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von_yosukeyanの日記: 複合企業体 2

日記 by von_yosukeyan

何と言うか、表の話題とはあんまり関係ないんだけど

ゴールドラットの思考プロセスの終わりのところで、変化に強い企業とは複合企業だ、という記述があった(と思う)。複合企業というと、ナニをやってるのかよくわからん企業のような気がするが、意外とこういう企業は多い

例えば、GEやWHは元々は親会社がある。GEの親会社は、米国市場空前のエネルギー複合体であったエジソン社の持株会社であり、元々はトーマス・エジソンが電機製品の商業化を目的に設立した企業だった。前世紀初頭には電機・エネルギー複合体となっていたエジソン社は、巨大金融財閥J・P・モルガンの傘下となる。大恐慌後、エジソン・グループは多数の電力会社とGEに解体され、J・P・モルガン自身も一旦は商業銀行モルガン・ギャランティー・トラストとなるが、投資銀行部門をモルガン・スタンレー・インターナショナル(MSI)として分離する

WHは機関車のエアブレーキを開発したジョージ・ウェスティングハウスによって設立された重電企業で、交流・直流電源仕様をめぐるエジソン=テスラの「電流戦争」においてGEと対立したことで知られている。また、WHはエジソンと対立したアレキサンダー・グラハム・ベルのAT&T社と親密で、モルガンがロックフェラー系であるのに対してWHやAT&Tがロスチャイルド系であることが少し因縁めいているような気もする

GEとWHの競争は、第二次世界大戦後にも続いた。例えば原子炉の仕様ではWHが原子力潜水艦用に開発した加圧水型原子炉(PWR)を推進したのに対し、GEは原子力発電用に開発した沸騰水型原子炉(BWR)を推進した。結局、日本ではBWRを技術導入した東芝・日立系と、PWRを技術導入した三菱重工系に分かれ(例えば東京電力はBWRを、関西電力はPWRを)ているが、それ以外の国々でも両社は激しい競争を繰り返した(例えば韓国は韓国標準原子炉としてPWRを採用している)

では日本ではどうなのか、というと日立グループと三菱グループがある。日立は、戦後解体された新興財閥旧日産コンツェルンの一部門で、鉱山への電機製品の納入企業として設立された。戦後は、IBJや三和など独立系大手銀行を並列メーンバンク化して、銀行系企業集団に属さない巨大企業となった

三菱は過去にも書いたが、元々は海運業を中心とする明治維新後に生まれた財閥である。その後、長崎三菱造船所を中心として機械・造船業を中心とする三菱重工業を中核企業として機械産業を中心に成長した。三菱もまた、中核金融グループとして旧三菱銀行があったが、三菱銀行が現在のような巨大金融グループとなったのは昭和恐慌期に旧川崎財閥(川崎重工業グループとは無関係)を吸収したのが契機で、戦後も財閥系都銀として有力な存在だったが基本的には大蔵省と対立しつづけた

こういった機械系企業が複合企業化する要因には二つあると思う。一つは、熟練工の存在で熟練工は基本的には高い技術力を持った人材を、長期雇用によって育成するという人事システムを採らざるを得ない。もうひとつは、こういった機械系企業は中央研究施設を工場に併設して、工場ごとが高い独立性を保っているためで、機械関連の新規事業をおこしやすい。こう言った関係から、「機械に関連するものならば、何でも進出する」要素が機械系企業にはあるのではないかと思う

例えば、GEは戦後にはすでに電機・機械だけでなく航空機(その後撤退)や航空機エンジン、コンピューター(その後撤退したがMITと共同開発したMULTICSはGEのメインフレームで稼動していたし、MULTICSを製品化したGCOSはその後仏BULL社を経てNECのACOSに引き継がれている)、金融などに進出した。また三菱重工も、原子炉、航空機、電機(分社化して現三菱電機)、自動車(分社化して現三菱自動車工業、三菱ふそう)と三菱系企業のゴットファーザーでありつづけている

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  • 日立は芙蓉グループ(富士銀行系列)だと自己規定してたと思うんですが,筆頭株主は興銀で,三和のグループにも属していて,独特のバランス感覚というか保険のかけ方に象徴される堅い体質が,今の不調にもつながっているような感じがします。似たような総合電機としては東芝がありますが(一応三井系),ここも別に三井色が強いわけでもなく,教科書的な「銀行を中心とした系列の強み」ってどれほどあったのだろうか,少なくとも電機に関しては三菱が突出していただけだったんじゃなかろうかと思います。
    誤解あったら訂正お願いします。

    • 財閥史観というのは、基本的に戦後はメーンバンクを中心として、商社(流通機能)や産業部門を、有機的な企業集団とみなして分析する手法ではありますが、過去の長期的な成長過程を分析するのには適しているわけですが現状を分析する手段としてはかけている部分もあると思います

      それはそれとして、日立は「財務の日立」と言われるほど、他の総合電機と比べて財務基盤が厚い面があるのですが、反面事業部内部でも独立性が高く、企業統治がうまく機能していない企業の一つであると思います。これは東芝や、NECといった他のメーカーにも共通するのですが、総花的でどこに集中投資するのかという観点が欠けているのが現在の不調の原因ではないかと

      反面、こう言った企業は奥が深いのが特徴で、例えば建設機械関連では中国向けで完全に勝ち組ですし、鳴かず飛ばずだったSHプロセッサもやっと携帯向けのアプリケーション・プロセッサで優位性を発揮できるようになりました。こういった投資分野の選択には、厚いR&D基盤がなければならないという意味で、日立の状況は70年代のGE病に近い状態なんじゃないかと思います

      日立以外の総合電機メーカの状況を見てみると、住友財閥と繋がりの深いNECや、関連性は余り高くないかもしれませんが東芝あたりは財務基盤が弱くて、しかも投資分野が絞れないという状態にあるのではないかと思います。状況としてさらに悪いのが、三菱電機や富士通で、投資分野を絞ると言いつつ、絞りきれてない上に無理なコスト削減が競争力を削いでいる例なんじゃないかと

      銀行を中心とした系列の強み、というのは基本的に資本調達と人材の交流の二点にあると思います。富士通が急激に成長できたのも、旧古河財閥を取り込んだ第一勧業銀行グループにありますし、実際旧古河財閥系の富士通、朝日生命、第一勧業銀行の間は強固な関係があります。資本の持ち合いももちろんありますし、低利に大量の他人資本を調達するという意味で、メーンバンクシステムは電機業界でもかつては有効に機能していたと思います。
      親コメント
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