界の説明がおもしろい。

「脳の王国」
これはニューウェイブSFですな。読心術はありきたりなネタではあるけど、このおやじのキャラ設定をこんな短い作品で消費しきるのはもったいない気がする。

「掌」
正統派の日常系ホラー。これはこわい。ぞっとする。

「微笑と唇のように結ばれて」
吸血鬼譚。まあ普通かな。

「白いメリーさん」
都市伝説系ホラー。これもこわいな…説明のつきにくいラストがいかにも都市伝説的。

「ラブ・イン・エレベーター」
ぞっとする具合ではこれが最強。ホラー的ではない、まったく違う意味で。男女関係、人間関係の恐怖といいますか…

ひとくちにホラーといっても様々なバリエーションがついていて、飽きない構成になっていると思う。一作が二三十ページくらいでサクサクとテンポ良く読めて、軽い読み物としてはよろしい。その反面、喰い足りなくもある。

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アレゲはアレゲを呼ぶ -- ある傍観者

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