von_yosukeyanの日記: サマー・バーゲン(2)
アウトソーシングというのは、それだけでは実のところ大したコスト削減にはならない。
理由は簡単で、すでに銀行や証券はアウトソーシングしている訳だ。単にそのアウトソーシング先が子会社、というだけの話で
一応、株主や社内的にはアウトソーシング化で年間35億の経費節減になりますよー、みたいなことは言うのだが、その数字がどこから出てきたのかはなかなか謎な部分が多い(多分、監査法人にも正確にはよくわからないのが実態だろう)
問題はそれを自行グループ内に抱えるか、それとも外に蹴りだすか、という問題である。ちなみに、それで開発リスクが低減する訳でもない。金融情報システムがらみの請負契約とかは、大抵は損害賠償や瑕疵担保を契約内で制限するのが普通だから(つっても債務不履行で嫌がらせすることもあるが>揉めた場合には)
アウトソーシング化の形態としては、子会社独立採算型と共同出資型の二つのタイプに分けられよう。前者は、証券会社や財閥系都銀でよく行われている形態で、後者は地銀や独立系都銀で見られる。
前者は、自行だけでなく外部の企業のシステム開発や請負も行い、できるだけ親会社の援助を受けずに独立採算化する方式で、親会社のシンクタンク部門(○○総合研究所)としてが多い。だが、証券系ならいざ知らず、銀行系のシンクタンク部門は大抵赤字かプチ粉飾決算状態が多い。理由としては、証券系はNRIやDIRに代表される大手証券が、中小証券に対して共同システムを提供したり、単に金融系システム以外でも公共系のシステムを提供している場合が多いからだ(例えばDIRはDDIの課金系システムを運用してたり)
これに対して、銀行系のシンクタンク部門は、外から受注するといっても財別系銀行が財閥内から銀行基幹系以外の仕事を取ってきたり(それにしても同じ財閥内の商社系やメーカー系システム子会社の方が優秀だったりとか。JRIはERPのインプリメントで有名なことは有名だが)、独立系でも金融系の外注業務(振込みデータ作成とか)を受けるくらいというのが現実だ。元々からして、メインフレームの計算時間を切売しはじめたのが始まりだし・・・。
後者は比較的最近になって、メーカー系の金融・公共システム部門が、ソリューション系の強化に設立し出したのがそれなのだが、国産メインフレーマー&システム屋とIBM系では実態は大きく異なる。IBM系は、本国での実績(今や、米国の銀行は銀行の生命線である与信業務までIBMやウェールズ・ファーゴ銀に蹴りだしている)を踏まえて、国内で比較的早くから旧都銀中下位行を中心にシステム請負を行ってきた。この形態は、(実態はよく知らないが)個別に合弁子会社を作る方式だ。
これに対して、国内メインフレーマー&システム屋の方式は、共同システムセンター方式で、最初からいくつかの銀行を集めて、ノウハウを出し合うというやり方でほぼすべてが地銀を対象としている。両者の違いは、前者が未来のシステムコスト開発コストの削減と運用コストの定量化にあるのに対して、後者は現在の運用コストの削減と、基幹系全体の抜本的な更新である。(要は都銀からのトップダウン方式か、地銀からのボトムアップ方式か、ということになるかも)
トップダウン方式は、単にシステムの運用開発の請負だけでなく、米国では銀行が開発した新しいビジネスモデルを他の銀行に提供する役割も果たしている。弱点としては、合弁相手にとって「長期投資」であるところだ。
ボトムアップ方式は、すでに農協などで稼動している共同システムと同様に、システムの新規開発と平行して業務の標準化を行う方式で、形態としてはATM網も含めた基幹系システム全体を丸抱えする方式から、単に勘定系だけを共同化してATM網や情報系は残すという方式まで様々なものがある。トップダウン方式では、既存の基幹系を改良するのに対して、ボトムアップ方式は開発コストが参加行とメーカーで共同分担できるので、メインフレームからUNIX、PC系まで考えられる限りのプラットフォームが採用できる点である。問題点としては、某所でこけてるように標準化に手間取ってスキーム全体がひっくり返ってしまうリスクがある。
UFJの場合であると前者であるが、すでにUFJ系のシステム子会社は(日立やNRI、NECと共同で)アイワイバンクにシステムを提供した経験があり、日立としてもそれなりの評価があるのだと思うのだが、すでに日立は地銀共同システムの提供も行っているので(もめてるみたいだけど)、両者の相互補完という意味合いも当然あると思う。
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