von_yosukeyanの日記: みずほ銀行が国債管理手数料無料化
http://www.mizuhobank.co.jp/saving/kokusai/index.html
4メガでは初だが、郵便局や証券会社では元々管理手数料は無料だし、銀行だとりそな系が手数料無料化に踏み切っている
郵便局は別として、各金融機関が国債管理手数料を無料化するのには理由がある。元々、国債は5万円以上5万円単位で、短期(1年)、中期(5年)、長期(10年)の期間で利付債と、一部に割引債が発行されている。定期預金よりも利率は有利だが、郵便局や証券会社などでしか積極的に販売されてこなかったし、銀行では管理手数料を徴収することや、最低購入単位が比較的高額であること、定期預金と異なり中途解約ができない(市場売却となる)などがネックになっていた
購入から原則一年後からの中途解約を可能とし、販売単位も一万円から、変動金利債だが下限金利が定められているなどの特徴をもった個人向け国債は、第一回債はものめずらしさもあって買われたが、第三回債まで金利低下によって不人気だったが、金利が上昇に転じた第四回債以降順調な売れ行きをみせている。利払い金利水準も、第一回債が年1.08%(第四期)と極めて有利な水準にある
こういった背景から、富裕層だけでなく比較的高年齢層に人気が出てきた国債だが、証券会社などは顧客取り込みのために口座管理手数料を無徴収としたために、資産管理ニーズのある層が証券会社に流れている。特に、銀行の中では年金保険・投資信託・外貨預金の三大手数料商品の販売では三井住友銀行が圧倒的に先行し、UFJ/BTMがこれに追随する形で、みずほ銀行はかなり遅れている分野だった
みずほ銀行がこの分野で遅れている理由は明確で、システム統合が未完である点である。何をバカな、と思われるかもしれないが、元来資産管理系のビジネスは顧客辺りの収益に比べ人件費が必要で、収益率が低い。専門性の高い相談員を確保するだけでなく、証券外交資格などの資格が必要な業務も多いためで、行員一人あたりが拘束される時間帯も長い。従来の業務の片手間で行っていたのでは、訴求性も低いし専門で行っている信託銀行や証券会社とは勝負にならない
そのため、資産管理ビジネスでは預かり資産50万ドルを境として、プライベートバンキングと称して資産管理ビジネスを行っているし、1000万以上から50万ドル近辺ではゴールドクラブとか、エクセレントクラブといった名称で、カスタマイズ性の高い資産管理ビジネスを行っている。問題は、これに入らない層、即ち退職者でまとまった退職金の運用を行うとか、二十代から三十代にかけて負債と資産形成の両面でビジネスになる層をどう取り込むのか、という問題が出る
従来の銀行の発想だと、多少の赤字は覚悟でこれらの層を窓口で取り込んで、囲い込んでしまうという方法を取ってきただろう。しかし、現実には金融機関、特に銀行顧客のブランド忠誠心はきわめて低く、有益なサービスが登場すればすぐに乗り換えてしまう傾向にあるため、あまり現実的ではない。そこで、セグメントごとの採算性を確保する必要があるが、採算性を重視する欧米型のやり方では、取りこぼれてしまう層が出てくる。日本ではこの層が無視できない規模であるし、メガバンクという金融複合体であるメガバンクのビジネスモデル的には切り捨てができない分野である
こういったセグメントを切り捨てずに、コストを削減して収益を確保するという発想が、欧米のスーパーリージョナルバンクが躍進する要因となったもので、わが国では新生銀行と三井住友銀行、UFJ銀行がこういう戦略を取る。要するに、コスト的に見合う層は窓口や、サテライト店(預金業務など現金を取り扱わず相談業務に特化する店)で、専門員によるより高いサービスを提供する。一方、窓口よりもコストの低いインターネットやコールセンター経由でのチャネルを拡大させるという戦略である
窓口にしても、リモートチャネルにしてもコスト削減の要はシステム化である。顧客ごとの資産配分状況の分析や管理には、勘定系とは別の管理システムを用意する必要があるし、これらの分析には巨大なデータウェアハウスを構築する必要がある。しかし、システム統合が未完であるとこれらのシステムとの間で複雑なデータ変換が必要であるし、システム的に二重投資になってしまう。システム統合で先行し、手数料収益を重視していたSMBCやUFJはこう言った分野では先行したが、システム統合で遅れを取っただけでなく、システム統合に人員や予算を取られてしまったみずほの場合、こういった全面的なチャネル展開が行えなかった
取りうる手段としては、チャネルの幅ではなく商品の幅を狭め、定番商品としてクロスセリングする方式だ。この方法には顧客の選択肢の幅を狭め、ノルマ重視の銀行の営業方式だと顧客に多額の損失を強いる可能性があることから、メガバンクでは東京三菱しか行っていない。バブル期に、定番商品として不動産担保の株式購入資金を融資しまくった富士銀行としては、二の舞を避けたいと言うのも在るかもしれない
それ以上に、旧三行は生保などと提携が多いために、商品の種類が多すぎるというのもある。SMBCなどは、三井・住友両財閥グループ外からも多くの商品を手提供しているが、みずほの場合はグループ内の投信会社や生保から大量の商品があって、製品ライン的にはあまり統一性がない。とりあえず押し込んだ感じが強い商品構成で、目玉と呼べるものが少ない
そこで、持ち込んできたのが個人向け国債なのだろうが、個人向け国債そのものの利益率は非常に低い。そのため、銀行は国債の取扱に際して手数料を徴収しているし、販売自体にもそれほど積極的ではない。あえてみずほが個人向け国債の取扱を開始したことは興味深くはあるが、過去の例から言ってもそれほど起爆剤として有効に働くことはないのではないかと思う
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