von_yosukeyanの日記: なんか変
通信用語(等)の基礎知識を読んでいたら、ちょっと変な解説が。
オレだったらこう書く。
メインフレーム
・汎用計算機または汎用機のこと。かつては、科学技術計算や基幹業務、機器制御などあらゆる業務に対応できるシステムであったため「汎用機」と呼ばれる。また、単にIBM製のS/360とその後継機種、IBM互換汎用機を指す場合もある。
・現在では、スーパーコンピューターや組み込みプロセッサ、安価なUNIXワークステーションやPCなどメインフレームの業務を代替する専用コンピューターが登場し、またメインフレーム自体も高価なため、企業の基幹業務などメインフレームが得意とする長時間連続運用能力を生かした業務に使用される。
・メインフレームという言葉は、まだコンピューターがワンフロアを占領するほど大型だった時代に、巨大な鋼鉄キャビネットであるCPUを指す言葉として生まれた。時代を経るにしたがって、メインフレームは当時コンピューター業界を独占していたIBM社の官僚体質への批判や、時代遅れなバッチ処理指向の処理システムを連想させる言葉として定着した。
・現在ではメインフレームも、オンライントランザクションや分散処理、UNIX化などメインフレームのアンチテーゼとして登場した技術を取り込み、新たな進化を遂げている。
スーパーコンピューター
・科学技術計算向けの高速コンピューター。シミュレーション解析など、主に通常のコンピューターでは不可能な大規模計算業務に特化した特殊コンピューター。
・主にベクトル型と並列型の二種類が存在する。ベクトル型は日本メーカーが主体で、高速計算を可能にする専用プロセッサであるベクトル(LIW)ユニットを複数並列させることで高速化を実現する。後者はアメリカメーカーが主体で、低価格な汎用プロセッサを数百個から数万個並列させることで高速化を実現する。
・スーパーコンピューターの輸出に関しては、核兵器や原子炉の設計など大量破壊兵器の設計に不可欠なために厳しい輸出規制が敷かれている。
原文をみればわかるが
・メインフレームは本来の汎用機という意味から乖離している。エンタープライズ系のUNIX機と比べても、最大構成のメインフレームの方が小さい。「大型」「汎用」という言葉は時代に合わないので、それに即した説明が必要
・スーパーコンピューターの高速化技術はパラレルだけでなく、ベクトルもある。細かいことを言えば、ベクトルプロセッサを並列化させた並列ベクトル機が主流で、一部製品に擬似ベクトル(ソフトウェアベクトル)機がある。
・そもそも汎用プロセッサを水冷にする必要性は低い(昔のクレイの機種はそうだったけど1機種だけ)。水冷の必要があるのは、ベクトル機の一部だけで、最近のベクトル機はほとんど空冷(水冷なのは、Crayの一部機種)
・研究室レベルの実験的なシステムを除いて、スーパーコンピューターの冷却触媒に液体窒素を使用した話など聞いたことがない。あるかもしれないがすごくマイナーで現在は存在しない(クレイが妄想したジョセフソン素子とガリウム砒素素子を使ったシステムがそうだったと思うが、完成する前にクレイ社から追い出された)。かつては、フロンガス(HFC)を、現在ではフッ化炭素を使用している。なお、3世代前までのメインフレームも水冷(まんま水で冷却)であったが、バイポーラ素子からCMOS素子への移行に伴い、現在の製品には水冷機種は存在しない。(CMOSは冷却した方が反応速度が速くなるという性質を持つが、水冷にしてまで動作周波数を上げることはあまりない)
・CPUとMPUの誤用。MPUは単一構成のマイクロプロセッサを指し、CPUは広義の処理装置を指す。メインフレーム用の処理装置は、MPUとは限らない(ほとんどマルチモジュール構成でMPUという表記は適当ではない)
・最近はスーパーコンピューターの主記憶はSRAMとは限らない。キャッシュのような感じでSRAMを使うほかは、最近の機種はほとんどSDRAMを使っている。というか、パラレル機種ではNUMAの登場によってSRAMは使わない
・スーパーコンピューターは分散処理の敵なのか? 歴史的に観れば、バッチ処理主流のコンピューティングへの批判は、IBM S/360に対するMIT/ARPAの批判(1960年代半ば)で、これが直接にはハネウェルやGEのMULTICSメインフレームに受け継がれ、HPC方向にはコントロールデーター製の高速コンピューターやCRAY1スパコンに、一般的にはDECのPDPシリーズに影響を与えた。筆者はおそらく、MITのIBM批判とワークステーションの登場による(スーパーコンピューターを多数運用する)計算機センターの衰退を混同している。スーパーコンピューターが普及しはじめるのは1980年代初頭で、計算機センターの衰退は1990年代の話。90年代半ば以降には、DNA解析、模擬核実験、シミュレーションサイエンスの進化によって新たなスーパーコンピューター需要が生まれている。
・しつこいが、ジョージ・オーウェル的な反巨大政府・反巨大企業思想の敵になったのはスーパーコンピューターではなくメインフレームだ。Appleが1984年に作ったあのビデオクリップが破壊したのは、Crayを中心とするスーパーコンピューターだったのか? あれはIBMじゃないの? ちなみに「1984」と言ってピンと来るのは、SF好きかジジイくらいなので、もし加えるなら「ジョージ・オーウェルの『1984年』」と入れないとわからんと思う