von_yosukeyanの日記: CIG 4
National Security Act of 1947という法律がある
1947年、それまで陸軍省、海軍省の二つの省庁に分断されていた軍事行政機構は、新たに国防総省(DoD)の下に陸軍、海軍、新設された空軍、海兵隊がぶら下げられ、三軍共同の統合参謀本部が新設された。
国家安全保障法の制定は、単に軍事行政が国防総省の下に統一されただけではない。第二次世界大戦期、ウィルアム・『ワイルド・ビル』・ドノヴァンによって設立された諜報機関であるOSS(戦略情報室)がCIA(中央情報庁局よりも庁に近い)として新設され、やはり陸軍省と海軍省、国務省、司法省に分断されていた軍事・外交情報がCIAを中心とした中央情報グループ(CIG)の下に統一された
しかし、CIGは省庁の縦割り的体質を打ち砕くことはできなかった。結局、国防総省は軍事情報機関として国防総省直轄の国防情報庁(DIA)を設立し、DIAの下に陸軍情報部、海軍情報部、空軍情報部の三つがやはりそれぞれの軍に分断された状態でバラバラに軍事情報を収集していた。また、憲法上の問題やエドガー・J・フーバーの警戒からFBIの情報もCIAには適切に流れる構造にはなっていなかった。
後に組織された国家安全保障会議(NSC)は、大統領の他に国務長官、統合参謀本部議長、国家安全保障問題担当大統領補佐官、(場合によっては大統領主席補佐官)に加えて、CIA長官の出席が常態化し、外交・国防問題にCIAが深く参与するようになった。
それでも、ベトナム戦争やウォーターゲート事件以後、CIAは議会の諜報機関統制委員会の監視を受け、最高裁判所も国内での活動を禁じたために国際テロ組織によるテロ攻撃に対しては情報が分断される時代が続いた。しかし、冷戦期は建前は別としてもCIAは何らかの形でそれらのテロ組織を利用し、逆にテロ組織の側もCIAを信頼してた時期であった。だが、冷戦後その状況は一転し、アメリカの対外政策が冷戦構造からの転換を勧めていくにつれ、それらのテロ組織は何らかの形で「清算」されていった。
CIAはその存在意義を外交・軍事上の情報収集から、経済やテロ情報に変化させていく一方で、テロ組織の中でもイスラム圏の組織は、貧困の原因を腐敗した王家とそれを支援するアメリカに矛先を変え、存在意義を確保したのだった。その代表的な例がアル・カイーダやPLOの過激派組織ハマス、パレスチナ解放戦線(PFLP)、イスラム聖戦(PIJ)などである
先週、国内のテロ情報を横断的に収集する国土保安省が正式に発足した。CIA、FBI、DoD、DoJ、ATF、移民局など、テロ情報を把握する立場にある情報機関を終結しテロ女王収拾を一元的に統括する組織として期待されている。
一方で17万人にも及ぶ巨大官庁でありながら、実際のところは既存の官庁の職員を重複的に配置しているだけで、実質的には米連邦政府に巨大な職員を擁する官庁が新たに作られた訳ではない。
もちろん、国土安全省がCIGのように機能しないという保証はない。例えば、連邦政府と州政府の間で横断的に災害情報を管理する連邦危機管理庁(FEMA)や、NSCなどの例がある。しかし、特に機密性が非常に高く各機関が独自に行ってきた資産を危険に晒すような情報交換が本当に行えるかどうか疑問に思える
余計なもの(-1) (スコア:1)
松本零士先生風で面白いんですけどね。
ほんとに (スコア:1)
まったく官僚機構ってのは(小一時間
なぜ整理統合できないんだろ。
#似たような動きの渦中にあるので、しかしやっぱりID。
++ ftsh ++
Re:ほんとに (スコア:1)
例えば、国内のスパイ行為の取り締まりなどは、FBI防諜部が担当部局でCIAやNSA(国家安全保障局)は直接関与できません。これはCIAには捜査権がないのと、NSAは国内の盗聴活動を禁止されているためで、CIAやNSAは単にFBI防諜部に情報を提供するに止めています
これが、一つの情報機関に統合されている例としては、ほとんど旧共産圏の諜報機関、例えばソビエト時代の国家保安委員会(KGB、現在は解体されて連邦諜報局と連邦防諜局、その他に分割)やシリアの内務省第一管理局くらいしかありません。権限を制限し、分散しなければ行政府の恣意的な情報活動にあてられる危険性が高く、立法府や司法府の監視が行きとどかないのでしょう
もう一つ、アメリカの場合には分権の問題もあります。FBIは基本的には連邦法違反事件、例えば州をまたぐ犯罪や、連邦法に違反した事件しか取り扱うことが出来ず、州法に違反する事件は基本的に州警察が捜査し、州検察官が州裁判所に公訴を提起します。この他に脱税などの犯罪はシークレットサービスやATF、証券取引法違反では証券監視委員会(SEC)、麻薬犯罪はDEAと、捜査権が分割されています
これに対して、例えばテロ活動などはテロ資金の移動などはSECやシークレットサービスの管轄に入りますが、資金源としての麻薬取引はDEAが、武器の違法な州間の移動はATFが、不法入国は移民局や沿岸警備隊、それに州警察、その他連邦法違反事例はFBIと、権限が微妙に重複しながらも、基本的には異なった任務が与えられているのが実情です
実は、かつてFBIは一般的な連邦法違反事件をすべて取り扱っていた時期がありました。そもそもFBIは、連邦司法省(USDOJ)の捜査局として誕生したのですが、その創設者であるエドガー・フーバーに極端に権限が集中した反省(FBIは司法省の捜査局としてではなく、連邦警察的な存在だった)から、権限を分散する動きが生まれ政治や官僚による恣意的な捜査活動をうまく抑制できている、ともいえます。
Re:国土安全保障省 (スコア:1)
(いや・・・悪いよ、確実に)
【整理統合】といってしまうと、おっしゃるとおり諜報・防諜・(およびそれらの分析)報告の機能をひとつの国家機関で担うことをさしてしまいますね・・・。
そもそも政府機関の設置に先立っては、設置法(?)が存在するわけですし、それが存在するということは、責務と活動可能範囲には限界を設けていて当然ですよね。
かといって、(推敲が足らない)自分が言いたかった"特定政府機関の機能拡張(権限拡大)"という考え方も、この設置法の存在や、付帯する権力調整の手間を考えると、無駄に複雑になりそうだ・・・。
『新しく設置したほうがラクだ』ということなのかな。
"国家安全保障局(省)"の名前がふさわしいと思う、このごろです。
非常に勉強になりました。
カウンターテロ以外の使い道がどうなってるのか、調べて見るつもりです。
++ ftsh ++