uruyaの日記: 頼子のために / 法月綸太郎
日記 by
uruya
頼子のために / 法月綸太郎
★★★☆☆
西村悠史の高校生になる娘、頼子が殺された。頼子が妊娠していたことを知った西村は、その事実を秘匿した上、通り魔殺人に過ぎないと主張している警察に不審を抱き、独自の捜査を行う。頼子の担任教師が子供の父親であり、邪魔になって殺したのだという確信を得た西村は、教師をナイフで刺し殺し、自らは服毒自殺を図った。
法月綸太郎は、父親からこの事件の再捜査を依頼された。頼子が通っていた高校の理事長は政治家と血縁関係にあり、スキャンダルを恐れた筋から「名探偵」への依頼となったわけだ。最初は渋る綸太郎だが、西村が一部始終を記した手記を読み、そこに何らかの隠された情報を読み取る。
綸太郎は、依頼者の思惑とは関係なく「真実」のために再捜査へと動き出した。
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これまでの作風とはちょっと違い、今作は足を使う探偵もの。うん、まあそれなりにいいんじゃなかろうか。書きたいことはよく伝わってきた。事件構造はなんとなく予想がつくけども、ラストでの試みはおもしろいと思う。
ただし、同じテーマを情念を描くことを得意とする作家が書いていたら、背筋が凍るような世界を見せてくれたろうな、というみもふたもない感想も、持ってしまった。書き込みの足りなさと表現の弱さはいかんともしがたく、とても残念な印象である。著作時二十五歳という年齢でここまで描いていることに対しては、それなりに驚異的ではあるが。
つーか俺なぜこんなにえらそうな物言いしてんの。
ありていに言えば、俺はこの作品好きです。お世辞にもうまくはないけど、書こうとしたことはとても好き。十八年前の作品だけど、リアルタイムで読んでたら夢中で読んだだろうな。
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