von_yosukeyanの日記: 金融パッケージ(4) 1
では、証券と同じく、銀行ももう少し具体的な話にもっていきます。
証券の場合は、使い勝手やレスポンスはバックオフィスよりもフロントオフィスの良し悪しによって決まりますが、銀行の場合はフロントオフィス(情報系)もバックオフィス(対外接続系、情報系)も「使い勝手」といった客観的な評価に関わってきます。
銀行の使い勝手はこれまで、基本的には証券ほど差別化しにくい環境でした。銀行サービスの中心となるのは、普通預金と定期預金という二大サービスが中心で、振込などの手数料収入はあまり重視されてこなかったからです。
これは主に、これまでの護送船団方式の銀行行政から言えば、預金を企業への貸し出しに使用して産業の育成を図るという政策(銀行も低リスクで儲かると言ううまみがある)と、日本では欧米と違って個人の決済機会がほとんど現金を中心に行われてきたからです。そのため、トランザクションを増やして儲ける(手数料収入)ことや、リスク管理の必要性のある業務(例えば住宅金融、個人金融)、資産形成型の業務(人手がかかる上に法令上の規制もあった)にはかかわりにくい状況にありました。
金融の自由化によって、証券と銀行の競争時代に入ると、低リスクで巨大な貸し出しを行う産業育成型の銀行のあり方から、低成長時代における成長の原動力へと期待されるあり方が変わってきていると思いますが、全く異なった期待ですから銀行側も対応が一々遅れているといわざるを得ません。
例えば、電子商取引における決済などがいい例で、都銀の間では70年代後半からBANCSと呼ばれる相互決済システムが構築されていますが、振込手数料も横並びという傾向が強いです。これは、BANCSが構築された当時は、業務の効率化という点を重視して開発が行われた経緯からで、BANCSシステム利用料の低減や地銀の参加性という意味では不十分といわざるを得ません。
資産形成型のリテール重視という観点から言えば、インターネットバンキングとATM設置数の増加・24時間化によって顧客の利便性の向上を行い、利用頻度によって手数料の低減など積極的なマーケティングが求められますが、(3)で述べたように証券ほど単純ではないようです。都銀系で積極的といえるのが、東京三菱と三井住友あたりで店舗数は削減してもコンビニATMの積極的利用に動いていますが、全体的に見れば不況の影響で足踏みしている感じです。
インターネット専業のほうでは、既存の銀行との連携がうまくいっていないところが多く、決済に的を絞っているイーバンクは(個人的には将来は暗いと思うが)まぁ面白いと思いますし、資産形成を謳っているソニーバンクも(全然ダメだと思うけど)まぁ面白いと思います。ただ、中途半端にインターネット対応をしてる既存の銀行と競争しても負けそうなジャパンネット銀行などを見ても、専業は専業で厳しい現実があると思います。大体、資産形成型のリテール業務は銀行でなくても、証券の方が圧倒的に選択肢がありますし、一時期流行った「総合口座」(決済、貯蓄、運用を1つの口座で行える銀行・証券のサービス)をもう少し積極的にやっていけば、別にチャネルがあるというだけでサボってる銀行などいらない・・・と言うのが世の中の現実でしょう。このあたりは、来年半ばあたりから証券との全面的な提携という形で、インターネット専業銀行の逆襲が始まるのではないかと思っています。
話を変えて、決済という観点から見ると決済自体もクレジットカードなどと競合している分野なので、銀行自身もなかなか踏み出せないところがあります。問題なのは、銀行系のカード会社は銀行全体の利益に直結するのではなく、部分最適化的に業務を行っているので、銀行系カード会社を銀行本体の経営に即したものにもっていけばもう少し利便性も向上するはずなのですが、イマイチすすまないというのが問題点としてあると思います。実例を挙げれば、欧米では一般的に見られる銀行口座残高に連動した限度額設定を行うセキュアカードがない点で、クレジットカードの敷居を高めていると言えます。また、デビットカードなどもかなり中途半端にやってるな、という印象が強く、わざわざインターネット専用のインターデビットサービスみたいなのって意味あるのかと思います。この辺は結局のところ、Cモードなどの携帯電話電子決済やコンビニ決済などとも競合してしまうので、未来は暗いと思ってたり
当初の目論見とちょっと違った話になってしまいましたが(短時間で書くとどうしても・・・汗)、このように銀行の利便性向上というのは相当先の話になりそうで、なかよしグループのなーなーから、損得勘定しかない総合的な連携への脱却は遠そうで、その間に潰れたりするところも結構ありそうな気がします(特に中規模地銀と都銀)。というわけで、決済は決済用口座、資産形成は資産形成用の金融機関、払込・給与受け取りはそれ専用のところという感じに、利用者も部分最適化するしかない、というのが現状かと思います。
面白いです~ (スコア:0)