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von_yosukeyanの日記: FDR

日記 by von_yosukeyan

ニューディール政策を正確に言えば、FDR(フランクリン・デラノ・ルーズベルト)政権初期において、大恐慌を克服するために行われた一連の財政・金融政策を指す。

ニューディール政策で一般的によく知られているのは、TVA(テネシー川開発計画)と呼ばれる公共事業で、テネシー川に巨大な発電用ダムを多数建設するケインズ学派的な有効需要刺激政策である。だが、ニューディール政策そのものを公共事業による景気回復政策と理解するのは大間違いだ。ニューディール政策の最も重要な意義は、それまでの資本主義の大きな原則であった自由放任を放棄し、経済に対する政府の介入を容認した点であり、社会主義的な経済政策(例えば第二次世界大戦後のフランスやイギリス)や、戦後日本の行政指導型経済政策とも大きく性質が異なる。もちろん共産主義のような指令型経済とも異なる

ニューディール政策には次の三つの大きな柱によって説明できる。まず、先述したTAVのような財政出動による労働者の購買力の強化である。TAVのほかにも、高速道路の建設など様々な計画や、軍事費の増大、労働賃金の最低保障に代表されるような福祉政策が行われた。これが結果的に、ケインズ学派の説く有効需要刺激策と重なっていたのでこのような説明がよくなされるが、本質的には性質が異なる。

二番目には、生産者の保護である。20世紀初期に相次いで制定された反トラスト法を緩和し、企業のトラストをある程度容認した。一方で、農業者に対して一定の補助金を交付することによって、減反による生産力の削減を要請した。減反政策自体は、農業調整法が連邦最高裁判所で違憲と判断されたために、実施はされなかった。

三番目には、金融監督能力の強化である。当時、アメリカには中央銀行に相当する連邦準備制度(FRB)が存在していたが、市場の監督能力としては権限が少なく、大恐慌時にあまりうまく機能していたとはいえなかった。FRBの強化による金融規制の強化によって、中央銀行としてのFRBの地位が確立したと言っても過言ではない。

大ざっぱだが、ニューディール政策の主な柱は以上のようなものだ。その上で、ニューディール政策の問題点を指摘したい。

まず、有効需要の刺激策はあまり機能しなかった。というのは、財政出動のために、多額の国債が発行されたために結果的にインフレーションとなり、結果的に1930年代の終わりごろには再び不況となった。

第二に、トラストの容認は生産調整が進行したとはいえなかった。結果的に30年代後半のインフレ時に物価が上昇したのは、トラスト化した企業による値上げが大きいと言う説もある。

だが、ニューディール政策が単なるばら撒きに終らなかった点も評価しなければならない。TVAによって、治水や安価な電力供給による産業の復興があったし、最低労働基準が定められたために労働者の生活水準が向上した。また、金融監督能力の強化によって、公平な金融経済が確立された。これらはむしろ、大恐慌後ではなく第二次世界大戦後のアメリカ経済の繁栄の原動力となったと言っても過言ではなく、即効性はなかったものの大きく評価されるべきだと思う。

ニューディール政策を模倣して、同じように失敗したイギリスやフランスはブロック経済化による閉鎖的経済政策を行い、こちらでも大きな失敗をした。一方で、アウトバーンの建設や自動車産業の勃興、そして軍事費の増大に代表される多額の財政出動で成功を収めたのはナチス政権下のドイツであったのはある意味で皮肉だ。結局、アメリカ経済が最終的に復活したのは、第二次世界大戦がはじまって、軍需物資の需要が拡大してからであり、イギリスやフランスが本格的に復興を果たすのは戦後になってからの話だ。

いずれにしても、ニューディール政策は需要と流動性が枯渇した場合における経済政策である。日本のバブル経済(カミカゼ経済)の失速と「失われた10年」はデフレーションなので、いくら財政出動をしても需要が刺激されることはなく、貯蓄に回ってしまう。「失われた10年」のような長期にわたるデフレーション不況の実例はほとんどなく、金融政策的にも打つ手がほとんどない、という状態はこれまで人類がほとんど経験したことがない珍しい経済状態であると言える。

まぁ経済学者は面白がってるけどね

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