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yasuokaの日記: ABO血液型はなぜABCではないのか 11

日記 by yasuoka
唐沢俊一の「トリビアな日々」第29回『血液型占いの元は“崇高な目的”』(FRIDAY, 2005年2月4日号, p.76)の以下の4コマ漫画(ト書きとフキダシを引用)が気になったので調べてみた。
  • やっぱりおおざっぱ
  • ABO式血液型の分け方は 糖タンパク質の構造による
  • 「何もないものは ゼロ型にしよう」
  • 「ハカセ 0(ゼロ)型を みんな O(オー)型と 言ってます」
    んー…
  • 1927年 国際連盟の委員会
    「めんどうだから オー型でいいや」
    決定ー
    「この大ざっぱさは いかにもO型!」

ヒトの血液型に「O」型という記法を初めて導入したのは、Emil Freiherr von DungernとLudwik Hirszfeldの『Ueber Vererbung gruppenspezifischer Strukturen des Blutes, II』(Zeitschrift für Immunitätsforschung und experimentelle Therapie, Bd.6, H.1 (22. Juni 1910), pp.284-292)である。彼らの3連作中2本目にあたるこの論文では、ヒトの血液は「A」「A(o)」「B」「B(o)」「O」「AB」の6つの型に分類されており、「A」型どうしの両親からは「A」型の子供しか生まれないが、「A(o)」型どうしの両親からはメンデルの法則にしたがって「A」「A(o)」「A(o)」「O」の子供が生まれる、としている。すなわちこの論文では、大文字のOと小文字のoが使い分けられており、数字の0ではありえない。これ以前の論文では、ヒトの血液型の記法として、たとえばKarl Landsteinerは「Gruppe A」「Gruppe B」「Gruppe C」、Jan Janskýは「II」「III」「I」「IV」、William Lorenzo Mossは「II」「III」「IV」「I」を用いており、数字の0など見当たらない。

国際連盟のComité d'Hygiène配下のCommission permanente de standardisation des sérums, réactions sérologiques et produits biologiquesが、議長Thorvald Johannes Marius Madsenの提案にしたがって、ヒトの血液型をO, A, B, ABで表記する決定をしたのは、1928年4月25~28日のフランクフルト会議においてである(Klinische Wochenschrift, 7 Jg., Nr.35 (26. August 1928), p.1671)。1927年にO, A, B, ABを採用する決議をおこなったのは、アメリカのNational Research Councilだ(The Journal of the American Medical Association, Vol.88, No.18 (April 30, 1927), pp.1421-1422)。しかも、これらの委員会が「O」型に至った理由は、「めんどうだから」ではない。当時、血液型の記法は、JanskýシステムとMossシステムが混在していた。いずれもローマ数字で血液型を表すものだが、JanskýシステムのI, II, III, IVに対して、MossシステムはIV, II, III, Iとなっており、IとIVが入れ替わっている。この結果、I型とIV型の間で、輸血ミスなどの医療事故が発生していた。すなわちヒトの血液型に、数字や、連続したアルファベットを用いるのは危険であり、それゆえ、von DungernとHirszfeldの記法を簡略化したO, A, B, ABを採用したのである。

ムダ知識の王様にもコメントしたが、このような「トリビア」を披露する人たちは、どうして「ウラを取る」ということをしないのか。その点がどうにも私には理解できない。

この議論は賞味期限が切れたので、アーカイブ化されています。 新たにコメントを付けることはできません。
  • by Anonymous Coward on 2006年02月28日 0時24分 (#890928)
    yasuokaさんのおっしゃるとおり、「めんどうだから」とか「単純なミス」でO型という血液型名決められたのではなさそうですが、ではなぜ「O」が選ばれたのでしょうか?他にもAやBと連続しないアルファベット文字があると思うのですが・・・(AとBは連続したアルファベットなのに何故?)。そもそも、ブログや記事を書いている本人が「トリビア」とか「無駄な知識」といっているのですから、yasuokaさんみたいにいちいちなんでも「ウラを取る」必要はないのでは?と個人的には思います。もちろん感じは人それぞれなので、これはあくまで私の意見ですけど。
    • そりゃ「ウラを取る」のは「めんどうだから」、っていう、唐沢俊一に対する二重の皮肉に、釣られてほしかったのですが、…まあ、それはおいといて。

      OWL.Diary_TestType [hatena.ne.jp]にもコメントしたのですが、von DungernとHirszfeldの論文には、彼らがなぜOという文字を選んだのか、一切のべられていません。文脈からすると「ohne」の可能性はあるんですけど、断定は無理です。となると、もし
      >ではなぜ「O」が選ばれたのでしょうか?
      の答が知りたいのなら、頑張って研究するしかない、ということです。ちなみに先行研究としては、George Garrattyの『Terminology for Blood Group Antigens and Genes ― Historical Origins and Guidelines in the New Millennium』(Transfusion, Vol.40, No.4 (April 2000), pp.477-489)や、Paul J. Schmidtの『Also sprach Landsteiner ― Blood Group 'O' or Blood Group 'NULL'』(Infusionstherapie und Transfusionsmedizin, Bd.28, H.4 (Juli 2001), pp.206-208)なんかがありますけど、まだ結論は出ていません。ぜひ、あなたも頑張って下さい。

      親コメント
  • by Anonymous Coward on 2006年02月28日 20時19分 (#891475)
    しっかり「ウラを取」られたyasuokaさんならご存知かと思い伺ったまでです。特に答えが知りたいわけではありません。二重の皮肉の存在すら気づかない「やっぱりおおざっぱ」なO型の私としては頑張って研究する気もありませんし、たとえそれが事実ではなくても「単純なミス」でO型という名前がつけられたという考えの方がおもしろいと個人的には思いますので。大変失礼致しました。
    • ま、個人的な意見を書かせてもらうと、「めんどうだから オー型でいいや」って文は不当な揶揄なんですよ。極端に言えば唐沢俊一は、医療事故を減らすべく「O」型を採用したこれらの委員会に対して、根拠のない誹謗中傷をしているわけです。面白ければいい、ってのは結局そういうことなんだと、私は考えます。
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      • by Anonymous Coward
        そうですか。念のために申し上げておきますが、私が唐沢氏の記事をおもしろいとコメントしたことで、医療事故を減らすべく「O」型を採用した委員会に対する根拠のない誹謗中傷に加担したと受け取られることになるかもしれないとは思ってもみませんでした。よく考えもせずこの日記にコメントしたことで誤解を招いた件についてお詫びするとともに、医療事故を減らすべく「O」型を採用した委員会の皆様に「O」型として感謝いたします。これからは、世の中に満ちあふれている不当な揶揄や根拠のない誹謗中傷にたとえ意図的にではないにせよ賛同することのないよう心がけます。ありがとうございました。
        • 結局のところ、無知による誹謗中傷のタグイをおこなわないためには、文章を公表する前に「ウラを取る」しかないんじゃないか、っていうのが、私個人の素朴な感覚です。まあ、でもこれは、あくまで私個人の感覚であって、「トリビア」を披露する人たちは、また別の考えがあるんでしょうけど…。
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          • いくつかのサイトを見て回った感触では、どうもこのネタの震源地の一つに『医療トリビア』 [m3.com]が疑われます。でも、私は医療従事者ではないので、m3.comのIDなんて取得できないし、さて、どうやって確かめたらいいのか…。
            親コメント
          • > このような「トリビア」を披露する人たちは、
            > どうして「ウラを取る」ということをしないのか。
            > その点がどうにも私には理解できない。

            わはは、思うにそれは、なるべく低コスト(時間的、経済的)により、
            高い効果(へえ!)を得たいという、
            「トロビア」の属性によるからではないでしょうか。

            「裏取り」という行為は、(よくご存知のように)経済原則に背馳するのが普通です。
            親コメント
            • コストだけを考えた時は確かにそうですね。でも、信用度が下がっちゃう(またガセネタ?)と、相対価値が下がっちゃう(要するにカブが下がる)から、結局ソンするような気がするんですけど…。ま、「このトリビアはフィクションです。実在した人物・団体・出来事とは何ら関係ありません。」とでも書いてあるのなら、私も納得いくんですけどね。
              親コメント
  • by Anonymous Coward on 2006年04月17日 16時11分 (#923059)
    トラックバックされていたんですけど、
    どこですか~~
    (blogs.yahoo.co.jp/niponipojp/)
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あと、僕は馬鹿なことをするのは嫌いですよ (わざとやるとき以外は)。-- Larry Wall

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