von_yosukeyanの日記: 銀行と情報システム(2)
地方銀行だけでなく、都市銀行の中にも基幹系システムのアウトソーシング/共同システム化の動きが見られるようになった。
例えば、昨年UFJ銀行の勘定系システム開発を担当していた子会社が、日立の出資を受けたUFJ日立システム(UHS)に組織変更され、勘定系システム自体もソフトごと日立キャピタルに売却された。また、東京三菱銀行の次世代勘定系システムを地方銀行数行との間で共同利用化を行う予定である
こういった動きは、基本的に既存の第三次オンラインシステムをそのまま維持するが共同利用化によってシステム開発経費の削減を図るものと、または三次オンラインを段階的に解体するという方向性だが、これらには死角はないのだろうか?
地方銀行の共同システム化やアウトソーシング自体は、ある意味で合理的である。大都市圏を除いて、地方の金融機関は概ね地方銀行が1行と第二地銀が1行以上というのがほとんどで、場合によっては県に本店を置く銀行が1行しかない県すらある。このような地方の銀行は、地元から逃げられないのだ。従って、自治体の指定金融機関やその他の業務から撤退することはできないし、逆にミニ公債や地元の非上場企業の社債発行など、地元の金融ニーズを一手に引き受ける公的な存在と化している。だから、従来のようなシステム投資を行ったとしても、それがただちに利益に直結するわけではない。だから、共同システム化やアウトソーシングによる合理化を進めるのである
これに対して、大手銀行の場合には少し異なる。大手銀行の場合には、商業銀行だけでなく投資銀行、証券を含んだ総合金融グループであり、同時に多数の大企業との取引を抱えている。それだけでなく、現在の4大金融グループは国際基準行であると同時に外国金融機関との膨大な決済業務まで抱え込んでいる。
それらは厳密に言えば、金融持株会社傘下の子銀行やら子会社やらに分割されているが、銀行を中心としたヒエラルキーであることには変わりない。問題は子会社・子銀行に分割されているので、システムに対する意思決定が必ずしも適切に行われているわけではないということだ。
例えば、SMBC以外の金融グループは基本的にグループ内に信託子銀行を抱えている。信託子銀行のシステムには、基本的に商業銀行にはない信託やカストディー業務、証券代行などのシステムがあるが、為替、融資、預金、決済などのシステムは基本的には商業銀行側のシステムと共通のものが少なくない。こういったシステムを商業銀行と共同化することで大胆なコスト削減が可能になるはずだが、実際にはこういう動きがあるのはUFJ信託銀行のみで、基本的には商業銀行と信託銀行の間ではバラバラにシステムの開発が行われている。
#SMBCは厳密に言えば2001年から信託兼営行であるが、一般向け信託業務は行っていない。
さらに、商業銀行と信託銀行のシステム開発部門も統合されていない場合さえある。銀行のシステム開発部門は、基本的には親銀行のシステム開発を担当する部署(なのだが別会社ということは自動的に親銀行が子会社に「アウトソーシング」していることになる)だが、商業銀行、信託銀行、クレジットカード子会社、リース会社などでバラバラのシステム部門が存在する場合がある。
このようなグループ内に強力なシステム開発子会社が存在しない場合には、しばしばシステム子会社の質が低いだけでなく、子会社自体の相対的な競争力が低い場合が散見される。銀行に限らず、大企業が抱えるシステム開発子会社の独立採算制を強化する事例が増えているが、実際にはシステムを外販する能力がほとんどない場合が多く、パッケージ製品自体の競争力も低い。
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