von_yosukeyanの日記: 武器輸出 2
確か中東のドバイ(アラブ首長国連邦の構成国家の一つ)で行われていたと思うが、IDEXという兵器ショーがある。
ドバイ首長国という国は、UAEの構成国家だけでなくガルフ諸国(GCC)の中でも最も西側に開かれた国のひとつである。理由としては、将来的に石油資源が枯渇した時に備え、広くGCCや地中海諸国に開かれ、ショッピングモールや近代的なオフィス街が建ち並ぶ都市である。ちなみに、貴金属やヨーロッパ・ブランドのバッグや香水などは時期によっては香港よりも安いらしい
このドバイ首長国に隣接する都市国家に、アブダビ首長国という国がある。正確にはIDEXはこのアブダビで毎年1月から3月の間に開催されているのだが、大体の表記は知名度の高いドバイで行われていることになっている。1月から3月という時期は、ガルフ地帯では最も過ごしやすい季節だ。6月になれば、雨がほとんど降らない乾季に入り、現地の人間でない限り屋外での長期間の活動は不可能に近くなる。湾岸戦争の会戦時期が1月になったのは、もちろんかなり無理をした補給作戦のせいでもあったが(実際、米軍の戦略輸送軍団SMCのC-5輸送機が何機か墜落している)、未知なる乾季での地上軍の作戦行動は、予測不能な被害をもたらす可能性があったからだ。
さて、ここ10年ほどIDEXはアメリカやフランスで開催される兵器見本市をしのぐ世界最大の兵器ショーに発展した。アメリカとフランス(及び隣接国のベネルクス三国やドイツ)はロシアを除いて世界最大級の武器輸出国なので規模が大きくて当然だが、中東の小国で開催される兵器ショーがなぜここまで大規模なものになったのだろうか? 理由は単純で、冷戦後の最大の武器購入者が中東諸国であったからである
湾岸戦争後、GCC諸国は戦争によっていくらか弱体化したものの依然として強大な軍事力を擁するイラン・イラク、そしてイスラエルに対抗するために西側の武器を大量に購入し始めた。もちろん、西側諸国からの援助・融資パッケージの存在もあるが、冷戦の終結によって縮小し続ける武器市場において、部門によっては唯一の購入者であったのがGCC諸国であったからだ。
例えば、サウジアラビアが購入したF-15戦闘機やE-3AWACS(両者共、サウジアラビア分の生産が終了した後に生産ラインが停止した)、オマーン、UAEの次期主力戦闘機、クウェートの装甲人員輸送車、GCC諸国の経営する国営航空会社の機材更新・・・。ヨーロッパ、アメリカといった西側企業だけでなく、ロシアの武器輸出公団、中国の北方重工業集団(NORINCO、戦車メーカーでもある。ちなみに直訳すると同じく北方重工業企業体という軍需企業がロシアに存在するがこちらは潜水艦メーカーである)でなど旧東側の企業もまた積極的に兵器ショーに出品するようになってきた。
兵器ショーは、単に新型兵器の披露や、参加する各国の軍による国威を示す場としてだけではない。各国の軍事防衛関係者が集まる兵器ショーは、重要な商談の場でもあり、兵器ショー開催中には膨大な武器取引も行われる。よって、IDEXのような巨大な兵器ショーでは、戦闘機、艦船、戦車といった目立つものだけでなく、補給機材、小火器、弾薬などの展示・商談が行われている。兵器ショー参加者は、単に軍関係者だけでなく、兵器メーカー、卸売り会社、銀行、輸送会社、傭兵企業(アフリカ地域、特に南アフリカでは当然のように存在する)、もちろんアメリカ国務省からテロ組織だとか不正規軍として認定された組織の関係者までもが、大っぴらに参加している(もちろん彼らを追う情報機関関係者の数も半端ではないが)
この中でも最も取引量が多いのは、小火器である。
小火器は、あらゆる国家や組織において最も需要の高いものの一つだ。値段もピンきりで、アメリカやヨーロッパ諸国の有名メーカーのものから、ロシア製のリーズナブルなもの、中国製や北朝鮮製の安価なコピー品に至るまで、同一の機種でも様々なものがある。最もメジャーなものがAK-47で、小火器の中でも最も人気が高い
Ak-47は元々、第二次世界大戦中にソビエトで開発された突撃銃だ。開発者ミハイル・ティモフェイェビッチ・カラシニコフの名前から、単にカラシニコフとも呼ばれるこの機関銃は、1947年に開発され49年に制式化された。後方要員の護身用に開発されたサブマシンガンと異なり、AK-47はアサルト・ライフルと呼称される歩兵が携帯する突撃銃である。第二次世界大戦中、ナチス・ドイツによって開発されたMk.b42をモデルに第二次世界大戦後に開発されたもので、堅牢で信頼性が高く、構造が簡単であることから大成功を収めた。制式化後にも改良が続けられ、冷戦期の地域紛争の拡大に対処すべく、紛争地帯に大量に供与された。東欧や中国、北朝鮮などの衛星諸国・共産圏にライセンス供与され、それらの国々でも改良が続けられたために、AK-47には極めて大量のバージョンが存在する。
制圧能力では、現在主流のアサルト・ライフルと比較して劣るものの、膨大な生産数(正確には把握されていないが、推定で7000万丁が現存するといわれる)と、リーズナブルな価格(安いものでは100ドル台ものもさえある)から、現在でも大量に生産されている。
困ったことに、AK-47はその堅牢な構造故に紛争地帯で膨大な数の残存兵器として新たな紛争の火種となっている。適切な封印対策さえ施しておけば、地中に数年間埋設しておいても、簡単な整備で再び稼動できるので、紛争が終結した地域から残存兵器が新たな紛争地帯に移動するという現象がここ10年間深刻な問題となっている。小火器の輸出入規制は、冷戦後ようやく国際レベルで開始されたが、武器輸出国の抵抗や上記のようなすでに拡散している残存兵器の移動によってほとんど実効性がないと言われている
さすがに、紛争地域でのAK-47の生産は基本的に一定の工業水準が存在しなければ不可能だが、すでに大量に出回っている上に、保守パーツも豊富に存在しているので、小火器拡散の問題から言えばAK-47の国際流通状況はLIC(テロ活動)対策としては極めて頭の痛い問題である。最近では、入手の容易さから欧米諸国でも組織犯罪に使用され、一部では西側の警察でさえも採用されている始末だ。
軍用装備としては、すでに本家のロシア軍では新式のAK-100などへの移行が進んでおり、AK-47自体は軍から姿を消しつつあるが、ライセンス生産国などでは未だに主力装備となっており、輸出も依然として活発である。武器輸出という観点から言えば、北朝鮮の弾道ミサイル輸出が注目されているが、実際には北朝鮮の武器輸出ではミサイルと共に大きな割合を占めているのが、中国の北方重工業集団でライセンス生産された56式小銃を北朝鮮がコピーしたものが、紛争地域に向けて活発に輸出されている事実である。
すご (スコア:1)
von_yosukeyan の頭の中には宇宙でもあるのですか?
- Ryuzi Kambe -
Re:すご (スコア:1)
さんが抜けてました…
- Ryuzi Kambe -