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von_yosukeyanの日記: !酔!小額決済

日記 by von_yosukeyan

Wikipediaのストーリーについたコメントにあった日本でなぜPaypalが流行らないのかという記事が非常に気になった

理由は単純明快である。小額決済そのものが儲からないからだ
実際のところ、小額決済事業に参入している企業は多々ある。銀行免許を取得しているところだけでも、JNBやイーバンクが、既存の銀行でもみずほ銀行、うんこ銀がインターネット支店を開設して参入しているが、黒字化に成功しているところは未だにない

小額決済は一見してそのトランザクション量の多さから、非常に有力な事業分野だと思われているが、実際には利益が非常に薄い。それに対して、初期投資はインフラストラクチャーに対して膨大な投資を行わなければならず、かつトランザクションの平均時ではなくピーク時に合わせた投資を継続していかなければならないから、単純にスケールがモノを言う装置産業であると言える

となれば、小額決済が向いているというのは既存のシステムを活用するとか、他のシステムの余剰能力を利用して安価な決済スキームを模索する、といった方法が最も有効に思える。香港の地下鉄プリペイドであるオクトパス(Felicaを利用した地下鉄プリペイド)が電子マネーとして使われているのは、こういったインフラがすでに存在しており、その延長上として利用できるからだ

では、欧米の決済システムが小切手だけで完璧に完結したシステムなのかというとそうではない。日本では、小切手などの交換システム(トランケーション)がネットワークとして構築されているが、例えば米国では公営(連邦準備制度が提供するもの)と私的なものが両立していて、決済コストが事前によく分からない場合がある。例えば、小切手を切って相手に送付しても、(原則的に同じ銀行間の決済でない限り)相手の側でも小切手を入金するのに手数料がかかる場合が多い

#これが日本の銀行振り込みの場合だと、払い出し人が振り込み手数料を払うだけで受取人は手数料を払う必要は原則的にない

だから、個人間で決済を行う時には、あらかじめ支払うべき金額よりも少し多めの額面の小切手を切る場合がある。そして、小切手自身の送付や、銀行側の決済事故で決済が必ずしも行われるとは限らないのである。もっとありえる話としては、小切手を現金化する際に、払い出し口座の残高が不足していてフェイルする場合だ

#これらの問題点は、チェックトランケーションの電子化が進行した欧米では、電子小切手システムの登場によって解決されつつあるように思える。これは小切手を店舗などで受け入れる場合に、端末で小切手に印字された磁気インクを読み取り、電話回線で小切手決済ネットワークを通じて小切手払い出し側の銀行の勘定系システムから残高を自動的に引き落とし、店側の口座に入金する。引き落としができればその時点でその小切手は無効となり、店員は支払済みのスタンプを押して顧客に返却するし、残高不足などで引き落としが出来なかった場合にも同様に小切手は無効となって返却される。現物の呈示や交換が行われないために、詐欺や個人情報の流出、郵送事故などの可能性がなくなるため、少しづつ普及している

しかし、最も一般的に普及しているのはクレジットカードだ。クレジットカードのトランザクション量は単純に言って日本の100倍近い。ほとんどあらゆる場所でクレジットカードが利用できるし、利用できない場所では小切手が使える場合が多いし、クレジットカードが利用できればほとんどの場合デビットカードが利用できる

こんなことを書くと、欧米ではさぞかし簡単にクレジットカードを発行しているのだと思われるかもしれないが、実際にはクレジットカードの発行は日本よりも難しい。そもそも、預金口座を開設する場合には社会保障番号が必須だし(よって外国人が預金口座を開設するのは非常に難しい)、クレジットカードの発行にはクレジットヒストリーが良好でなければ与信自体が行われない。

#これ自体は、口座の利用状況や、デビット/セキュアカードによるクレジットヒストリーの蓄積によって与信判断が行われる

デビットカードに関して言えば、Jデビットの決済手数料は小額決済にはそもそも向いていない価格設定だったりする。比較的高額な資金決済にデビットカードは有益である場合があるが(例えば、証券会社の店頭で自身の預金口座から振替をする場合など)、欧米で一般的なデビットカードの利用形態である小額決済やキャッシュアウトなどが行われにくいのは、確かにわが国の決済システムの制度的硬直が問題である

しかしながら、クレジットカードの場合でもデビットカードの場合でも、小額決済制度が成り立たないのは小売業における利益率が低いので、現金トランザクションと競争できないのがそものもの問題だ。それが冒頭で述べた小額決済システム自体が儲からない原因に繋がっている

これをPaypalのビジネスモデルに置き換えてみると、Paypalは原則的に決済手数料を徴収しないことで普及したが、Paypalの当初の収入源は預かり金を預金や国債、短期証券などで運用した利子によってである。しかし、これはトランザクションではなく、FOMC(連邦準備制度公開市場委員会)の公定歩合(FFレート誘導目標)に利益が連動することを意味し、基本的に不安定な収益となる。ましてや、わが国では事実上のゼロ金利政策が実行されているために、金利による収益モデルそのものが構築できない。そうなれば、円によるPaypal決済は決済手数料や為替手数料を徴収しない限りは成立し得ない

一方で、銀行免許を取得したJNBやイーバンクなどでは前者がトランザクション毎の決済手数料を、後者が出金手数料や法人顧客に対する口座維持手数料やサービス手数料などを収益源としている

・・・というところで、ぶーちゃんと遊びたくなってきたので続きはまたいつかどこかで

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