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705802 journal

y_tambeの日記: ノーベル化学賞に田中耕一氏 4

日記 by y_tambe
そのうち誰かタレコむだろうから面倒臭いことはやらない主義の私としてはコメントだけで遊ぶことにしよう。

しかし、アサヒコムにしてもYomiuri Onlineにしても「着脱イオン」ってなんちゅう訳するんだか(今見たら脱着イオンになってた……見間違いか?)
しかし、マトリクス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)の開発って日本人がやってたとは知らなかった。MALDI-TOF/MS使ってるというのに。どうもイオン化の原理自体は別の外国人(受賞者ではない)が開発したもので、フーリエ変換質量分析を組み込んだのが彼等のグループみたいなんだが…。 PubMedで見る限り、これがTanakaとco-workerがMALDI TOF/MSを開発してるらしい最初の論文で、これがK TANAKAの名前の入った最初のMALDIの論文。
↑時期が来たらこれコメントに使おう。

もはや時代はMS/MSとは言え、MALDIがなければ今のプロテミクスの進展もなかったわけだしな。

【追記】
さっそくフォロー。
  1. nobel.seに日本語のPDFがあり、そこで「ソフトレーザー脱着法」という言葉で紹介されている。
  2. Matrix-assisted-Laser desorption/ionizationの最初はHellinkamp F(1991)みたい。
  3. 田中氏は島津グループのクレイトスアナリティカル(アメリカ)の所属らしい。
  4. MALDI -TOF/MSの原理 島津のサイトだからそのうち重くなるかも。
  5. 2chでは受賞論文として1988のRapid Commun. MSの論文が上がってるが……Abstract未収載では検証できんな。

…なんか日本語の記事読んでるとHellinkampがかわいそうになってきた。まぁ発明しただけでは不十分で、実用にまで持っていけたかどうかは大きいのだけど。それでノーベル賞を逃したというだけでも残念なのに、遠い異国の地では田中氏が「MALDIを発見(ママ)した」なんてことにされてるとは。

……何となく理解。MALDIという言葉をつくり、現在のMALDIの原型を発明したのはHellinkampだが、田中氏の受賞理由はあくまで「soft laser desorption」、MALDIよりは広く曖昧な言葉になってる。MALDIとは別の形でも高分子分析可能なMSの開発に着手してきた経緯があれば不思議ではなさそう。また現在MALDIが広く使われるようになったのは田中氏の試行錯誤があったからこそで、その貢献が大きいことは疑いようもない。

【さらに追記】 Public commentに詳しく書いてあるじゃん。鬱。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by y_tambe (8218) on 2002年10月09日 21時12分 (#180431) ホームページ 日記
    …なんか日本語の記事読んでるとHellinkampがかわいそうになってきた。まぁ発明しただけでは不十分で、実用にまで持っていけたかどうかは大きいのだけど。
    日記に書いただけでは不十分で、タレコミにまで持っていけたかどうかは大きいのだ。
  • 19:00ごろ各新聞社のサイトに記事があがったのを見ました。そのときはまだ全然情報が無かったので,「受賞理由の『生体高分子の同定および構造解析のための手法の開発』って何なんですかね?」「さあ」みたいな会話を会社のヒトと繰り広げてました(^^; という状態だったので,y_tambeさんの日記がとても参考になりました。

    そろそろ各新聞社サイトにも詳しい情報がのりつつありますね。今回のノーベル賞関連の報道では,産経新聞の記事 [sankei.co.jp]が充実してたので,ちょっと産経を見直しました(成果そのものの解説は少ないですが,インタビュー等の周辺情報が多いので)。
  • ひさしぶりです。

    いまさらなコメントで申し訳ないけど、

    Hellinkampの論文のreferenceに田中氏の特許って載ってます?

    なんか、この間、学会行ったときの飲み会でうちのボスが

    「田中氏がノーベル賞をとれたのは、最初に出したドイツのチーム
    (多分、これがHellinkampのことと思われる)の論文で
    (多分、原理としての引用で)田中氏の特許が引用されているからだ。
    だから、ある意味、これは歴史上初めての特許に対して贈られた
    ノーベル賞なのだ。」

    と力説していたのですが、
    #で、だから論文書く前にはまず特許を
    #とらなきゃだめなんだ、これからは。という
    #いつもの持論を延々聞かされるというオチだったのですが
    これって本当なのかがいまいち確認できないもんで。
    • やー、どうもお久しぶりです。

      うちの図書館にいくつか雑誌があったんで、ついでにチェックしてみました。
      初めてMALDI-Matrix associated laser desorption ionization-の名前が出てきたのは、上に挙げたHillenKamp, Anal Chem 1991ですが、これは総説でした。
      これよりも前に彼等が、実際に有機物マトリクスを使ったsoft laser desorptionで高分子の検出に成功した、と言っているのが
      Karas, M. Hillenkamp, F. et al. Int. J. Mass Spectrom. Ion Processes 1987, 78, 53-68
      というものですが、聞いたこともない雑誌でうちの図書館にも実物がないので何ともいえないのです。ただ、この内容を踏まえたCorrespondenceが
      Karas, M.& Hillenkamp, F. Anal. Chem. 1988, 60 2299-2031
      として出されてて、そっちは文献が手に入りました。
      で、この論文にはしっかりと、というか
      Tanaka K. Yoshida, T et. al. Presented at the Second Japan-China Joint Symposium on Mass Spectrometry(abstract) , Takarazuka Hotel, Osaka, Japan. Sept 15-18, 1987
      というのが引用されてて、Introductionにも"1987にTanakaらが分子量34,000のタンパク分子イオンの脱離を報告した"と記述されてます。つまり、Hillenkamp自身が田中らの業績、それもシンポジウムの要旨を引用してるのは間違いないです。
      同じ1987年に自分とこからも関連文献っぽいのが出ているにも関わらずわざわざそっちをイントロに書いてるくらいなので、Hillenkampも(というか、当時から大御所だったHillenkampだからこそ)田中らの業績を認めてたのでしょう。ただ、何でこんな島国のシンポジウム要旨をHillenkampが引用してくれたのかという本当の理由までは判らないですけどね。特許が枷になったというより、個人的にはHillenkampの科学者としてのプライドの方が大きかったんじゃないかなぁ、と妄想したりしてます。

      ちなみに、これを受けてか、1989にScienceに出た別のグループによるDNAの質量分析についての論文では、きちんと1988の田中らの論文が引用されてますから、メジャーな雑誌を追っかけるだけでも一応、田中さんの業績に行き着くようです。

      「特許」が大事ってのは確かにそうなんだけど、実際大学関係者で本当にその意味が判ってる人ってどれくらいいるんだろうなぁ、と思います。つーか、僕もついこないだまで、申請のときには弁理士を立てないのはクレイジーだ、とか、特許維持費用が年間いくらぐらいかかるか、ってのを飲み会のときにY先生から聞いて知ったばっかりなんで。
      今はどこの大学でも方針として「特許を取れ、ベンチャーを興こせ」と突かれてるから、実情に疎いまま踊ってるだけの人もいるかなぁ、と。実際僕の周りには見かけます ;-)
      親コメント
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