パスワードを忘れた? アカウント作成
650701 journal

von_yosukeyanの日記: 禍根を残す足銀処理

日記 by von_yosukeyan

足銀処理が、預金保険法102条1項3号(いわゆる3号処置)によって処理されることが決定した。この背景には、9月末決算で1033億円の債務超過に陥っていることが関係しているが、この判断は妥当なものだったのだろうか

足利銀行は1895年栃木県の足利市に発足した。足利周辺の繊維業者や、温泉などのサービス業を中心に業容を拡大し、全盛期初頭には川崎財閥の傘下に入った関係もあり、一般的には三菱銀行と親密な関係を結んでいることで知られている。現に足利銀行の基幹系システムは三菱銀行から技術導入したIBM系システムで、ポスト第三次オンラインもBTMを中心に、常陽銀行など旧三菱と親密な関係にある旧川崎財閥系金融機関と共同化する予定である

足利銀行は、昭和40年代に創業の地である足利市から、県庁所在地である宇都宮市に本店を移したのを機に、隣接する群馬、茨城、埼玉、福島など北関東全域に進出し積極的に業容を拡大しようとした。これに加えてバブル期、足利銀行はゴルフ場やホテルなど不動産・リゾート開発で巨額な不良債権を築いた

バブル崩壊後、こういった不動産開発を中心とした不良債権処理が遅れたのは一つは、足利銀行が地方銀行であった点である。97年に経営破たんした北海道拓殖銀行は、やはり不動産開発などで巨額の不良債権を発生させていたが、拓銀自体は戦前の特殊銀行の流れを汲む都市銀行で、規模の面では足銀の一回り大きいくらいだが資産査定や市場から受ける影響性から言えば他の都市銀行と同等に扱われていた。これに対して、地方銀行は基本的に金融庁の検査が2年に1度行われるに過ぎず、国内基準行であるため繰延税金資産や不良債権に対する引当金の面でも甘く査定されてきた、という一面もある

不良債権処理が遅れたのは単に銀行行政上の問題だけでなく、経営陣の甘い経済予測にもあった。栃木は、首都移転候補の一つとされ、将来的な地価の上昇を見込んでいた足銀経営陣は、大胆な不良債権処理に踏み切れなかった。また、旧経営陣が退任後も銀行内に影響力を残すというお定まりの悪慣習が残っており、また取引先にも北朝鮮系企業や、闇社会に繋がる企業も少なくない。さらに、製造業が多い栃木経済自体の地盤沈下も足銀の再建を遅らせた。

#拓銀破綻期のわが国の金融事情は、安田信託銀行(現みずほ信託銀行)の処理問題をめぐり救済した富士銀行の格付け低下や、芙蓉系の山一證券の簿外債務問題、三長銀の経営不安、さくら銀行の資本不足問題など問題が山積しており、インターバンクでは邦銀に対する短資スプレットが急上昇するジャパンプレミアムが存在していた。拓銀はインターバンクでの資金調達に失敗し、破綻を余儀なくされたが、北海道最大の地方銀行である北海道銀行が業務継承を拒否したため、第二地方銀行に過ぎなかった北洋銀行が経営を継承した

#拓銀破綻は、単に都市銀行初の経営破綻というだけでなく、経営不振に陥っている地方銀行の処理に微妙な影響を与えた。拓銀の破綻と北洋銀行への経営継承によってかなりの債権が債権回収機構(RCC)に回され、北海道経済は大混乱に陥った。一方で、業容を拡大した北洋銀行は、同じ北海道の第二地銀である札幌銀行を持ち株会社形式で傘下に収め、巨額の不良債権に苦しむ北海道銀行は、営業基盤の一部が重なる北陸銀行とともに、共同持ち株会社ほくほくホールディングスを結成し延命を図っている

問題なのは、足銀が超過債務だったのかという問題それ自体ではなく、3号処置による処理が適切だったのかという疑問である。足銀は、98年と99年の2回に分けて1350億円の資本注入を預金保険機構から受けている。これに加えて、99年には2回にわたって栃木県や市町村、それに主要な取引先3000先に700億円の第三者割り当て増資(優先株)を行っている。これだけの規模で公募増資ではなく第三者割り当て増資を行った例はみずほHD(当時)の増資しかない。この合計2000億円強の増資は、3号処置によって水泡と化した。増資認可が適切であったか、という問題に加えて関連先や取引先に対する影響は甚大であり、3号処置に伴う特別危機管理銀行による経営継承が一時的なことを考えると、今後どこが経営を引き取るのか、という問題に加え一説によると預金保険機構分だけでも1兆円にものぼる資金援助、政府系金融機関による特別融資分を加えると、税金による負担がどれだけになるのか想像もつかない

債務超過銀行に対する1号処置自体(預金保険法102条1項1号、りそな方式)が不可能ではないかという意見もあるだろうが、それは違う。今回の債務超過認定は金融庁の検査結果を元に会計事務所(中央青山)が追認したという経緯だが、りそなの1号処置適用時には会計事務所の監査結果に基づいて資本注入が申請された。しかし、結果的にはりそなの場合には投入された約2兆円の公的資金の大半が資産再査定や、傘下の近畿大阪銀行の債務超過解消に費やされた結果、ほとんどを使い果たしている。すなわち、りそな自体も足銀と同様に2003年3月期決算時に超過債務状態であった疑いが濃厚であるのだ。にもかかわらず、りそなには1号処置が新経営陣による資産再査定を待たずに、金融危機対応会議の場でほぼ決定し、これに対して足銀の場合には3号処置が決定されたのは、預金保険法の運用上行政の裁量が利き、足銀もまた1号処置による処理が可能であった可能性があるということだ

ならば、1号処置であろうと3号処置であろうと、最終的な国民負担が最小かつ地域経済に与える影響を最小限にとどめるという意味において最適な手段を選択すべきである、というのが現行法運用上中央合同庁舎4号館に求められる。しかしながら、今回の処置選択は、地域金融に対する政策的な観点や、自民党執行部の一部勢力による政治介入の可能性が否定できない。このような点において、足銀処理問題は今後本格化するであろう地域金融機関の再建問題に大きな禍根を残したといえるだろう

#注 この文章は私怨に基づくものです
#とりあえず若造幹事長死ね!

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
typodupeerror

私はプログラマです。1040 formに私の職業としてそう書いています -- Ken Thompson

読み込み中...