von_yosukeyanの日記: 電算化/オンライン化/或いはIT化(4) 1
koufuu日記から
ボクは元は歴史屋(ぐへ)なので、時系列的な展開を元に物事を分析する癖があるので、題に関しては単にツールと考えていただければ、と(いひひ
指摘されているように、以上の三つの歴史的な区切りは、排他関係にあるわけではなく、単に情報システム構築に関するパラダイムくらいの認識でしかない。実際に(1)の注釈で書いたように、金融と製造では電算化とオンライン化に対する認識が異なっているし、展開時期に関しても開きがある。
しかし、ここで明確にしておきたいのは、IT化はオンライン化の延長であるのと同時に、それまでの情報システムに対する考え方が、コストの削減であるのに対してIT化は新たな価値の創造であるという点である。その観点から見れば、IT化は企業ごとや業種別に展開に開きがあるのと同様に、企業内でも部門によって展開状況が異なるのではないか、という点だ
90年代に、(日本、欧米に関わらず)設備投資が減速していったのと対照的に、IT投資を積極的に行ってきた理由は、単に既存の情報システムの維持という点だけでなく、コアコンピタンスの最大化が正当化の理由とされた。本来、企業の情報システム部門というのは、利益を生む部門ではなく、コストセンターであるという認識が一般的であったし、現在でもそうである場合が多い
問題は、企業にとって情報システム部門は不可欠な存在であると同時に、重荷でもあるという点である。前述の通り、情報システム部門は多くの企業にとって直接に利益を生む部門ではなく、間接的に利益に寄与する部門である。しかし、情報システム部門は、ユーザたる社内の要求に対して常に最適化したシステムを提供しようとするし、実際にそうしようとする情報システム部門も多いはずだ。しかし、それ自体が本来情報システム部門に要請される「間接的な利益寄与」とは大きく乖離する場合が多いのだ
#コアコンピタンスが情報システムに依存する度合いが高ければ高いほど、情報システム単体でのコスト意識が低下するという現象が散見される。後述するが、依存度合いが高いほど、情報システムは複雑化し、コモディティー化を困難なものにしている
90年代に飛躍的に拡大したASPやアウトソーシングは、情報システム部門が持っている「計画」「設計」「開発」「運用」のいずれかないしは、すべてを外部に委託することで、経済的合理性を追求しようという流れである。しかし、その現象自体はITのコモディティー化とは直接に関連はない。なぜならば、外部委託が進めば進むほど、情報システムは複雑になるからである
例えば、非常に複雑で高コスト体質な情報システムを抱えている企業があるとしよう。IT投資を含む情報システムの合理化を推し進めるには、一部委託の場合には、情報システムの一部を論理的に分割して委託する必要がある。これをコモディティー化したASPに委託する場合には、業務自体の合理化や基幹システムの整理統合が必要になる。一方、アウトソーシングの場合には、アウトソーサーは委託企業の複雑なシステムを丸ごと抱えてしまうことになるから、はやり複雑化は避けられない。
コモディティー化とは、すなわち単純化である。標準的なシステムやサービスを組み合わせることによって、企業は複雑なシステムを合理化することができるが、これ自体はアウトソーサーや、ASP、ハウジング、パッケージ、またはプライベート・ファイナンスのような手法を通してシステムを合理化するための過程であり、それそのものがソリューションとはなりにくいと考える
確かに、それ自体がソリューションとなっている場合もある。例えば、Webサーバのハウジングなどは、基幹システムとは直接は関連性がないので、ソリューションの活用が容易である。しかし、一方で企業の会計に使用される勘定系は、その企業や業態独自の会計慣行などが影響していて、単純にパッケージに置き換えたり、アウトソーサーに委託するというのは難しい(それが例えば、ERPシステム導入の失敗事例に顕著に顕れていると思う)
外部委託全体に対する問題点に関しては、標準的なシステムをベースに複雑なシステムを実装するのに手間がかかるのに関係しているのだと思う。ERPの事例を再び出すが、日本でも海外でもERPの実装にはかなりのカスタマイズを必要としているし、業務を合理化して強引にERPを稼動させても、かえってコアコンピタンスの生産性が低下する場合すらある
もう一つは、ITコストを効果を算出することが難しいし、その手段がそもそもない点だ。確かに、メインフレーム自体やソフトに対して払っている料金やライセンス料は算出できるが、コアコンピタンスが情報システムから受けている恩恵を算出することは難しいし(単純に何人減らせたから、というオンライン化時代なら概算も可能だろうが)、情報システム自体の生産性を測ること自体が困難であることだ。
一方で、既存のシステムを外部委託にしようとすれば、どうしても初期投資が必要となるし、業務フローの改善に迫られる。そこで、企業は既存の基幹系を維持して、改良していくと言う選択を行う場合がある。それが間違っているかどうかは、また別の問題である
"IT Doesn't Matter"の状況認識としてITシステムがコモディティー化しているとか、その結果としてIT投資を抑制すれば将来的によりよいシステムが手にはいるとか、という結論自体には賛成できない。情報システムに対する明確な経営的戦略を欠いた状態は、無鉄砲な情報システムに対する投資と同等の無謀な経営であると思う。いずれにせよ、原状のシステムを放置しようと、放置しまいと多額のコスト支出は避けられないはずだ。それは最終的には「みずほ化」の危険性がある
よって、ITを経営上の重要な要素として認識することは、これからも経営者にとっても株主にとっても必要であることには変わりないだろう。
交換日記? (スコア:1)
written by こうふう