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13851276 submission
日記

ヘリウムが固体でも超流動することを支持する新たな実験結果

タレコミ by yamajun88
yamajun88 曰く、
液体ヘリウムが 2.17 K 以下の低温で超流動を示すことは古くから知られていたが、近年、低温・高圧下で存在する固体ヘリウムも、16 mK 以下の極低温で超流動するという複数の実験結果が示されている。今回、それを支持する新たな実験結果が報告された。(Physical Review LettersWIRED)。

今回の実験では、従来まで実験が行われていた He4 ではなく、同位体の He3 の高純度サンプルを作成して低温・高圧下での粘性を測定した。すると、He4 とは全く違う振る舞いを示した。固体の He4 は低温にするほど粘性が下がり「超流動」するが、固体の He3 はそれとは逆に、温度を下げるほど粘性が上がっていった。この対称的な結果は、固体 He4 が超流動しているという解釈を支持している。なぜなら、He4 原子はボース粒子なので超流動が起こりうるが、He3 原子はフェルミ粒子なので超流動は起こらないはずだからだ。

しかし、この実験によってヘリウムの謎が解けたわけではない。固体の He3 の温度を下げていっても完全には固まりきらず、粘性が一定の値になってしまったからだ。これは、予想に反して固体の He3 が超流動を起こしているとも受け取れる。奇妙なヘリウムの謎は深まるばかりのようだ。

13850817 submission
バイオテック

カブトガニ、クモの一種である可能性が浮上

タレコミ by yamajun88
yamajun88 曰く、
「生きた化石」として有名なカブトガニが、近年の研究によって「クモ網」に属することが示唆された (ナショナルジオグラフィック)。遺伝子配列を解析する複数の研究の結果だ。

従来、カブトガニとクモ網の動物は、ある種の「水生鋏角類」と思われる共通祖先から枝分かれし、そのうち陸上に上がって多様化したものがクモ網だと考えられていた。しかし、近年の研究で、53 種のクモ網、カブトガニ、ウミグモ網、甲殻類、昆虫の遺伝子配列を解析し、その結果をうまく説明できる複数の系統樹を作成したところ、2/3 の系統樹でカブトガニがクモ網に属するという結果になった。

現存するカブトガニは 4 種しかなく、このような多様性の低いグループが、今回のように系統樹内の位置づけを変えるのは珍しいことだという。また、新しい系統樹が正しいのならば、クモ網の進化のストーリーの修正が必要だ。クモ網の動物が 10 万種も存在するのに、カブトガニ類という少数だけが海生である理由を説明しなければならない。カブトガニの祖先が実は陸上に生息しており、かなり小型だった可能性も考えられるという。

「海生のクモと言えば、確か、タカアシガニがクモの仲間だったのでは?」と思ったが、「軟甲網」というエビの仲間に属するようだ (Wikipedia)。「こいつ、実はクモの仲間なんだよ」という雑学は、カブトガニ水槽の前で披露するのが懸命と思われる。

13848444 submission
日記

岐阜大学などが新種の「超原子核」を発見、「MINO event (美濃イベント)」と命名

タレコミ by yamajun88
yamajun88 曰く、
岐阜大学などの国際研究チームは、ベリリウム原子核を芯とする新種の超原子核 (二重ラムダ核) を発見したと発表した (マイナビニュース素粒子原子核研究所のプレスリリースProgress of Theoretical and Experimental Physics)。この二重ラムダ核は KEK の J-PARC (大強度陽子加速器施設) で発見され、「MINO event (美濃イベント)」と命名された。

二重ラムダ核とは、陽子と中性子からできている通常の原子核にラムダ粒子が二つ入った「超原子核」だ。陽子と中性子はアップクォークとダウンクォークの組み合わせだが、ラムダ粒子にはさらにストレンジクォークが含まれている。二重ラムダ核内のラムダ粒子間に働く力を調べることで、クォーク間に働く力を解明する手がかりとなる。

2001 年にヘリウム原子核を芯とする二重ラムダ核「長良イベント」が発見され、ラムダ粒子間に引力が働くことが分かっていた。今回の美濃イベントでも引力であったが、長良イベントと力の強さが異っており、芯となる原子核の違いによってラムダ粒子の結合エネルギーに差があることが判明した。

美濃イベントは、中性子星やブラックホールという天体現象にも関係している。中性子星の内部には美濃イベントのような二重ラムダ核が高密度で存在すると予想されているが、もしラムダ粒子が存在すると、実際に観測されている中性子星が理論的にはブラックホールになってしまうというパラドックスが存在する (素粒子原子核研究所の活動報告記事)。今回のように超原子核中のラムダ粒子の振る舞いを調べることで、中性子星の内部構造や、中性子星とブラックホールの境目の理解につながるとのことだ。

13846582 submission
日記

英国のエンジンメーカー、EV 版 Classic Mini を販売

タレコミ by yamajun88
yamajun88 曰く、
英エンジンメーカー Swindon Powertrain が、2000 年まで販売されていた英国版 Mini を EV 化した「E Classic Mini」を 100 台限定で発売すると発表した (Swindon のニュースページWIRED)。価格は 79,000 ポンド (1,142 万円) から。

E Classic Mini は、レストアされた Mini からエンジンやギアボックスなどを取り外し、代わりにモーターやバッテリーを載せて作られる。モーター最大出力は 80 kW (109 馬力)、0 km/h から 96 km/h までの 加速は 9.2 秒、最高速度は 128 km/h、満充電からの走行可能距離は 201 km、バッテリー容量は 24 kWh。内装は、スピードメーターは元の Mini のようにダッシュボード中央に配置し、充電用 USB ポート付き。オプションで Car Play や Android Audio 対応のデジタルオーディオ、エアコン、パワーウィンドウ、パワーステアリングを追加できる。

エンジンメーカーがあえて EV を販売することについて、Swindon のマネージングディレクター曰く、「まだ当面はエンジンの事業は十分に成立すると思うが、実際のところエンジンの未来にとって電動化は脅威だ。3 年くらい前、電動化の知見を社内に蓄えておくべきだと考えるようになった。だから、電動バイクや今回の E Classic Mini のプロジェクトに取り組むことで、その技術を世に問うことにした。」

過去にしがみつくように見せかけて未来を見据えるという、英国らしいひねりの効いたプロジェクトだなあと思いました。

13844678 submission
バイオテック

野生の植物、自分で遺伝子を組換えて進化をショートカットしていることが判明

タレコミ by yamajun88
yamajun88 曰く、
野生の植物が周囲の植物から遺伝子を取り込み、自分で遺伝子を組換えることによって進化をショートカットしていることが判明した (phys.orgカラパイアProceedings of the National Academy of Science)。

英シェフィールド大学の Luke Dunning 博士らは、アジア・アフリカ・オーストラリアの熱帯・亜熱帯地域で「Alloteropsis semialata」というイネ科の植物を採取し、コメやトウモロコシを含む 150 種以上の植物の遺伝子と比較した。その結果、Alloteropsis semialata の遺伝子の中に、他の植物から「水平的に」獲得した配列があることを特定した。このような「遺伝子偽造」の方法は、いわゆるダーウィンの適者生存の進化に必要な数百万年をショートカットできるため、厳しい環境で生き残るための大きなアドバンテージになるという。

この研究は、人工的な遺伝子組換え植物から野生の植物へ遺伝子が乗り移ってしまう過程を理解し、そのようなことを防止する方法の発見につながるという。また、次のステップは、この現象の生物学的なメカニズムを明らかにしていくことであるとしている。

13843774 submission
医療

アメリカの分子生物学者、麻疹の危険性と有効な対策を解説

タレコミ by yamajun88
yamajun88 曰く、
欧米で猛威を奮っている麻疹だが、麻疹ウイルスがなぜこれほどまでに危険なのか、アメリカの大手総合病院メイヨー・クリニックの分子生物学者ロベルト・カッタネオ氏が WIRED の記事で解説した。

カッタネオ氏によると、麻疹ウイルスが危険な原因は 2 つある。1 つ目は、ウイルスが身体の免疫機能をリセットしてしまうことだ。口や鼻から吸い込まれたウイルスは、まず「肺胞マクロファージ」に感染する。肺胞マクロファージには麻疹タンパク質の受容体があるため、ウイルスはこれに乗って最寄りのリンパ節まで運ばれてしまう。リンパ節には過去に感染した病原菌を記憶し抗体を作る細胞があるが、ウイルスはこれに乗り移り、増殖しながら抗体データベースを破壊してまわる。カッタネオ氏の推定によると、感染してから 1 週間で免疫システムの半分以上がダウンしてしまうという。したがって、麻疹の感染者は他の感染症に脆弱になり、長期的後遺症も残りやすい。

2 つ目の危険性は強力な感染力だ。ウイルスに感染したリンパ節の細胞は循環器系に戻り、気管上部の内壁組織に残留する。ここにはウイルスに感染した細胞と結合する特殊な受容体が存在するため、ウイルスは細胞間の緊密な結合を利用して気管全体に蔓延していく。感染の速さは他の呼吸器病原体の 10 倍に達する。気管から剥がれ落ちたウイルスは咳を利用して容易に飛び出し、2 時間以上もその場にとどまる。地下鉄の中で感染者が咳をすれば、免疫のない乗客の 10 人に 9 人は感染するという。

極めて危険な麻疹ウイルスだが、有効な対策はある。保健当局が安全性と有効性にお墨付きを与え、1 歳以上の全ての人に向けて推奨しているワクチンだ。ワシントン州クラーク郡では、2019 年 1 月 1 日以降の発症者が 54 人を超え、麻疹ワクチンの需要が前年同期比で 500% 増加したという。ワクチンの接種に及び腰だった人々も徐々に科学的な対策を受け入れ始めているようだ。

13843606 submission
宇宙

欧州の電波望遠鏡ネットワーク「LOFAR」、全天の 2% の観測で新たに数十万個の銀河を発見

タレコミ by yamajun88
yamajun88 曰く、
欧州の電波望遠鏡ネットワーク「LOFAR (low frequency array)」が 2 月 19 日、これまで発見されていなかった数十万個の銀河の宇宙地図を発表した (AFPBB)。

研究では北半球の空の一部を観測し、遠方銀河からと思われる未知の電波源 30 万個を発見した。銀河同士の合体から放射された電波の「ジェット」も見つかった。今回新たに発見されたジェットは数百万光年にわたって伸びている可能性がある。パリ天文台の天文学者 Cyril Tasse 氏曰く、「最初の観測画像を目にした時、『これは何だ?!』となった。これまで見ていた画像とは全く異なっていた。」

LOFAR は欧州 7 か国に設置された低周波電波アンテナのネットワークで、周波数帯域 10〜240 MHz の直径 1,300 km のパラボラアンテナに相当する (天文学辞典»LOFAR国立天文台の「電波望遠鏡群」解説ページ)。

今回作成された宇宙地図の範囲は全天の 2% に過ぎない。今回の宇宙探査を実施した国際チームは発見について、ブラックホールの物理学や銀河団の進化の仕組みなど宇宙の最も深遠な謎に、文字通り新たな光を当てるものだとしている。

13843567 submission
バイオテック

沖縄の研究機関、リュウグウノツカイの人工授精・人工孵化に世界で初めて成功

タレコミ by yamajun88
yamajun88 曰く、
沖縄美ら島財団総合研究センターが、リュウグウノツカイの人工授精と人工孵化に世界で初めて成功したと発表した (FNN)。

同研究センターによると、定置網にかかっていた全長およそ 3 m のリュウグウノツカイ 2 匹から精子と卵子を取り出し、人工授精に成功。卵からおよそ 20 匹が孵化した。稚魚は全長およそ 7 mm まで成長し、特徴である長く伸びた背びれも確認されたが、その後、19 日までにすべて死んでしまったという。

同研究センターは、今回の飼育で得られた情報をもとに、さらに研究を進めるとのことだ。

13842846 submission
バイオテック

外洋に棲むウミヘビの水分補給元、海水ではなく海面に浮かんだ雨水である可能性が浮上

タレコミ by yamajun88
yamajun88 曰く、
外洋に生息し、一生を海で過ごすセグロウミヘビが、海水ではなく海面に浮かんだ雨水から水分補給している可能性が浮上した (ナショナルジオグラフィック)。2 月 7 日、学術誌 PLOS ONE に発表された。

従来、セグロウミヘビは海水を飲み、余分な塩分を舌下の塩類腺から排出すると長年に渡って考えられていた。しかし、身体のサイズに対して塩類腺が小さすぎることが近年指摘され、その水分補給方法は謎となっていた。

フロリダ大学の生物学者であるリリーホワイト氏は、コスタリカで 99 匹のウミヘビを捕獲して実験室で真水を与える実験を行った。捕獲期間中にちょうど乾季が終了し、突然 5 日間に渡る豪雨が降った。豪雨の前に捕獲したウミヘビのうち 8 割が水を飲んだが、豪雨中に捕獲したウミヘビでは水を飲む割合が日を追うごとに下がり、最終的に 1 割の個体しか水を飲まなくなった。この結果は、降雨によって海面付近に塩分濃度の低い層が発生し、その水をウミヘビが補給しているという可能性を示唆している。

次の重要なステップは、ウミヘビが外洋で水を飲んでいるところを直接観察することだが、こうした場面に出会うのは極めて難しいという。

13842253 submission
Facebook

ワクチン供与団体の代表、Facebook の「fake news war room」に反ワクチン情報の拡散を監視するよう提言

タレコミ by yamajun88
yamajun88 曰く、
欧米で麻疹が大流行している事態を受け、貧困国へのワクチン供与を行っている団体 GAVI Alliance の Seth Berkley 代表は、Faceboook の「fake news war room」が反ワクチン情報の拡散を監視するよう提言した (ヤフーニュースtelegraph)。

欧州では麻疹の発症例が過去 10 年来で最多となり、米国でも今年すでに 5 か所で麻疹の集団感染が起きている。麻疹の感染拡大には、Facebook や Twitter で反ワクチン情報が拡散されていることが影響しているという。Berkley 氏曰く、「SNS での反ワクチン情報の拡散は速く、予防接種率が 80~90% だった地域で、短期間に 5% 程度まで落ち込んだ事例もある。」

Berkley 氏は、Facebook 本社の「fake news war room」が反ワクチン情報を監視すべきだと主張する。Fake news war room は選挙戦でのデマ情報の拡散を阻止するための部署で、最大 40 人の従業員が投稿を監視している。

WHO は今年に入り、「世界の健康に対する十大脅威」にエボラウイルス・大気汚染・肥満などに並べて「ワクチン接種の忌避・躊躇」を挙げている。Berkley 氏は、反ワクチンの誤情報が人の死につながることもあり、フェイクニュースに気を配るなら公衆衛生にもそれと同程度の注意を向けてほしいとしている。

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長期的な見通しやビジョンはあえて持たないようにしてる -- Linus Torvalds

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