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von_yosukeyanの日記: 勘定

日記 by von_yosukeyan

わが国の銀行勘定系システムが、諸外国のそれと比べて非常に複雑である要因の一つに、前日勘定・翌日勘定の制度が関係している

銀行は、法令上平日午前9時から午後3時までの窓口業務が最低限義務付けられている。これを超える窓口業務は、各行が任意に延長することも可能だが、実際には多くの銀行がこの時間帯を中心に銀行業務を行っている

わが国の決済制度を支える内国為替決済制度(全銀ネット)の稼働時間も、この法定営業時間の前後一時間の午前8時から午後4時まで稼動しており、ATM経由での他銀行振込もこの時間帯ならばおおむね当日扱いで振込が可能である。しかし、銀行窓口では、午後2時以降の振込処理は翌日扱いに回される場合がある

実は、銀行の窓口業務のほとんどが、実際には営業時間帯に処理が完結している業務が驚くほど少ない。窓口業務のほとんどが、書類受付を行うだけで、事後処理ができるものについては、営業時間終了後にまとめて処理をするという体制がほとんどである。

例えば、手形決済制度を例にしてみると、支店と端末では完結せず、イメージング化や手形交換所での手形の交換、振出銀行での処理が完了してから、全銀ネット経由で決済データが交換され、残高に反映される。都銀の一部では、こういった業務の一部を支店業務から切り離し、事務集中センターで行うものもあるが、地銀やみずほ・りそなといった銀行は、未だに支店内で複雑な業務が行われている

こういった人的なオペレーションが介在する業務の中には、当日受理した業務でも、ネットワークや勘定系の稼働時間の関係から、処理が終了しない業務が出てくる。実例を挙げると、ATMでの振替受付で、全銀ネットの営業終了時刻が過ぎてから受理した振込依頼は、基本的に翌日処理に回されるが、振込金額は預金口座から当日に引き落とされる

もうひとつの例が、口座振替業務である。口座振替は引き落とし日の朝(の営業時間前の時間帯)に引き落としバッチをかけるが、残高が不足していれば引き落としができない。しかし、営業時間内に残高を継ぎ足す場合のように、引き落とし営業日に口座振替契約を満たす状態が発生すれば当日扱いで引き落としを実行するシステムが備わっている場合がある。これが例えば、小切手決済であれば、処理はバッチ的になるが、口座引き落としの場合ではバッチとオンライン処理が混在した複雑なシステムにならざるを得ない

こういったシステムが実装されたのが、ちょうど第三次オンラインシステム時代で、労働集約的な銀行業務を装置産業へと転換したという重要な効果があったのだが、銀行業務自体を簡略化したわけではないのである。将来的に、全銀システムやMICSの稼働時間が24時間化されるだろうが、これに伴うシステムの簡略化の効果が現れるにはまだ時間がかかるし、締め業務の関係から将来的にシステムが簡略化される見通しがあるわけではない

問題なのは、こういった締めの基準だとか、業務ごとの当日勘定・翌日勘定の取り扱いというのは、銀行ごとに大きな違いがあるという点である。このため、共同システム化を行う場合にはこの取り扱いが問題になるが、ほとんどの場合業務の簡略化に向かうのではなく、各銀行が要求する業務をそのままシステムに実装する場合が多い(個人的に業務を簡略化した例は数例ほどしか知らない)。このため、共同化システムの開発費が増大したり、開発期間が延びてしまうという現象が各地で発生している

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