von_yosukeyanの日記: ラップ口座
朝日にこんな記事が出ていた
ラップ口座についてはよく知らないので、ぐぐってみる(岡三證券)と、異常のようなページがヒットしたが、読んでいてちょっと複雑な気分になった
例えば、ボクの場合資産運用は「33%ルール」というのを勝手に作っている。単なる経験則に基づくもので、たいしたものではないが、例えば100万円の資産があったとして
・株式・・・現物とインデックスファンドを中心に33%配分
・公社債・・・外貨MMFを中心に33%配分
・預貯金・・・公共料金引落に供えた定期預金、学費・生活費に供えた定期預金、日本国債、ヒット等。その他収益機会を見つけたときのホットスタンバイ用のMMFなどに33%配分
(実際にはもっと細かいルールを決めてるけど)
このために、証券会社3社、信託銀行1行、銀行口座3口を恒常的に管理しているわけだが(他にもあるがほぼ休眠口座)、学生だから時間があるからできる、ともいえなくもない
リスクに応じて資産配分を行っている訳だが、基本的に預貯金に関しては元本割れリスクについてはほとんど無視していいとして、公社債に関しては投資対象が基本的に外貨であるため、長期金利水準とカントリーリスクに気を配っていたらそれはそれでいい。しかし、株式の場合にはその会社の収益、財務状態、市場における地位・・・と注意すべきことは多いし、注意しても卵は割れることがある。
ボクが基本的に株式系の投資信託に手を出さないのは、組み入れ資産のリスクを分析するのに非常に時間がかかるからだ。ヘッジでできないリスクに手を出すな。もし、時間がなくなってきたら、おそらくリスクの低い金融商品に比重を移すことになりそうだが・・・
それはそれとして、ラップ口座というのはそういう時間/知識がないから、経験豊富な証券会社に運用をお願いする、といった類のものだ。どこかで聞いたことはないか?
そう、悪名高き一任勘定取引である。一任勘定取引は、基本的には証券取引法で現在禁止されており、預かり資産を一定の契約に下に運用を委託する。例えば、証券会社の店頭で、担当のお姉さんに「どの株がお勧めですか?」というのとは決定的に異なり(これは単なる「推奨」だ)、とにかく1000万円預けるから利益を出してくれ、といった類のものだ
バブル期、一任勘定取引は大企業の特定金銭信託(特金)を初めとして、広く個人にまで広がった。証券会社の基本的な収益源とは、株式仲介業務による手数料収入であり、銀行のように負債たる預金を、資産たる貸出としてその利ざやを稼ぐというビジネスモデルとは基本的に異なる。預入資産の額の大きさよりも、取引の数が多ければ、証券会社の収入は増えることになるので、一任勘定取引は証券会社の手数料収入の草刈場と化した。
また、一任勘定は二つの意味でバブル後の證券業界において深刻な構造的問題を露呈させた。一つは、大手証券会社のほとんどが、証券仲介業務と投資銀行業務をかねていることだ。例えばA証券会社が、B社の格付けの低い社債発行を引き受けたとしよう。格付けが低ければ、金利水準が高いので一定数は売れるが売れ残ったときにはどうするか? そのときには、A證券の顧客に売るのが最も手っ取り早いが、目論見書を読んだ顧客は購入に尻込みするかもしれない。そういうときに、一任勘定で運用委託を行っている顧客にハメ込むのである。顧客は損をするが、証券会社は単に手数料を稼ぐだけだから、何の損はない。もっとも、この問題は、エンロン破綻時にも問題になった證券アナリストによる自社引き受け株/債券の推奨の問題にもあるように、日本だけの問題ではないが
もう一つは、一任勘定は新たな不正を生み出す危険性があることだ。1990年代初頭から97年にかけて、国税庁査察部と東京地検特捜部は、証券会社における損失補填問題を皮切りに、一連の證券・銀行不祥事事件の捜査を行った。この捜査の中で問題になったのは、政治家や高級官僚などが証券会社に開設した口座に、VIP口座というフラグが立てられ支店ごとに口座の担当者が決められていたことである。このVIP口座の多くが、一任勘定口座で運用され、運用時に損失を被ったときには「アンコ」と呼ばれる取引の付け替えなどによる、事実上の損失補填が行われていた事実である。
この事件は、結局政界では自民党旧渡辺派に所属していた新井将敬氏(一説によると某南系カルト宗教団体と関係があったと言われる)だけが被疑者とされ、逮捕直前に自殺したが、その直前に明らかになった第一勧業銀行事件を皮切りとする小池隆一事件(第一勧業銀行、野村證券)でも一任勘定取引の強要と、損失補填による事実上の利益供与事件に発展した
昨年も、国際証券(現三菱証券)に対する行政処分のように、一任勘定取引が法令によって禁止された後でも、不正が絶えない。一種の一任勘定取引に近いラップ口座の解禁(実際には99年に解禁されているが規制が多くほとんど使われていない)には、背景としては問題点がたくさんある
一任勘定取引とラップ口座が明確に異なるのは、顧客と証券会社の間で運用について明確な取り決めを行わなければならないことである。例えば一定の運用方針(エマージェンシー諸国の債券は避けるとか、株式には投資しないとか)をはっきり決めておいて、それ以外の取引を禁止することである。もう一つは、担当者は証券会社の社員ではなく、ファイナンシャルプランナーのような有資格者に限定することである。また、手数料稼ぎの草刈場と化すことを防ぐために、ラップ口座では一任勘定取引では明確ではなかった手数料に関して、一定の預入資産に応じた手数料を徴収することが定められた
こういった違いはあるものの、最近でもある大手銀行系の準大手証券会社で、一任勘定取引契約もラップ口座取引契約も締結していないにも関わらず、顧客の投資信託を証券会社社員が勝手に解約して株式を購入していた例のように、コンプライアンスが確立していない証券会社も少なくない。
また、ラップ口座が解禁されたとしても、準大手証券や銀行系証券会社のように資産運用の選択肢が狭い証券会社が、顧客のニーズに応えられるかどうか疑問である。例えば、ボクの資産運用の鉄則に示したように、リスク分散とリスク管理を徹底させた資産運用を行おうとすると、基本的に大手証券会社でも資産運用の幅が極めて限られてしまう。結局のところ、1社でワンストップに資産運用を行うのは適しておらず、ラップ口座が想定している医師や経営者層といった裕福層への展開は難しいのではないかと思う
まぁそれよりも401kを何とかして欲しいもので・・・。
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