von_yosukeyanの日記: 信託銀行子会社
信託銀行子会社とは、狭義には証券や商業銀行、外国銀行などが所有する日本法人の信託業を兼業する銀行のことで、94年の規制緩和によって設立が認められた銀行である。しかし、歴史的に見ると昭和20年代の長短分離政策によって、商業銀行や証券会社の信託部門や株式代行業務部門が信託銀行として転換されて以降、信託専業銀行以外に常に需要のあった部門である
規制緩和によって、信託銀行数は急増したが、実際には規制緩和の効果があったのか疑わしい。新設された信託銀行子会社は、野村信託銀行のように証券会社の銀行業務を代替させるという一時的な効果はあったものの、大半の信託子会社は法人向けのホールセール主体のこじんまりとした銀行で、従来の信託銀行のホールセール市場(年金など)が少子化を背景に縮小しつつある現状から言えば、余り効果がなかったといっても過言ではない
実際には、97年に経営危機にあった安田信託銀行が富士銀行の増資を受け系列会社化されたのを皮切りに、旧川崎財閥系の日本信託銀行が東京三菱銀行のTBOを受け子会社化(後に三菱信託銀行に吸収)、そして99年7月のみずほグループ誕生以後は、信託銀行を持株会社内に経営統合するという形で、独立した信託銀行は中央三井信託銀行(三井トラストホールディングス)と住友信託銀行の二社に限られることになってしまった
逆に、規制緩和によって設立された信託子会社は、こういった金融再編に伴ってグループ内に納められた伝統的な信託銀行に吸収される形で消滅したが、残った信託銀行子会社は金融行政上極めて忌々しき問題をひきおこしつつある。特に97年に破綻した山一證券の子銀行である山一信託銀行は、本体が破綻処理されたため支援先が見つからず、結局オリックスグループが子会社化(現オリックス信託銀行)することで決着を見たが、この後銀行業への規制緩和と、銀行免許の審査問題に絡み、経営不振の信託子会社が金融行政上の大きな問題と一部には認識されはじめた
これが表面化したのが、東京都による新銀行設立に絡む問題である。公的資金を投入して設立される新銀行に関しては、当初から採算性や存在意義に関して疑問があったが、都は銀行免許を取得するのではなく、信託銀行子会社の赤字に悩んでいたBMPパリバの子銀行、BMPパリバ信託銀行を買収することで、免許取得を省略するという挙に出たため議論を呼んだ
現実的には、存在する信託銀行子会社の多くは経営上の問題を抱え、実質的にもペーパーカンパニーに近い状態の銀行が多い。梱った銀行の買収が、銀行免許を取得するよりも楽に事業会社が銀行業に参入できる手段として存在するならば、それは極めて忌々しき問題であると言えよう
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