パスワードを忘れた? アカウント作成
696944 journal
NTT

von_yosukeyanの日記: プロバイダー責任法

日記 by von_yosukeyan

■成立の経緯
正確には、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(平成13年11月30日法律137号)と呼ぶ。この法律の成立には、いわゆるNifty現代思想フォーラム事件(東京地裁平成9年5月26日判決、東京高裁平成13年9月5日判決)を契機に、富士通法務部及びNifty法務部の尽力があった


#Nifty裁判は、被告人として会員Y(1)と共に、パソコン通信サービスを提供するNifty、そしてNiftyと使用者関係にあるシスオペのY(2)が訴えられ、第一審東京地裁判決は、Y(1)氏の名誉毀損と不法行為を認定した上で、Y(2)には不法行為(名誉毀損)を停止するための作為義務(削除義務)が存在し、NiftyにはY(2)との間で指揮監督関係が認められ、従って使用者責任が存在すると認定した

プロバイダ責任法は、名誉毀損に代表される情報流通に伴う権利侵害につき、a)損害賠償責任の制限、b)発信者情報の開示要件を定めた法律である(責任法1条)

よって、正確にはプロバイダ責任法というよりもプロバイダ責任制限法と呼んだほうが適当に思えるし、発信者情報の開示要件に関して定めている点でも重要な法律であると言える。また、「情報の流通による権利侵害」とあるように、名誉毀損に代表される非財産権に対する不法行為だけでなく、財産権に対する不法行為を含んだものと解される

■総則(責任法2条)
・特定電気通信(第1項)
電気通信事業法にいう電気通信が含まれる。従って、インターネットだけでなく、パソコン通信やWebフォンなど閉鎖系のネットワークから公衆通信サービスまで広く含むと解される
・特定電気通信役務提供者(第3項)
特定電気通信役務を提供する者を指し、営利・非営利を問わない。ISPのような電気通信業者だけでなく、広くWebサイトの運営者を含むと解される

■権利侵害を知らなかった場合における権利侵害者による損害賠償の制限(責任法3条1項)
特定電気通信役務提供者は、権利を侵害する情報の不特定者に対する送信を防止する処置が技術的に可能であった場合には損害賠償の責任を負わない。

ただし、電気通信役務提供者が権利侵害の事実を知ることができた場合、または権利侵害の事実を知ることが出来たと認められる相当な理由が存在していた場合には、免責要件に該当しない(責任法第3条1項1号及び2号)

■侵害情報の防止処置を講じた場合における発信者による損害賠償の制限(責任法2条2項)
特定電気通信役務提供者は、権利を侵害する情報の不特定者に対する送信を防止する措置が取られた場合、当該措置によって発生した発信者の損害に対して責任を負わない

要件としては、当該情報が権利を侵害するものと信じるに足りる相当な理由があったとき、または
1)被害者から
2)侵害情報の提示が行われ
3)侵害された権利と
4)権利侵害の理由の提示があり
5)侵害情報の送信を停止する処置を求められた場合
で、特定電気通信役務提供者が発信者に対して侵害情報の削除に関して同意を求めてから7日以内に不同意の回答がなかったとき、の二つである

■発信者情報の開示(責任法第4条1項2項)
情報の流通により権利侵害が生じた者は、特定電気通信役務を提供する特定電気通信設備を提供する特定電気通信役務提供者に対して、権利侵害に関係する発信者情報の開示を請求することができる

要件としては、侵害情報の流通により権利侵害が明らかであるとき、または発信者に対する損害賠償請求を行うために必要なとき、に認められる。

また、第二項は特定電気通信役務提供者が発信者情報の開示を請求されたとき、発信者に対して連絡可能である場合には発信者に対して情報の開示に対する意見を聴取する義務を課してる

■発信者情報の利用制限(責任法4条3項)
発信者情報の開示を受けた被害者は、発信者情報を公に公開するなどして発信者の権利を侵害することは許されない

■発信者情報開示による特定電気通信役務提供者の損害賠償の制限(責任法4条4項)
第1項に従って発信者情報を被害者に対して開示した場合、故意または重過失が存在しない場合には発信者からの損害賠償の責任を負わない

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
typodupeerror

UNIXはシンプルである。必要なのはそのシンプルさを理解する素質だけである -- Dennis Ritchie

読み込み中...