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220817 journal

uruyaの日記: 京極夏彦いろいろ

日記 by uruya

京極夏彦いろいろ

オジいサン 72年6箇月と4日 / 中央公論 二〇一〇年二月号
益子徳一はスーパーに買い物に来ていた。リタイアしてからは毎週水曜日が買い出しの日と決まっている。試食コーナーの売り子のおかげで買いたくもないウインナを買うなどし、野菜売り場に行くと、ひとりの老人が難しい顔をしてキャベツを見ている。むかしよく蜜柑を買いに行った、小宮山青果店のおやじなのであった。青果店は商店街のアーケード計画に反対して立ち退き、いまは移転先でコンビニを営んでいるという。青果店をやめても、いまだに野菜に対するこだわりは抜けないのだ。
小宮山青果店と別れると、こんどはアンケートコーナーに田中電気の二代目がいる。声をかけた徳一と田中電気の話題は、先代のことになった。

オジいサン 72年6箇月と5日 / 中央公論 二〇一〇年五月号
益子徳一が昼食を作っていると、自分がどうも調子に乗っていることに気づいた。なんとなしの高揚感の中にいるのだ。すると、それみたことか、卵を割るのに失敗してしまう。一個でいい卵を二個も割ってしまった。もともと作ろうとしていたのは目玉焼きである。昨日買ったウインナを消費するためにひねりだした、つけあわせメニューだ。しかし食が細い徳一は、ウインナとキャベツの他に目玉焼きを二個も食えない。どうすればよいか。急遽メニュー変更を余儀なくされるが、午後に田中電気がジデジとやらの売り込みに来ることになっている。あまりぐずぐずすることはできない。

虚言少年 ソノ四・けんぽう / 小説すばる 二〇一〇年二月号
ホマレが同好会だと言い出した。まあたしかに僕らは同好の士ではある。馬鹿なことを馬鹿であると認識し、おもしろがることが好きなのだ。しかしグループとしての連帯感があるかといえば、それは違う。鳩首協議の結果、秘密結社だろうということになった。馬鹿だ。
次の日、木林慎太郎が秘密結社に入りたいと言い出した。シンタロウには悪い癖があって、自分だけがおもしろいマイブームネタをしつこく繰り返すところがある。たとえばホマレの祖母、矢島たねの名前を聞いただけでアホのように笑う。他の誰もクスリともこないわけだが、もう足かけ数年、シンタロウにとってヤジマタネは爆笑ワードなのである。そんなシンタロウに、ホマレは秘密結社のことを明かしたわけだが、それは世に言うけんぽう事件がきっかけであった。

死ねばいいのに 五人目。 / 小説現代 二〇一〇年三月号
山科刑事は渡来健也と名乗る若者の訪問を受けた。鹿島亜佐美のことを聞きたいという。自分から証言したいという人間があらわれることは時折あるが、報道関係者でもないのに、ただの素人が話を聞きたいと言ってくるのは初めてのケースだ。聞けば、この渡来という男は、関係者の間を回って話を聞いているらしい。聞き込みとは、職務として行っている警察官でさえ、いわれもなく疎まれ罵倒されたりする、そういう作業である。この前も、鹿島亜佐美の母親に罵られたばかりだ。ただ職務を全うしようとしているにすぎない、山科に対してすらだ。この男は何のためにそれをやっているのだろうか。

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『オジいサン』
じいさんの日常がくどくどと書かれており、「どーおでもいーいでーすよー(死後)」という言葉が思わず口をついて出る。しかしこれを普通に読ませちゃう筆力はなんなんだろう。内容のないことを文章力だけでダラダラ読ませるのはベテラン作家にままある悪癖ですが、最近の京極は大丈夫でしょうか。
江戸川乱歩全集 第十八巻 神保博久の解説から引用、横溝による乱歩評。
「乱歩君もああ文章がうまくなっては、もう小説は書けんわ」

『虚言少年』
笑った。人がツボに入ってるところを観察したときの、メタな笑い。
小学生レベルのベタな笑いにメタ視点をプラスするのがこのシリーズの眼目だろうか。いや、そんなたいそうなもんじゃない笑

『死ねばいいのに』
連載ここまで。六人目が書き下ろしで、すでに出版済み。図書館調達する。予約順位十六位だが、複本入るだろうから二か月待ちくらいかな。
あ、あと複本問題についての苦情は受け付けませんので。当方ノンポリでありまして、神学論争には関わりません。

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