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yakkの日記: 花火

日記 by yakk
少しばかり散歩に出かけたら、 近所のマンションの玄関前で、家族が花火をしていた。 もちろん手持ち花火だが、 子供たちは嬉しそうにはしゃいでいた。 そんな光景を横目に子供時分のことを思い出して見たが、 ろくでもない記憶ばかり浮かんでくるのには辟易した。

実は私は、手持ち花火といえば線香花火以外はつい敬遠してしまう方である。 理由は実に単純だ。まだ年端もいかない頃に、 おろし立ての浴衣を羽織って花火に興じていたら、 火事になってしまったのだ。 他でもない、私の浴衣が。 それでも大事に至らなかったのは、幸いといえる。

他にもある。その事件と一、二年前後するくらいの頃だと思うが、 友達連中がロケット花火で遊ぶのにつきあっていたときのことだ。 確か、三人くらいで砂場に花火を突き立てて、 無闇に打ち上げていたように思う。 口にせずとも予想のつきそうなことだが、 やはり、なったのだ、火事に。 このとき火がついたのは、公園の一角にある丸太を積み上げた遊具だったので、 自分の浴衣に火がついたのとはまるで異なる恐怖を感じた。 今でもその時の、火の手が上がって煙がくすぶっている光景を覚えている。 全身から血の気が引いていくようで、ただ呆然とするばかりだった。 友達の一人が「水だ水だ」と叫んだので正気に戻ったが、 消火用に用意してあった小さなバケツだの、 そこいらに転がっていた小瓶だのに水を汲んで、 火の元にかけつづけにかけてはみたが、 元より蛇口のあるところと、 燃え広がりつつある火の間には相当の距離があり、 どうしたって火を消し止めるには無理があった。

いよいよ火が大きく立ち上って、 どうにもしようがなくなって、ようやく、 公園が燃えてしまうという恐怖が、 怒られるに違いないという懸念を打ち破った。 三人の中で、私は一番足の遅い子供だったが、 同時に一番近くに家があったものだから、 とにかく夢中で家に駆け込んだ。 母親は私の様子を訝しく思ったようだが、 窓から外の様子を一瞥するなり、すぐに電話をかけてくれた。

結局、公園がすっかり燃えるようなことにはならなかったが、 丸太のあった場所は確かに火事があったとわかるような、 寂しい姿になってしまった。 私はあまり活発な方ではなかったから、 よくその丸太に腰掛けてぼんやりしていることを好んでいたが、 そのお気に入りの場所を、半ば自分の手で消し去ってしまったのだ。 大変に悲しかった。多くのことを学びはしたけれど、 子供の私には決して小さくない代償であった。

以来、私がロケット花火で遊ぶことはなくなった。 手持ち花火もどうにも苦手なままだ。
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あつくて寝られない時はhackしろ! 386BSD(98)はそうやってつくられましたよ? -- あるハッカー

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