von_yosukeyanの日記: また朝日が誤報ですか? 4
国産旅客機開発に予算要求という記事。航空産業に興味がない人でも、よく読むと変な記事だ
まず、予算要求段階でなぜ「三菱重工など」という注釈が付くのか不明だ。「参加企業は公募で決めるが」とあるのに「一定以上の販売が見込めれば、商業化する。生産や販売は三菱重工など民間が主体になる方向だ」とつく。妙な記事だ
記事の真偽は別として、この手の産業系の話題には朝日は誤報が多い気がするのであまり本気にしてないが、経産省が本当に予算申請をするのかどうかというのは別問題で、やりそうな気がしなくもない(だけど、三菱が主体となるというのがこの時点で決定してるというのは明らかにおかしい)
解説すると、通産省は商業的に失敗に終ったYS-11以降もYS-Xという名称の純国産旅客機の開発に力を注いできた。80年代初頭のYS-X計画は200席から300席前後の比較的大型のジェット旅客機で、地方の拠点空港への低騒音な大量輸送手段として計画された(基本的にはBoeing727クラスのシステムだったように思える)。これは詰めていくといわゆるエアバスにコンセプトが似ている上に、Boeing社と日伊のメーカーが開発に参加したBoeing767の完成で一旦はこの夢は断たれる。
#ちなみに、エアバスとは350席から400席前後のワイドボディー機の事を指し、航続距離5000キロから1万キロ前後の能力を持つクラスを言う。1970年にダグラス社(マグダネル・ダグラス社を経て現Boeing社)のDC-10と、ロッキード社(現ロッキード・マーチン社)のL-1101トライスター(いずれも三発機)が登場するが、72年に登場したエアバス・インダストリー社のエアバスA-300や80年代に登場したBoeing-767に圧倒的に市場を押さえられ現在は双方とも(DC-10の後継機種であるMD-11を含めて)生産は終了している。いずれも初期のシステムはコンセプト的には60年代の技術で作られていたが、80年代に入ってツーマンセル運用や、機体に複合材料やターボファンエンジンを採用することにより低燃費と2基から3基のエンジンでアメリカ大陸を横断できる性能を保持している。
60年代後半になると、ヨーロッパメーカーも一国でアメリカの大航空機メーカーに対抗するにはスケールの面で不足があることを認識し、エアバス・インダストリー社のほかにユーロコプター社など軍産・航空機分野で提携していく。日本メーカーも、767の提携後にも747-400型や777への参加を通じて、自力の設計よりも共同開発や下請けを選択するようになり、通産省の思惑とは逆の方向に進みだした
特に、国産機開発で中心的な役割を果たしていた三菱重工が、カナダのボンバルディア社と提携し共同生産に乗り出したこと自体が通産省には大きな衝撃だった。ボンバルディアは元々、中小型のビジネスジェットやコミューター機の大手だが、80年代後半に低燃費のターボファンエンジンと大型のビジネスジェット機の機体を流用して、リージョナルジェットと呼ばれる新しいコンセプトの旅客機を生産しはじめる。
RJは基本的に地方のハブ空港から地方空港を結ぶ比較的短距離な路線に投入され、737やDC-9シリーズのような中小型機では採算が取れない路線の採算性を強化した。それだけでなく、ビジネスジェットを流用しているために、機内スペースの余裕が大きく、ジェット機であるためにターボプロップ機に比べて乗客にとって満足度が高い
RJは通産省が80年代に軌道修正したYS-Xのコンセプトに近く、三菱のYS-X計画の参加にはかなり懐疑的な空気が流れ始めた。三菱に次ぐ大手メーカーである川崎重工にしたところで、同じように海外メーカーとの提携を行う。
RJ市場はボンバルディアのCRJシリーズ以降、ブラジルの航空機メーカーのエンブラジル社(川崎重工が主翼生産で提携)がERJシリーズを市場投入し競争が苛烈になってきた。他にも、フェアチャイルド・ドルニエ社(リスクパートナーとしてスペインのCASA社)やフランスのART社、イギリスのアブロ社が参入あるいは参入を検討しているそうで、ここであえてRJに参入するメリットはない。
RJ自体も最初にボンバルディアが投入したCRJ-100は50席前後だったが、100席以上のストレッチ機も投入されており、上からもBoeing社がMDから取得したMD-95(Boeing-717)の小型版を計画していることから、元々の120席前後をコンセプトとしていたYS-Xの計画には狂いが生じる。
昨年、何を思ったのか経産省は防衛庁が川崎重工に発注した次期戦術輸送機C-Xと次期対潜哨戒機P-XをYS-Xとして民間転用することを防衛庁と川崎重工に打診したらしい。詳細は日経などで報じられている通りだが、川崎側が拒否(民間転用自体が難しいことと、採算性の問題から)したためにこの話は潰れている。
あの話から半年で、20席前後のYS-Xのコンセプトを打ち出してくること自体に、採算性を考慮しているのか疑問だが、そもそも国主導の航空機産業育成の考え方自体が古いと思う。いずれにしても、経産省がYS-Xの話を通すには最後のチャンスだと感じていることは確かだと思う
ちなみに、過去にも川崎の国産機がらみの話や、経産省の横槍の話と絡めて何回かタレ込んでるんだが、いずれも採用されてない。誰かタレ込んでみる?
誰かタレ込んでみる? (スコア:1, すばらしい洞察)
技術的にアレゲじゃないとダメみたい。
たとえば:
国産垂直・短距離離着陸機の実用化実験開始 [srad.jp]
夢はハイブリッドな航空機 [srad.jp]
Re:誰かタレ込んでみる? (スコア:1)
それはともかく経済がらみの話って面白そうだけど、案外掲載されませんな。
1000 (スコア:1)
まぁ宇宙技術=アレゲというのは成り立つと思うんですが、航空技術=アレゲとはなかなか成り立たないカモというのがあるので・・・。鉄系は結構アレゲなのかもしれないですが
Re:誰かタレ込んでみる? (スコア:1)
まぁ今回のネタは大して面白くもないし、不実な太陽のネタが荒れ気味なんでちとタレ込む気力がなかったり