von_yosukeyanの日記: 中小企業支援と行政(2) 最低資本金規制撤廃
再び霞ヶ関官僚日記から
こういった成長性を前提とした企業支援は、すでに1980年代には限界に達していたのではないかと思う。90年代の不況期に入ると、資本支援制度は完全に崩壊する。「資金が足りない」という企業の声を背景に、資本支援制度は強化の方向に来ていたが、企業にとってほしいのは資本ではなく、資金であり、他人資本自体を見ると大企業では70年代後半から、中小企業でも90年代に入ると他人資本(借入金)の圧縮に動き出す
行政による資本支援が限界に達したことを鑑み、行政は二つの方向に動き出す。一つは、金融システムを阻害している経営不振銀行を改革することで、90年代後半には不良銀行の撤退を、00年代に入ると産業再生機構や資本注入を通じた不良債権圧縮を図りつつ、同時に中小企業融資を拡大するという矛盾した政策を取るようになった
もう一つは、資本支援によらない支援、すなわち発展段階にある中小企業を支援するのではなく(この政策自体は継続されてはいるが)、新規事業の立ち上げを支援することである。これは、従来の立ち上げ後に行政が直接支援する形態ではなく、企業環境を整備することで、先に挙げたa)とb)がこれにあたる(c)とd)に関しては従来からもあったが新たにこれも整備されつつある)
しかし、少なくとも現在行われている改革は中途半端に思えるし、実際「発展段階にある中小企業を支援する」という思考事態から抜け出せないでいる。その典型的な例が商法改正による最低資本規制の撤廃である
最低資本規制とは、株式会社ないしは有限会社といった有限責任会社の設立に際し、最低限の資本金(株式会社1000万円、有限会社300万円)を定めることである。これは、新規創業の際に起業家の資金的な負担を軽減することに繋がるとされ、現在は時限的なものであるが、将来的には商法の改正によって1円からの起業が可能とされる
しかし、そもそも最低資本規制は破産時に会社の残余財産から債権者が優先的に弁済を受けるにとどまり、社員の無限責任を問わないという有限責任会社の特色から作られた制度である。手元の経済産業省が今年行った調査資料によると、取引先の信用判断の基準として資本金を挙げたのは全体の3%にすぎない、というのもこの政策に対する論拠となっている。そして、起業家自身が「株式会社設立は資金や手続きなどで精神的な障壁となっている」と回答している
これが、2005年商法改正によって1円まで恒久的に引き下げられれば、起業数が増加するというのが経済産業省の主張である。しかし、個人的にはとんでもない暴論であると思う
そもそも、企業設立には資本金のほかに登録免許税だけで15万円、印紙税などで20万から25万程度、一般的には50万から100万円は必要である。それに、資本なしで起業するという形態にどのようなものがあるのだろうか? 例えば、設備投資が比較的簡易であるサービス業にしても、事務所の敷金や、事務用品などで数百万は必要だろうし、実際に起業しようと考えている者ならば、これくらいの資金を用意するはずである。そして、最低資本金規制の緩和ならまだしも、事実上の撤廃によって恩恵を受ける層は、会社組織の必要があるのかどうか疑問に思える
#いや、恩恵を受ける層はあるにはある。例えば、ウチの所有する不動産や有価証券を元に会社を設立して、節税や相続対策にするという形態である。だが、こういったものはそもそも法が予定していないような形態であろうし、雇用創造にも増収にも繋がらないのは明らかであろうし、そもそもこういったパーパーカンパニー対策として最低資本金引き上げを規定した1990年の商法改正があるのだが
ボクは、小寺氏のZDの記事は、こういった行政と民間との間の創業をめぐる考え方のギャップに関して指摘したそれなりに評価できる記事であると思った。仮に、行政による創業支援を雇用や税収を増やすという目的において、成長性のある企業に対して投資を行うべきであるという従来の論を取るとするならば、行政が直接的に事業を展開することによって直接的な雇用を行うか、道路公団や郵貯だけでなく大半の金融機関を国有化し、雇用と公的投資を維持すべきである。そして、成長の途上段階であると定義できる後進県に対してインラフストラクチャーの整備と補助金の交付を強化すべきであって、国家的な事業として日本は月に5年以内に到達するという目標を掲げて、帝国高速度営団交通事業団と宇宙住宅供給公社と特殊銀行宇宙空間拓殖銀行を設立してて無記名割引金融債を・・・。(果てしないのでヤメ)
中小企業と行政(2) 最低資本金規制撤廃 More ログイン